みなさん、こんにちは。岡田のぶゆきです。久々に楽待さんのコラムを書かせていただきます。「物件購入に踏み出せない」という人を対象にした、お悩み相談の連載ということで、読者の皆さんから寄せられた質問に答えていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします!
第1回目の相談者は、神奈川県出身で東京都在住の長澤拓也さんです。株式投資15年、FX8年という投資経験がある中で、不動産投資は「安定的に、最小限の手間で利益が上げられるのではないか」と思い、昨年11月から勉強をスタートしたそうです。
株式、FX、不動産に分散投資したいと考えて、将来的にはキャッシュフロー1000万円を目指しています。
名前 |
長澤拓也さん(仮名) |
年齢 |
42歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
会社員 |
居住地 |
東京都 |
年収 |
900万円 |
自己資金 |
500万円 |
Q1.どんな物件を探したらいいか悩んでいる
『楽待』を中心にインターネットで物件探しをしていますが、昨今の不動産投資ブームの影響もあり、採算が合う(事業の見通しが立つ)物件が見つかりません。
自己資金が少ないため、木造の築古物件は融資の面で目途が立たず、かといってRC物件では初期投資が高額になってしまう上、高額な修繕費のリスクを考慮すると投資先としては適切ではないと思ってしまいます。
最初の投資としては住まいの近くである都心か、生まれ育った神奈川方面を考えています。また、区分マンションは投資効率が悪いと捉えているため、一棟ものあるいは戸建を初期投資対象とし、以下の2つの方針で地道に進めていくことを考えております。
①掘り出しもののボロ物件を探し、見つかればリノベーションして事業として成り立たせる
②ボロ物件が見つからない、あるいは競争が激しくて買えない、という場合には潔くあきらめて今の不動産プチバブルがはじけて物件価格の急落が起こるまで資金を貯める(現状で無理して購入しても採算が合わずに失敗すると予測しています)
他の方針も含め、アドバイスをいただければ幸いです。
A1.検討できる投資手法は「鉄骨」「オフィス」「実需向け区分」
ご質問ありがとうございます。買いたくても買えない状況に悩まれているようですね。私からの提案は、3つです。
(1)神奈川県郊外(地方)の鉄骨1棟物件で長期融資を受ける
長澤さんの場合は都心部よりも、生まれ育った神奈川県方面の業者さんを中心にまわるといいかもしれません。神奈川県でも郊外になれば、地方物件並みの高利回り物件が見つかる可能性があります。
郊外のボロ物件を再生させるお考えでは、購入してからのリフォーム費用も自己資金として必要になってきますね。そうなると自己資金の500万円というのは十分な金額ではないかもしれません。500万円、それが全て不動産に使える前提なら、修繕費を含めて5000万円くらいの借入を行うことを目標にしたらいかがでしょうか。
長澤さんはランニングコストを心配されて、RC造の物件に抵抗があるようですが、鉄骨造であれば、木造に比べて耐用年数が長く、長期融資を受けやすいので、視野に入れてもいいのではないかと思います。ただし、融資を受けやすい手ごろな価格帯の鉄骨造の1棟物件は人気があるので、しっかり情報収集する必要があります。
物件の探し方ですが『楽待』などのインターネット情報では、良い物件はすぐ売れてしまうため、新着情報は欠かさずにチェックします。また、なかなか売れない物件が値段を下げたときもチャンスですので、インターネットは諦めずに定点観測します。
インターネット情報を探しながらも、併せて古い物件ばかりを扱っている地場の業者さんも探します。今のように売り物件が少ないときは、足を使って情報を集めることも大切です。
(2)横浜や川崎などの好立地オフィスビル高利回り投資
鉄骨1棟のレジデンス(住居)物件で建物の状態が良く入居率も高ければ、さほど高い利回りは期待できないでしょう。くわえて神奈川県内といっても、立地がかなり郊外になることへ抵抗があるようであれば、選択肢としてオフィスビルを提案します。
オフィス物件はレジデンス(住居)に比べて、リスクがある分、高利回りの物件を購入できる可能性が高いです。横浜や川崎などの中心部で探してみてはいかがでしょうか。
オフィスビルを探すときの注意点は、融資が受けづらくなるということです。信金・信組・公庫などをあたって、自分で銀行を開拓する必要があります。
(3)実需向け区分マンションで転売益を狙う
「区分マンションは投資効率が悪い」とお考えの長澤さんですが、それは事実です。実需(マイホーム)向け区分マンション投資で狙うのは、家賃収入(インカムゲイン)ではなくて、売却益(キャピタルゲイン)です。
つまり、キャシュフローではなく、売却で利益を出すことを考え、売買金額の相場を集中して調べた上で、物件を購入します。ポイントは、購入時に入居者がすでについている物件を買うことです。入居者が退去したところで実需用として売却します。
長澤さんは自己資金が500万円ですが、これで買える区分マンションの目安は昭和40年代の旧耐震基準のファミリータイプ、40~50平米で、価格帯は1000万円台です。公庫などを使って融資を受けることができます。
そうなると立地は横浜・川崎など中心地では高額になるので、エリアを研究して、神奈川県内でも一等地ではなく、ベットタウン的な地域が狙い目です。ファミリーに人気があり、都心に通えるけれど、その地域でも勤め先があるような地域が理想です。横須賀・藤沢・大和市・相模原・海老名市などは、急行電車を使うと東京まで1時間圏内です。
神奈川県というと横浜や川崎、湘南のエリアが全国的に有名ですが、相模原市の橋本駅はリニアモーターカーで注目されていますよね。神奈川県といっても広いですから、自分の生まれ育った場所の強みを活かすのが大事です。
Q2.どうやって金融機関を探したらいいのか?
