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芦沢 晃 本に書けなかった区分所有投資のお話

芦沢 晃 芦沢 晃
10年かけて研究した区分所有投資の考え方とノウハウを大公開した著書「中古マンション投資の極意」には書けなかったその後のことをお伝えする待望のコラム。
手間とリスクの少ないマンション投資のために知っておくべきことを、サラリーマン大家が本音で語ります。

第7回 楽待コミュニティ区分版でお話できなかったこと[3]

検討例3 住宅ローンでファミリータイプ区分を購入

実需用の、いわゆる一般住宅ローンは非常に低い金利で借りることができます。
ご自身が住むというストーリーなら、正式にはOKではありませんが、これが使えないことはありません。
(私の最初の物件が、住宅ローンで買った自宅を賃貸に出しましたので、結果論としてこのケースです)

ファミリータイプの最大の利点は、築年にあまり関係なく、実需顧客に売却できる点です。ですから、空室でも売れ、価格も下支えされます。

1Rの実需ニーズは非常に少ないので、家賃借上保証システムが付いている物以外は空室状態での出口は不利な場合が多いようです。

その点、実需ニーズも期待できるファミリータイプは、物件自体の価値とは別の、住まいとしての人生感が決める市場価格以上の価値があります。

欠点は、退去時の現状復帰内装費が1Rに比べると高額になることです。
家賃10万円取れても、リフォームで100万円かかれば、1年分の手残りCFが吹き飛びます。

また立地にもよりますが、1Rに比べ一度空くと次が決まるまで時間がかかる傾向があります。

管理組合の管理費・積立修繕費も面積見合いで高額なので、特に空室時にCFが苦しくなります。小さな1R1年分の家賃相当額が飛ぶこともあります。

一方で最近の流行ですが、立地によってはルームシェア物件として貸し出すと、1R以上に人気が出る場合もあります。ただし、色々ノウハウがあり、初めての方は事前の研究が必要かと思います。

これらをトータルで考えると、一番手頃な方法は、オーナーチェンジ物件で買い、何年か家賃を取って、入居者が出たらペイできる費用で内装を現状復帰し、実需顧客へ売却する、という方法でしょう。

これにより、200万円の自己資金にレバレッジをかけて何年か運用したのと同じ効果を生みます。
融資の与信も売買毎にリセットできます。

ただし、諸費用を含めたシミュレーションを行い、期待通りに結果を出せるか慎重に計算してみてください。

オーナーチェンジ物件を買えば、高額なリフォーム費用の出費無しで、直ぐ家賃をゲットできると思い勝ちですが、突然の設備故障リスクに備える必要があります。

不運にも賃貸中に、フルオートバスの高価な給湯器が壊れたり、部屋毎に複数設置されているエアコンが同時に壊れるかもしれません。システムキッチンの交換もありえます。上下水道の配管トラブルで床板を剥がず工事が発生し、最悪、ユニットバスを取り外さないと修理できない水周りトラブルもあり得ます。

この対策も、保険や内装工事屋さんパートナー開拓などで、研究と対策を事前に行っておく必要があるでしょう。1Rに比べ設備が多い分、こういった維持費リスクが大きくなります。

想定に組み入れ可能なわけですので、開拓したリーズナブルな価格で施工してくれる業者さん価格でシミュレーションに数値挿入し、運営状態を検証し、リスクに備えます。こういう場合にCFの手残りがないと運転資金枯渇で、その場をしのぐ対策が打てず、最悪、賃貸事業が回らなくなってしまいます

検討例4 住宅ローンで実需顧客から戸建てを購入し賃貸

区分の話題からはちょっと外れますが、戸建て賃貸は1物件ごと独立している点が比較的区分投資に近い側面があります。

一方で、木造の場合は建物の寿命が短く、物件調査もより専門性が求められます。
区分には無い、土地周りの調査(地堺や、地下埋没物など)も必要となります。

しかし、何といっても土地が残りますので、建物が古くなったとしても最後は更地にして宅地用に売却できます。

融資についても、土地がある分、区分よりは有利でしょう。

一方、建物の法定減価償却期間が短いので、実需の住宅ローンでも返済期間が短く、建物費用が安いぶん減価償却費も低いので、CFを出しにくくなります。投資用の融資ではより厳しい条件になるでしょう。

区分に比べると、家賃の割りに、寿命が短い建物全体の保守費が高くなります。
ファミリー区分と同等程度の内装費に加え、屋根や外壁の塗装、庭周辺の壁や上下水地下埋没管の保守などが加わります。

黙って貸し、最後売るだけの区分に比較すると、建物維持や建替え、或いは建物撤去など、ダイナミックに変化する対応が必要になる場合もあります。

一般的には、木造はRCに比べ維持費は安く済みます。しかし寿命が短い分、修繕頻度は多くなります。

これらを考え合わせると、RC物件ファミリータイプ区分の割高な共用費の積立と比較し、10年程度で見ればほぼ同程度かもしれません。

この点も、じっくり数値シミュレーションを事前に行う必要がありましょう。

リーズナブルなシミュレーション結果を出すには、地価が安い割りに、家賃が高く取れる場所を研究する必要があるでしょう。場所ではなく、地形(旗地や竿地)からそれを狙うアプローチもあります。

戸建ての場合は車が置ければ、立地をあまり選ばない強みはあります。

ですから、ご自身が上記のようなエリアにお住まいなら、近所で自主管理できる戸建てを賃貸して、運営ノウハウを習得する教材としてスタートする。
という作戦も良いかもしれません。

