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こんにちは。銀座第一法律事務所弁護士、鷲尾です。今年6月、大手不動産会社の従業員が、合鍵を使って管理を委託されていた物件に窃盗目的で侵入して逮捕されたという事件がありました。

実はこの会社では、以前にも別の従業員が合鍵を使って管理物件である女性の居宅に侵入して暴行を働くという事件が起きています。

業者に賃貸物件の管理を委託する場合、オーナーは、物件の鍵を入居者のほかに管理会社にも渡していることが多いため、こうした事件も起こり得るわけです。

また近年、空き家や空き室に犯罪組織が目を付けて不正に利用しているとの報道がなされています。

たとえば、昨年10月に犯人が逮捕された事件では、犯人グループは、インターネットサイトからだまし取ったパソコンなどの電化製品をその空き室に配送させ、住人になりすまして商品を受け取って転売していました。

犯人は、不動産会社が使う専用サイトに不正アクセスし、内覧用に不動産会社が用意したキーボックスの暗証番号や保管場所の情報を閲覧し、キーボックスから鍵を入手していました。

空き室を犯罪に利用する事件では、空き室の情報や鍵を犯人に提供する悪質な不動産会社が関与しているケースもあるようです。

今回は、この二つの事件を題材として、悪質な管理会社に物件の管理を任せていたところ、その管理会社を通じて、物件の入居者に被害が及んだり空き室を違法不当な目的のために使われてしまうリスクについて考えてみます。

管理会社の違法行為で入居者が被害を受けても、原則、オーナーに賠償責任はない

物件の管理を委託していた管理会社の従業員が、預かっていた合鍵を使って物件に侵入したケースで、被害を受けた入居者から、そうした違法行為を行うような会社に管理を任せたオーナーも同罪だとして損害賠償の請求を受けた場合、オーナーはこれに応じなければならないのでしょうか。

オーナーと契約して管理を引き受けた管理会社は、「善良な管理者の注意義務」に則って管理を行う必要があります。

オーナーは、管理会社がこのような善管注意義務をつくして適切に管理を行ってくれると信頼して管理を任せたのであって、管理会社の従業員が合鍵を不正に使用して物件に侵入、窃盗をはたらくなどとは夢にも思わないでしょう。

このような場合、オーナーは自分が行ったわけでもない違法行為についてまで責任を負うべきいわれはなく、入居者からの損害賠償請求に応じる必要はありません。

従業員を監督すべきなのは、オーナーではなくその従業員の雇用者である管理会社です。

ただし、オーナーが管理会社の違法な行為に協力していたり、違法な行為を知りながら黙認して放置していたとなると、オーナー自身も損害賠償責任を問われるおそれがあります。

まさか窃盗目的での住居侵入を黙認することはないでしょうが、たとえば賃料を何カ月も滞納して明渡しにも応じない悪質な入居者に対抗するため、管理会社が鍵を勝手に交換しようとしているなどという場合、オーナーも見て見ぬふりをしてしまう誘惑にかられるかもしれません。

私も、賃料不払いを理由に建物明渡訴訟を起こそうと準備していたところ、管理会社が部屋の鍵を換えてしまったということを聞き、慌てて管理会社に連絡して鍵を元に戻させたことがあります。これを知ったオーナーから、「せっかく管理会社が鍵を交換してくれたのに」と食ってかかられたことがあります。

しかし、不誠実な入居者相手でも、法的な手続きに従わず勝手に鍵を交換して部屋に入れないようにしてしまうのは違法です。オーナーが管理会社に指示してこれを行わせたり黙認していたりしていた場合には、オーナー自身も不法行為に加担したとして損害賠償責任を問われる可能性がありますから注意が必要です。

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