広之内さん最終_06162015楽待新聞読者から頂いた、不動産投資にまつわる疑問や質問をプロの投資家に答えてもらう豪華企画!!

今回、皆さんの疑問を解決してくれるのは、DVD「8つの戦略2015」でお馴染み、広之内友輝さん(築古物件投資を担当)。

事業に失敗し、自己破産寸前の状態までに追い込まれたものの、ボロ物件を再生するという投資法で約4億円の資産を築き上げた不屈の投資家、広之内さんに築古物件投資の現状や、高利回り物件を購入するコツなど、根掘り葉掘り聞きました!

Q1.自己破産寸前まで追い込まれ、そこから今の実績を作られたというのを拝見し驚きました。その状況を打開する方法として不動産を選んだのはなぜだったのでしょうか?(39歳・会社員)

A1.他の投資と比べ、融資を受けやすい投資が「不動産投資」だったから

無論他の方法はいっぱい考えました。どん底にいたときは「保険金」という言葉すら、チラチラ頭に浮かんだくらいです。

しかし、子どもが生まれたことで「自分のお金がない」=「他人のお金を使おう(借金しよう)」と考え、不動産投資を選びました。不動産は、投資の中でも実物投資であり、他投資と比べ融資を受けやすい投資だからです。

また、父がたった1棟でしたがアパートを持っており、私がそのアパートの収益で大学に進学できたことを知っていたため、不動産自体が好きだったということもあります。

では、不動産の中でもなぜ「築古物件」を選択したのかについては、DVDの中でご説明しています。

Q2.以前と比べ、築古を購入して再生するという個人投資家が増えたように感じますが、広之内さんの感覚ではいかがでしょうか?(32歳・会社員)

A2.新規参入者は増えていますが、これから、物件もどんどん増えてきます!

ご質問の通りで、築古参入の投資家は増えています。特に若い投資家が自分でリフォームするオーナー自らミニコミ誌に入居募集するなど、活躍が目に付きます。

この新規参入で確かに利回りは低下していますが、いま特に団塊の世代がバブル期に建てた物件が、管理状態が悪化して空室が増えて手放す例が増えています。またそうした団塊世代が70歳近くなっており、相続を考えて現金化するケースがこれからどんどん増えてきますので、築古投資はまだまだ面白くなっていくと感じています。

リフォームの面では、築古投資家増加の影響もあるのか、アパート専門のリフォーム業者なども生まれてかえって歓迎です。

Q3.新規参入の投資家も増えているため、広之内さんのようにしっかりと物件調査や周辺調査、競合物件調査を行っていると、物件を他の人に取られてしまうようで心配です……(38歳・会社員)

 A3.3つの方法を駆使すれば乗り切れる!

第一に、優先的に買い付けを扱ってくれるよう、仲介会社に実績のPR(所有戸数や経験年数など)や資金付の確実さを伝えます。特に、根抵当権の枠が数千万円あるなど、融資付けの確実さは非常に効果あります。また、ある程度自己資金をお持ちであれば、自己資金額なども効果的です。「金融機関から次の物件もぜひウチで!」などと言われているなど金融機関から信頼されていることを具体的に伝えましょう。

第二に、どうしても競合を勝ち抜きたいなら、ある程度リスクをとる方法も有効です。瑕疵担保免責(買った後で隠れた問題が見つかっても文句を言いません)などです。また融資がほぼ確実な銀行と付き合いがある場合は、「融資特約無」という手を使うこともあります。あとは、手付金を多めに入れる、などです。

第三に、買付証明の扱いは、多分に仲介会社担当者の考え方一つです。早い者勝ちといいつつ、いい買主を優先しているのが現実です。資金付が確実そうだ、買った後でもめなさそうだ、むちゃな指値などしない方だ、など信頼を築くのが一番重要です。その時はだめでも次に優先してくれます。

Q4.築古物件だと、部屋によって家賃のバラつきが大きい傾向があると思います。高めの家賃の部屋に住んでいる人から、他の家賃を材料に、値下げ交渉された場合には、どのように対応されていますか?(42歳・会社役員)

A4.退去された場合と家賃を値下げした場合、それぞれの減収を数値化し、対応!