地価の安いエリアなら200万円を元手に、全額現金、又は頭金としてのスタートも不可能ではないでしょう。自主管理・セルフリフォームなどを駆使して維持費を節約しながら、ノウハウを蓄積できます。

検討例5 株やFX、ネットビジネスで運用し、数倍に増やしてから、1R現物を現金購入

東京証券取引所
東京証券取引所
不動産のテーマからは外れますが、もし、株式投資やFX、インターネットビジネスなどで、短期で結果を出せる方であれば、200万円の一部か全てを運用して、元手を増やしてから、その現金を不動産へ投資するという選択肢もあるでしょう。

それなら、不動産以外でそのまま行けば効率がいいじゃなか?
と感じるかもしれません。

わたしは紙系投資の方は全くダメなので一般論ですが、長年にわたり安定した利益を上げ続けられる確率は理論的に低く、経験的にも難しいと言われています。

特に紙系投資は、大衆のパニック心理が原因で、理に反する異常値に制御不能に瞬間すっ飛び、長期スパンではランダム事象に近づくゼロサムゲームです。

その僅かな歪をチャンスとして掴んだ人が勝ちます。

そのため、10年以上の長期スパンで計ると、ランニングコストを差し引いたパフォーマンスが、ベンチマークであるWorld Stock Indexを上回れるファンドは、全世界数の1〜2割以下と言われているようです。

ノーベル経済学賞受賞学者を集めたドリームチームのLTCM(ロングタームキャピタルマネージメント)も、最後は破綻してしまったのですから・・・。

紙系投資での永久的な常勝は、自然の摂理に反する神業なのかもしれません。

それなら何も考えず、ノーロードでWorld Stock Indexを複利運用しておこうか・・・。
となってきます。

今回のセミナーでお話させて頂いた何人かの方、ご本人やご友人にも、まず紙系の投資で資金を増やし、勝ったらその現金を区分投資へ振り向けた。
という方がいらっしゃいました。

この手法は、理にかなっているといえましょう。

管理システムが物件に付随して売買される1R区分は、建物維持や賃貸管理に手間がかかりません。その手間を紙系投資へ傾注できる点も、メリットといえます。

投資の神様と言われている邱永漢氏も、昭和30年代に成長株投資を編み出され、そこで確定した利益で渋谷駅前の東急デパート横に土地を購入して、「マネービル」という名前のビルを建てたのが不動産投資のスタートだったお話は有名です。

有利なポジションと得意技で生き残る

こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、投資や事業は、結果数字からだけ見ると、弱肉強食の世界です。

そのため、必ず勝てる作戦が必須です。

必勝作戦とは、自分の得意領域だけで、自分より弱者と戦えば、必ず勝てるわけです。

一般社会では、弱者は保護されて当然です。

しかし不動産投資では、赤子の手を捻るという諺よろしく、自分より弱点の多い大家さんから物件を買い、そういう大家さんに物件を売却できれば、必ず有利な投資ができるわけです。

そのためには、自分が得意とする土俵だけで、有利なポジションにいる時のみ、得意技で勝負すれば常勝できます。

一棟アパート・マンションを持っていらっしゃる大家さんより、区分物件を持っていらっしゃる大家さんの方が母体数は多く、しかもその相対レベルは、私も含めて、低めである場合が多いです。

ファミリー区分や戸建てなど、実需目的の、投資家でない一般の方が相手の場合も同じ論理です。

相手とは、大家さんだけに限らず、物件それ自体の場合もあります。

市場がオープンである紙系投資は、一物一価です。
それを出し抜く方策あれば、対策ありで、今日の新作戦も、明日にはその封じ手の裏技に負ける運命が待っています。

しかし、相対取引の不動産投資に定価は存在せず、その価値自体を自分で創ることができます。

以上は、売買に限らず、賃貸募集や管理でも同じことが言えると思います。

ですから、まずは狭い分野でも得意領域・得意技一点集中で深く掘り下げることが、生き残れる戦術といえましょう。ただし、注意すべきは、弱者ばかり相手にしていると、何時までたっても自分が強く成長できないということも留意すべきだと思います。
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芦沢 晃 芦沢 晃
不動産、金融とは全く無縁の経済音痴、サラリーマン・エンジニアが、自宅の値下がりにより、貯金を叩いた自己資金1500万円全てを失った上、借金が残り売却できない事実に唖然。住み替えも危うい家庭の危機に直面。
自分の専門馬鹿を反省し、不動産実践研究の重要性に目覚める。
今の日本では、専門職業による自己実現&社会貢献と、経済的生活基盤の安定は必ずしも同次元でないことを痛感。生活防衛の為、収入の多角化、手探りの区分所有賃貸をスタート。

1958年 借家住まいサラリーマンの長男として生まれる。
1983年 都内某大学大学院理工学専攻科電気工学専攻修了 工学修士。
      東証1部上場大手総合電気メーカー入社。
1989年 貯金を叩き自己資金1500万円と借金1500万円で
      自宅中古マンションを購入。
1996年 家族構成変化に伴い、住み替えに迫られる。
2004年 会社の事業縮小に伴い、リストラ、定年退職(46歳)。
      未上場中小企業で無線系システムエンジニアとして就職。
不動産投資の楽待 (特許第4562205号)

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