ワンルーム物件に住む入居者が不満を漏らすことの1つが「収納の少なさ」。部屋の面積が少ないため、備え付けの収納を増やすと圧迫感が生まれてしまうが、収納がないことが理由で入居者から敬遠されてしまうこともあるのだ。ワンルームという限られた空間での収納では、とくに工夫が必要だ。
収納スペースの充実したワンルームであれば、入居者を増やすことができるのではないか。整理収納サービス業者を営む株式会社ワンズコピー代表の佐和田久美氏に、「少額投資でできる、ワンルームの収納を増やす方法」を伺った。
玄関には天井までの収納棚を
まずは玄関。ワンルームの中でも、特に玄関は収納の少なさを感じることが多いという。そこで、玄関に備え付けてある収納棚の高さを天井まで伸ばすことをアドバイスしてくれた。
「玄関の下駄箱は通常大人の胸くらいの高さですが、上まで活用できれば収納スペースが広がります。下駄箱を入れ替えて、天井までの高さがあり、扉が付いたものを設置できれば理想です。入ってすぐに目が行くところなので、棚の中が見えると狭く感じてしまうというデメリットもあるため、扉付きのほうがオススメです。
また、棚板を可動式(自由に動かせるタイプ)にすれば、に女性のブーツなど高さが変わるものを収納しやすくなり、使い勝手が増します」
確かに、ワンルームの玄関は広くない。「玄関に靴が多くて足の踏み場もない」という入居者もいるだろう。特に靴をたくさん持っている女性の場合、可動式の棚板になっている収納が充実していると重宝しそうだ。大人の背丈ほどの高さがある扉付きの下駄箱で、かつ棚板が可動式になっているものは、通販サイトで2万円程度で販売されている。下駄箱の入れ替えを検討するのも一つの手と言えそうだ。
既存の小型の下駄箱を生かし、より少額の投資で抑えるには、小型のシューズボックスを上に追加設置するという方法もある。通販サイトでは1万円以内で販売されているので、追加設備として導入するケースでも負担は少ないのではないだろうか。その際は、既存の下駄箱との色合いを統一するよう注意したい。
キッチン収納スペースは寸法がカギ
寝室とキッチンの間に仕切りがないワンルームの場合は、収納できる場所も限られている。その割には、食器や調理器具などかさばるものが多いため、収納方法に悩む入居者も少なくない。
佐和田氏によると、「キッチンには吊り棚がないと厳しい」とのこと。シンクの上などに設置する収納場所のことだ。また、高すぎる位置だと取れない人もいるため、奥のほうまで手が届くような高さにすることが大切だという。
キッチン用に市販されている吊り下げ式の棚は、安価なものであれば4000~5000円台でネットで販売されている。必要な工具はドライバーのみであることが多い(電動ドライバーは壁面や棚を傷付ける恐れがあるので避けた方が無難)が、より小型のものであれば既存の棚に差し込むだけで設置できるものもある。取り入れてみる価値はありそうだ。

ドライバー1つで取り付け可能なキッチンの吊り棚
クローゼットは入居者が使いやすい配置に
「ワンルームにあるクローゼットの中には、棚などを付けない方が良いでしょう」と佐和田さん。クローゼットに洋服をしまうと、下部分に空間ができる。ここを収納として使うのは手だが、備え付けの家具を置いてしまうと掛けられる衣類の丈に制限が生じる。衣類の丈に合わせて、入居者が自分で収納ケースなどを置けるようにしておくと使いやすいそうだ。
また、クローゼットではなく押入れの場合は、ハンガーで洋服を吊るすためのパイプを中に設置しておくことで、収納力が高まるという。棒を取り付けるだけなので、入居者が押入れに洋服を入れなくても邪魔にならない。こうしたパイプとして使われる「収縮ハンガー」程度であれば、2000円前後で販売されている。

クローゼットのなかにパイプを設置する
壁にフックをつければ居住空間でも収納ができる
ワンルームの場合、生活スペースも収納場所として活用することができる。佐和田氏は、「フックを壁につけておくと便利」という。
「フックがあれば、コートやカバンをかけられます。一枚の板でフックが固定してあるタイプのものも良いですが、ピクチャーレールのように可動式になっているものだと、入居者が自分で位置を調節できるので、より便利でしょう」とのこと。
「同じように、フックを玄関横にも設置しておけば、簡単な掃除道具置き場にもなります」と佐和田氏。ただしフックの数は3〜5個程度にするのがポイント。多すぎると圧迫感の原因になるそうだ。
ピクチャーレールは、安価なものであれば2000~3000円台で購入できる。色合いや質感で幅広く選びたい場合でも1万円以内の予算で購入可能。入居者の生活空間をイメージして取り付けてみてはいかがだろうか。

様々な用途に使えるピクチャーレール
洗濯機置き場には棚板を
室内に洗濯機置き場がある部屋は、その分だけ収納スペースを犠牲にしてしまう。どんな対策が考えられるのだろうか。
「洗濯機が室内にあるワンルームの場合は、洗濯機置場の上に取り外し可能な棚板があるのもいいですね。L字の取り付け器具を活用して、上に板を設置できるようにしておけば、いらない人は棚板を外すことができるので便利です」と佐和田氏は話す。取り付け器具そのものは簡単に付け外しができるものなので、入居前に希望を聞いて対応することも可能だ。
洗濯機置き場に棚があれば、洗濯物を置くスペースとして、また洗剤や柔軟剤などを並べておくスペースとしても活用できる。棚を取り外しできることで、入居者が自分の生活に合わせて収納を調節することも可能だ。棚受けレールの設置や金具、棚板一式で1万円以内に抑えて設置することができるので、検討の価値はありそうだ。

タオルや洗剤などを置くのに便利な棚
最後に、ワンルーム全体についての収納の注意点を伺った。「ワンルームは狭いので、作りつけの収納スペースを作ってしまうと、圧迫感が出るうえ、家具を配置しづらくなります。スペースを取る収納は極力なくして、可動式など入居者がカスタマイズできるようにするのがおすすめです」とのこと。
大規模なリフォームをしなくても、少しの工夫で収納スペースを増やすことはできる。費用についても、自分で家具を買い足すことで節約が可能だ。入居率アップのために、収納を見直してみてはいかがだろうか。
佐和田久美氏プロフィール
株式会社ワンズコピー代表取締役。「きれい」の向こう側にある家族の幸せと子供達の笑顔を増やすために真心こもった快適住空間を創造する、を理念としたお掃除・整理収納会社を設立経営。
その活動の一環とし、多くのTVや多くのメディアでノウハウを広めるほか、NPO法人日本ハウスクリーニング協会指導員、一般社団法人日本家事代行協会理事を務め、お掃除業界の指導にあたっている。
株式会社ワンズコピー
http://www.ones-copy.co.jp
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