管理の悪い物件の多くでは、下記のような悪循環が生じています。
○荒れる→空室が増える→工夫をしない→家賃を下げて募集するしかない

このように、築古でかつ管理の悪い物件は、どんどん家賃を下げていくので、古い入居者と新しい入居者との家賃差が激しくなることがあります。私は家賃交渉を持ちかけられた際、家賃を1円も下げなかったことはありません。それは、もし交渉に応じず退去となった場合の費用を計算した結果からです。

例:家賃3万8000円のワンルームの場合
清掃料1万8000円+壁紙4万円+新規入居広告料1か月分3万8000円=9万6000円の出費。さらに決まるまでの逸失家賃額を、退去して6か月決まらなかった場合と推定すると、22万8000円となり、結局30万円以上の減収です。

労力や決まりやすさを含めてメリットを検討してみると、他入居者家賃より低くなるような極端な減額でない限り、応じた方が得と考えるからです。減額希望者の属性に合わせ、別提案も検討してみます。(例:壁紙更新、シャンプードレッサー更新等をして家賃を下げなかったことがあります。)

家賃減額はオーナーには残念ですが、既存の入居者が退去したとすると、結局家賃は減額して募集することになるのです。また、減額希望者は基本長期入居を考えてくれている方が多いです。(そもそも引越せばよいのにそれをしないで少し安くしてくれ、ということは、基本あなたの物件から引っ越したくはないのです)

ですので、空室募集家賃並であれば、「長く住んでくれるなら減額しますよ」など、こちらも要望に応じる分の「収穫」も狙いながら応じています

Q5.築古物件に投資するのには手が掛かるというイメージですが、サラリーマンをしながらでも運営できますでしょうか?(39歳・会社員)

A5.ズバリ、可能!!

実際、私の周りにはサラリーマン築古大家だらけです。物件が古い分手がかかるのは事実です。しかし、築古のせいで「あなたの」労力や時間がかかる、ということはありません。DIY大家を目指すなら別ですが、あなたの執事である「管理会社」が修繕から退去、客付け、家賃集金、トラブル処理すべて月額5%程度でやってくれるのは築古も新築も同じです。

それより、サラリーマン築古オーナーを目指すなら、「経営感覚」が必要です。利回り(収入)が高い分、トラブルへの決断を求められることは、新築より多いです。「あそこが壊れました。」「105号室来月退去です。」「入居審査落ちました!」という電話がある度に、不平不満がでる方には築古は不向きです。

DVDでも何度か申し上げましたが、私たちは物件のリーダーです。「すぐ修理手配してください!」「募集家賃は前と同じで大丈夫ですか?」「案内ありがとうございました、引き続きよろしくとお伝えください。」と動じず対応できるオーナー力をみせることで「あのオーナー、物件ボロいけど頑張っているな」と管理会社や客付け会社の信用が得られるのです。

Q6.お金をかけてボロ物件をリフォームした場合、家賃を上げることはできるのでしょうか? そのような事例があればぜひ教えて下さい。(35歳・会社員)

A6.リフォームをし、家賃を上げることは可能!

北海道室蘭市の物件では、リフォーム後に家賃を平均16%近く上げることができました。私は、家賃を上げられると考えたときは、管理会社と仲介会社にリフォーム前後の写真をみせたり、現地内見をしたりしてもらい、一緒に家賃を考えてもらいます。家賃値上げで決まらなくなっては本末転倒ですので、プロから第三者評価をもらった方がいいでしょう。

Q7.DVDでご紹介されていた、ぱっと見たときに視線を集めるポイント(フォーカルポイント)を作るお話、興味深く拝見しました。例えば、外壁塗装を行わずに、鉄部塗装だけを行った場合にはリフォームの金額をいくらくらい抑えられたのでしょうか?(42歳・専業大家)

A7.400万円が3万円で済みました(笑)

全塗装では400万円と言われていましたが、鉄部塗装を家族で行っただけですので、ペンキ代などで3万円で済みました。

このように、一部だけでも印象はかなり変わります。カラーコーディネートの研修を受けて学び、色の組合わせにも気を使っています。だいたい私は物件の購入価格の5%、多くて10%程度で初期修繕費の予算を組んでいます。この初期修繕も入れて利回りを計算し購入を決めています。

今おすすめのワンポイントはソーラー発電の街灯です。洋風の鋳物街灯がホームセンターで3万円くらいで売っていますが、外廊下の階段わきにつけたら雰囲気がぐっと落ち着きますし、ソーラーなので配線やコンセントがない場所でも設置OKです。

Q8.私は、年配の大工さんの人脈で作ったチームにいろいろお願いしています。そろそろ代替わりをしなくてはいけないと思うのですが、また関係を一から築くと思うとなかなか踏み出せません。広之内さんの場合はどうですか?(37歳・会社員)

A8.紹介やツテをうまく使い、手を打つ必要あり!

