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収益物件を購入する

購入する物件が、適正価格より高いのか、安いのか? これは誰もが気になると思います。しかし、どうやって適正価格を算出したらよいのでしょうか?

物件の価値を客観的にはかる指標として、「積算価格」と「収益価格」があります。

積算価格

積算価格は、土地の価格と建物の価格をそれぞれ計算し、足し合わせたものです。銀行が融資する際に、どれくらいの担保価値があるかを測る参考値となります。

積算価格=土地の価格+建物の価格

土地の価格=路線価×土地面積
建物の価格=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数

・路線価
路線に面する宅地の、1m2あたりの評価額のこと。相続税や贈与税を算出する基準となる。

・土地面積
敷地面積とも言う。真上から土地を見た時の投影面を指す。

・再調達価格
該当の物件を再調達(新たに建築、購入)するために必要な金額。
建築資材の価格が違うため、構造によって目安の価格が変わる。
(1m2あたり、木造13万円、重量鉄骨造18万円、RC造20万円程度)

・延床面積

建物の各階の床面積をすべて足した面積のこと。

・法定耐用年数

法的に定められた減価償却の年数のこと。構造によって年数が変わる。
(木造22年、重量鉄骨造34年、RC造47年など)

収益価格

収益価格は、その物件が将来生み出すであろう純収益から算出します。

収益価格=年間NOI(運用純収益)÷実質利回り

年間NOI=満室時年間家賃収入-(空室等による損失相当額+管理費+固定資産税+都市計画税+損害保険料等)
実質利回り=(実際の年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100

・NOI(運用純収益)
Net Operating Incomeの略。家賃収入から管理費、固定資産税、都市計画税、損害保険料等の実際にかかった経費を控除した純収益。

・実質利回り
実際の年間家賃収入から年間諸経費(管理費、固定資産税、都市計画税など)を差し引いた数字を、物件価格に購入時諸経費(仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、収入印紙代など)を足した数字で割って算出した利回り。表面利回りよりも現実的な数字になる。

計算例

物件種別・構造 一棟RCマンション 築年数 築17年
土地面積 600m2 延床面積 800m2
路線価 30万円/m2 再調達価格 20万円/m2
満室時年間家賃収入 3000万円 年間諸経費 600万円
実質利回り 6%    

積算価格

・土地の価格
路線価×土地面積
 =30万円×600m2
 =1億8000万円…(1)

・建物の価格
再調達価格×延床面積×(耐用年数-築年数)÷法定耐用年数
 =20万円×800m2×(47年-17年)÷47年
 =1億212万円…(2)

よって、積算価格=(1)+(2)=2億8212万円となります。

収益価格

NOIを算出してみましょう。空室等による損失相当額は、年間家賃収入の20%として計算します。

年間家賃収入-(年間諸経費+空室等による損失相当額)
 =3000万円-(600万円+600万円)
 =1800万円

よって、収益価格=1800万円÷6%=3億円となります。

物件価格が適正かどうかを判断するために、まずは「積算価格」と「収益価格」を算出してみてください。