収益物件を売却する
物件を売却するにあたり、検討しなければならないのが「売却価格」です。相場より高すぎると買い手が付かなくなる可能性が高く、安すぎると利益を得られなくなってしまいます。
そこで、「積算価格を算出」「相場の利回りから逆算」「実需用の物件から算出」「金融機関の融資から逆算」という4つの手法で物件価格を査定して、適正価格を探りましょう。 実際の物件情報を使用して算出してみます。
計算例
種別 | 一棟マンション | ||
---|---|---|---|
構造 | 鉄骨造(法定耐用年数:34年) | ||
エリア | 大阪市中心部 | ||
駅徒歩 | 5分圏内 | 路線価 | 40万円 |
購入価格 | 1億5000万円 | 再調達価格 | 18万円/m2 |
築年数 | 10年 | 年間家賃収入 | 1800万円 |
土地面積 | 130m2 | 間取り | 単身者向け |
延床面積 | 600m2 | 戸数 | 1K×20戸 |
1.積算価格を算出
積算価格は、土地の価格と建物の価格をそれぞれ計算し、足し合わせたものです。
土地の価格=路線価 × 土地面積 建物の価格=再調達価格 × 延床面積 ×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数
・土地の価格
路線価 × 土地面積 =40万円 × 130m2 =5200万円…(1)
・建物の価格
再調達価格 × 延床面積 ×(法定耐用年数-築年数)÷ 法定耐用年数 =18万円 × 600m2 ×(34年-10年)÷ 34年 =7624万円…(2)
よって、積算価格=(1)+(2)=1億2824万円となります。
2.相場の利回りから逆算
「楽待」などのポータルサイトで、対象物件周辺の物件を検索しましょう。価格帯や築年数などが類似した物件を見て、利回りの相場を確認します。
例)大阪市中心部の周辺物件 相場利回り10%
今回の物件の年間家賃収入、1800万円から逆算すると、
1800万円÷10%=1億8000万円となります。
3.実需用の物件から算出
実需用の物件とは、所有者本人が自己使用する目的の物件を指します。実需用の物件のポータルサイトで、対象物件周辺の物件を検索しましょう。価格や築年数などが類似した物件を見て、価格の相場を確認します。
例)大阪市中心部の周辺物件 1戸あたりの平均価格=1000万円~1200万円
今回の物件の戸数は20戸のため、
1000万円~1200万円×20戸=2億円~2億4000万円
4.金融機関の融資から逆算
次の購入者も、自分が購入した時と同じ融資条件で購入することを想定します。 家賃収入から管理費や固定資産税などを差し引き、返済シミュレーションをした時、収支がプラスになる価格でないと売却は難しいでしょう。
返済比率(家賃収入に対する返済額の割合)が40%以下だと、安全だと言われています。 例えば、「フルローン・金利1.5%・融資期間25年」の条件で融資を受けた場合、返済比率40%と考えると、融資額1億5000万円となります。 以上、4つの手法で算出した物件価格をまとめてみます。
・積算価格を算出 | :1億2824万円 |
・相場の利回りから逆算 | :1億8000万円 |
・実需用の物件から算出 | :2億円~2億4000万円 |
・金融機関の融資から逆算 | :1億5000万円 |
この中から、売却希望価格を3段階程度設定しておき、もし想定通りに売却できない場合は、1段階価格を下げるなど、柔軟に対応しながら売却活動を行いましょう。