プロ野球同様、チームメンバーの入れ替えで強さが上下するのを見越して、手を打っていかなくてはいけません。建築業者では、管理会社からの紹介などで複数業者の方と接しておくのは重要です。ちょっと高い見積もりだと思っても、最初のお付き合いでは目をつぶって頼むこともあります。「取引実績」を作ることで安くなってきますし、急いでいるときに優先工事をしてくれるなどの信頼関係を作るのは、値段だけでなく人柄も重要です。

チーム替えは大変ですね。私も、激戦区で大変お世話になった賃貸担当者が退職してしまったときは、別れのあいさつ時に涙が出ました。「この大家さんは目標がある!」などといっていつも応援してくれる方でした。退職で別れましたが、その際次の方を紹介して頂きました。ですので、年配の業者の方が廃業などの場合は、信頼できる方を紹介して頂くことも可能と考えます。次の業者の方も、紹介してくれた方の顔もあるのできっと親身になってくれるはずです。

Q9.北海道以外で物件を保有される予定はありますか? 大きな災害が起こった場合などのリスクはどのようにお考えでしょうか?(34歳・会社員)

A9.短期スパンのリスクを考え、それを回避するべく投資している。

今は北海道に偏在していますが、常に全国、海外の不動産投資情報は仕入れていますし、秋田市や福岡市では投資実績もあります。投資する為には、第一に、いい物件であること第二に、仲介、賃貸、リフォームのチームが作れる場所であることを大切にしています。

築古投資は比較的短期保有のケースもあるため(返済が短いので残債が減りやすい=売却しやすい)、高利回り(=ある程度地方都市も視野に入れる)のため、中心市街地と国立大学近辺を狙っています。どちらも長い将来はわかりませんが、短期間で一気に衰退する可能性は低いと考えています。逆に私立大学近辺でやたらに高利回りの物件が出る地域は慎重になります。大学撤退の可能性もあるからです。

Q10.築古物件は出口に困るとよく言われますが、広之内さんはどのように考えられていますか?(31歳・会社員)

A10.高利回りの物件であれば、出口に困ることはない!

DVDの本編でお話ししたように、担保評価額が伸びない=融資がつきにくい面があるのは事実です。しかし築古のメリットは、「圧倒的な利回りでリスクヘッジが可能」、「比較的安価」「返済期間が短い」という点があります。

私が物件を売却に出す場合、概ね利回が20%になるように価格設定して出します。20%越えの物件だと、不動産投資サイトで最高ランクの利回りとして上位掲載できますし、20%越えの物件で引き合いがこなかったことはありません

例えば2000万円で12戸、家賃2万6000円のアパートを購入したとします。これを最低限の投資でリフォームして満室にし、5年後に利回り20%で売却したとします。(借入2000万円10年ローン2.4%元利均等返済)

家賃収入(管理費抜)…1770万円
売却価格…………………1870万円
収入合計…………………3640万円

月次ローン返済…………1120万円
残債返済…………………1200万円
支出合計…………………2320万円

差引約1320万円の利益が手に入ります。仲介料など手数料を考えると純利は1000万円程度でしょう。更に5年築古にはなりますが、そもそも築古は建物の価値は最初からほぼ0円(それ以上価値は落ちない)ですので、利回り20%以上であれば売却は十分可能です。

広之内さんからの一言コメント

私は度重なる事業の失敗で、6000万円の借金を抱え、自己破産寸前まで追い込まれました。50円の半額パンを食べて凌いでいたこともあります。

そんな生活から脱却し、3年で年収7000万円までになることができたのは、「築古物件」のおかげだと思っています。

カネない、勇気ない、信用ない……そんなサラリーマンが資産を築ける最高の手法の一つがボロ投資であると、身をもって言えます!!

広之内友輝氏プロフィール

1973年生まれ、北海道出身。2005年より元手130万円で不動産投資を開始。

2010年、度重なる事業の失敗で6,000万円以上の負債を抱えて自己破産寸前まで追い込まれるも、不動産で奮起して現在では不動産賃貸業を含め、3社の企業経営を行っている。

15棟188戸を高利回りで運営する傍ら、サラリーマン投資家の資産形成支援、各種講演、執筆活動も務める。

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