明け渡し最終_07062015

写真© Laurent Hamels-Fotolia

いくら待っても家賃を払ってくれない入居者は、残念ながら存在する。どんな事情があるにせよ、大家にとっては賃料収入が失われロスが膨らんでいく一方。督促に応じてもらえなければ、最終的には明け渡し訴訟も検討の一つに入ることだろう。

どのような状況になったら訴訟を検討するべきなのか、また実際の訴訟プロセスで注意すべきことは何なのか。明け渡し訴訟を数多く手掛ける弁護士の長島弘幸氏(弁護士法人ベリーベスト法律事務所)にお話しを伺い、そのポイントを五箇条でまとめた。

その一 早めの訴訟手続き開始を心がけるべし

まず、入居者がどのような状態になったら明け渡し訴訟を検討するべきなのだろうか。長島氏は、「毎月遅れがちだけど払ってくれる人」「1カ月程度の滞納があるが、それが一時的な事情(病気や失業など)によるもので、すぐに滞納を解消できる明確な理由(就職が決まっているなど)がある人」で訴訟をやるのは早計だと話す。

訴訟を検討する目安としては、2カ月滞納している状態。この段階で大家や管理会社からの督促に応じてくれないようであれば、早めに訴訟手続きを開始するべきです」

その上で今後も毎月安定して払える経済状態なのか。その入居者から賃料をもらうことへの期待をいつあきらめるか、その判断は早く行う必要がある。

訴訟手続きを開始してから実際に物件が明け渡されるまでは、早めに手続きを進めても3~4カ月かかることが一般的。実際に賃料が支払われない期間が長くなればなるほど、大家の損失が拡大する一方だからだ。

一般的に明け渡しを求められるようになると言われる「滞納3カ月」という数字には、実際には明確な法的根拠はない。ただ裁判実務では賃貸借契約の解除ができる時期として滞納3カ月が一応の目安と考えられていることがあるという。しかし、滞納が3カ月に満たないケースでも解除が認められることはある。

また、訴訟を進めていくうちに滞納額は膨らむため、滞納2カ月の段階で契約解除を通知し、訴訟を進めながら新たな解除のタイミングを狙うこともできる。

ちなみに提訴すると、入居者の元には裁判所から訴状が送られる。これを見て慌てて対応し、滞納分をすべて払う人もいるのだとか。