今回のご相談者様は子育て真っ只中の本田亜希子さんです。ご主人様とはお金の価値観が共通しており、浪費するのが大嫌い。スーパーへお買い物に行っても見切り品を購入するなど、徹底した節約を心掛けています。
そんな「お得」が大好きな本田さんが、これから不動産投資をスタートするにあたり、様々な疑問や不安が湧きあがりました。果たしてそのお悩みとは?
はじめに
学生時代に『金持ち父さん貧乏父さん』を読んでから、家賃収入のある暮らしに憧れてきた本田さんは、結婚前からコツコツと貯蓄をしてきた堅実な奥様です。株式投資とFXをやっていましたが、こちらもご出産と同時に手堅く売り抜けました。
そんな本田さん、日ごろは財布の紐が固いけれど「いざ!」というときはご主人より決断力があるそうです。さて、今回は石原さんご自身が失敗した過去のエピソードも絡めて、これから投資をスタートする皆さんにアドバイスとエールを送ります!
お名前 |
本田亜希子さん(仮名) |
性別 |
女性 |
自己資金 |
2000万円 |
ご職業 |
在宅事務 |
世帯年収 |
500万円 | ||
居住地 |
東京都 | ||
ご自宅 |
賃貸(月5万円) | ||
所有投資物件 |
無し | ||
不動産投資経験 |
3カ月目 |
相談者のお悩み
現在は子育てをしながら在宅勤務の本田さん。目下「不動産投資の勉強中!」ですが、手始めに、使われていない親戚の家屋を安く買い取って再生できないものか? あるいはご主人の実家がある関西での投資はどうかと検討しています。ともあれご自身がどんな投資法に向いているか、どのように知識を増やしていけばよいのかなど、不動産投資を踏み出す前、特有のお悩みを抱えていらっしゃいます。
石原氏からのアドバイス(ダイジェスト)
○不動産を購入する前にはどのような勉強を、どの程度してから購入に踏み切るべきか?
⇒買う前の勉強も大切だが、買った後から実践の中で学ぶことも多い。気に入った本はボロボロになるまで読み込み、実際のトラブルに直面したとき対処できるようにする。
○会社勤めをしている主人名義で融資を引く方が有利?
⇒名義は夫婦共有でも基本的には問題ないが、後々のことを考えるとどちらか一人の名義の方がトラブルを避けられる。
○FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談したところ、収益不動産を紹介されたが信用できるか?
⇒安い相談料で誘って、関連会社の収益不動産をセールスする手法もある。いずれにせよ一人のアドバイスだけを盲信するのは危険。
○誰も管理していない親戚の土地がある。この土地で不動産投資はできるか?
⇒売却以外に収益物件として再生する道もあり。親戚から安く借りられるなら「転貸借」として、自分が借主になり第三者へまた貸ししてもよい。
○ある程度の現金があるので、最初は現金購入した方がいいのか? それとも融資で高めのものを購入するべきかで悩む。
⇒規模の展開スピードを重視するなら融資を利用する。ただし将来を見据えるなら、規模の小さい数千万円レベルの方が売買しやすい。
不動産を購入する前にどのような勉強を、どの程度してから購入したらよいか?
本田
主人と子どもの3人暮らしです。現在は在宅の仕事をしながら子育て中で、月に一度くらい出社しています。またコツコツ貯めた自己資金が2000万円あります。夫婦ともに倹約するタイプでお金の価値観が似ており、気がついたら貯まっていました。
石原
素晴らしい! 貯蓄をするコツはなんですか?
本田
私はお金を払うとき、必ず払った価値以上のものが得られないと買わないようにしています。日々のスーパーの買い物でも納得しないと買いません。見切り品の食品など、夫婦ともに「お得」が大好きなんです(笑)
石原
素晴らしいですね!
本田
不動産に興味を持ったのも私が先です。最近は主人も協力的ですがリスクを負うことを恐れています。主人は1年だけ不動産会社に勤めていました。登録こそしていませんが宅建の試験に受かっており、私より不動産の知識はあります。
Point1 宅建
宅建とは略称で、正式名称は「宅地建物取引士(旧 宅地建物取引主任者)」といいます。不動産を取引する際に仲介役を果たす国家資格。
石原
ご夫婦で協力されると心強いですね。
本田
石原さんは購入の決意をされてから、どれくらいの期間を経て購入されたのですか? いろいろ聞いたり調べたりし過ぎると、購入する勇気が湧かなくなりそうで……。
石原
そもそも、僕が不動産のオーナーになれるなんて考えたこともありませんでした。それが今から17年前、ふらっと立ち寄った書店の新刊コーナーに、小川慎さんの『サラリーマンの私が3年で2億円驚異のアパート投資法―素人の私がゼロから資産2億円を築いた実践記録』(あっぷる出版社)という本をたまたま目にして手に取り、その考え方に触れたのが1999年です。
ですが、実際に投資用として不動産を購入したのは2004年3月です。かなり期間が空いていることになりますが、その前に2002年の29歳で恵比寿に自宅兼オフィスを新築しています。そのときは、大きく本の影響を受けています。3階建ですが、入り口を2つに分けあえて自宅とオフィス部分を完全に独立させて建てたのです。
普通、お金に余裕がなければ水回りや設備は1つで済ませます。その方が安くなりますから。しかしこの先、事業がうまくいかなくなったら、どちらかを賃貸に出して収入を得る。それで生活が支えられたら……という思いで、ややお金をかけてでもそんな建て方をしました。そのときの知恵は、やはり1999年に読んだ本の影響からです。
自宅を建てた翌年、また投資用の中古アパートを買う前年の2003年は、全国を視野に入れ広く物件探しをしています。買付が通ったにもかかわらず、現金買いの人に買われてしまう苦い経験もしました。つまり、物件を購入した日が不動産投資のスタートではなく、本を読んだときからスタートしていたのです。
Point2 買付
買付とは、買付証明書の略で、購入希望者が、売主にあてて不動産を購入する意思を表明する書面をいう。買付証明書には、購入希望の価格を記載する。買付を出すことで優先的な交渉権を得るが、必ずしも買付を出した順番で購入できるとは限らない。
本田
そう考えると、私は大学生のときにロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで気になってから10年以上も経っています。
石原
本を読んで自分が行動したこと、影響されたことはありましたか?
本田
まず不動産に興味を持ちました。「家賃収入、キャッシュフローで生活ができる!」と知り、将来はそんな生活がしてみたいと考えていたのですが、とりあえずは不動産以外の投資信託、株式、FXをやってみました。
石原
僕は不動産以外の投資で失敗しています。昔、本にも書きましたがガソリンの先物取引をやっていました。結果は2週間で500万円の損失を負い大変な思いをしています。その失敗から「楽をして儲かることはない!」と学びました。
本田
私の場合は、損をしなかったけれど、FXはやっているとハラハラドキドキして、出産後に「このままでは危ない」と判断して売りました。しばらくは育児もあってFXは止めました。
石原
そういった才能がある方もいます。僕の場合は、頭の瞬発力が必要なスピードにはついて行けなくて……(笑)今となっては、失敗したおかげで、じっくりつきあえる不動産に目が向けられてよかったです。
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