スルガ銀行に相談した際に、「1億円までは融資可能、場合によっては2億円くらいまで可能かも」とのことでしたが、木造への融資は実施しないとのことでした。木造物件の購入を検討した際、不動産会社を通じて紹介してもらった信用金庫では、「物件価格の3割は自己資金で用意する必要がある」と言われてしまいました。
このような状況では、高額RC物件を高金利融資で購入するか、ボロ物件を購入するかのどちらかになってしまいます。いろいろ金融機関を探せば融資してくれるところが見つかるのかもしれませんが、どのように探せば良いかがわかりません。
「めぼしい物件を探して不動産会社から、紹介を受けるという方法が良い」と書籍等には書かれていますが、そもそもめぼしい物件自体が見つからず、金融機関の開拓が進みません。他に良い方法があればアドバイスをいただきたいです。
A2.飛び込みでもOK、まずは足をつかって探すべし
スルガ銀行だけに頼るのではなく、信金・信組・公庫でスタートすることを選択肢に入れてみてはいかがでしょう。自己資金に余裕があればいいですが、500万円程度で年収900万円というのは、他のライバルを考えると微妙なラインです。
不動産業者に紹介してもらうというのも手ですが、紹介してもらった業者に借りを作ってしまうことになりますし、そもそも「これは!」という物件が見つからない限りは、先に進みません。紹介してもらうより確率は低いけれど、ただ待っていても始まりませんから、思い切って飛び込みでもいいと思います。
開拓するためには、自宅と会社の近くの大きな駅にある信金・信組に行けばいいでしょう。金融機関に打診するときは、具体的な物件情報を持っていった方がいいと思います。何もないと金融機関は評価できませんから。金融機関によっては「先に属性を見させてください」という場合もありますし、先に物件評価を行ってから、属性を調査する銀行もあります。
どちらもあるので、どちらを優先して見るかは、まず物件を持っていかなければ判断できません。気になる物件を持参するのが最も良いですが、希望条件に近しい物件として、ダミー物件でも持っていくに越したことはないでしょう。持ち込む物件にふさわしいのは、積算評価が高めの郊外の物件だと思います。収益性はそれほど高くなくても金融機関も受けてくれやすいでしょう。
要は、利回りは高くなくても担保価値がある物件です。本命の物件がなくても、きたるべき時の準備として、あたりはつけておきましょう。
Q3.物件探しが先か、金融機関探しが先か?
現時点では物件探しが先にくるものと捉えていますが、「質問1」にあるように、物件価格の下落を待つ場合は、いざ物件を購入しようと思っても、融資をしてくれる金融機関が見つからない恐れがあると考えています。
融資をしてくれる金融機関を先に見つける方法はあるのか、そもそもどちらを先にするのが良いのかについてご教示いただきたいです。購入目当ての物件がない状態でも、融資の相談は可能なものなのでしょうか?
A3.優先すべきは金融機関の開拓、でも物件調査も進めるべき
まずは、自分に融資をしてくれる金融機関を探すのが先決です。せっかく「購入したい」と思えるような物件を見つけても、融資をしてくれる金融機関があるかどうかもわからない状況では、「買いたい」と手をあげることができません。
金融機関にもよりますが、その人の属性を見るのに1カ月ほどの時間がとられてしまいます。だから事前に自分の属性は調査してもらい、土俵に乗ったうえで、物件の評価をしてもらうような状況にしておくべきです。
いろいろと不安な部分はあると思いますが、頭でばかり考えていても先には進めませんので、とにかく行動に移すことをお勧めします。たとえ金額は折り合わなくても、物件の条件が自分に当てはまるのであれば、「自分だったら、この物件をいくらで買うのか?」の査定をするために現地調査を行ってもいいと思います。
割高な物件でなかなか買い手がつかず、価格下落のタイミングの瞬間が来る可能性もありますから、それに備えて今から物件の調査をする目利きの力を養うため見に行くのです。1億円で売りに出ている物件が、自分にとっては「7000万円くらいの評価だな」という練習をしておけば、自分に融資をしてくれる金融機関を見つけるのと同様に、価格が下落したときの購入準備ができるようになります。
ですので、まずは金融機関の開拓をしながら、物件調査をすすめていくのがいいと思います。あと物件によっては、はじめから「融資付き」をうたっているものもありますが、投資家にとって楽な分、業者さんに利益が乗っていることもあります。それだけサービスをしないと売れないような、相場よりも高い物件というイメージを私は受けます。
基本的に何もない……経験もない、人脈もない人へ、業者さんが何もかも段取りをしてくれ、良質な物件を持ってきてくれる訳がありません。属性がいい人なら別ですが、その辺は疑いの目を持ってもいいと思います。
属性がいい人とは、次の条件を満たす人です。
・自己資金3000万円~5000万円
・年収1200万円以上
3億円くらいの物件が買えますので、業者さんからしても良いお客さんですし、多くの金融機関が積極的になります。ご自身も買える物件の幅が広がりますから。様々な物件に投資できるチャンスが増えるでしょう。年収1200万円というと驚かれるかもしれませんが、不動産投資に新規参入するプレイヤーが増え、最近になってハードルが上がっているというのが現状です。
これから始めようとする方には、簡単に良い物件が買えない厳しい時代です。今までやってきた人以上に頑張らないと難しいと思いますが、物件は必ず見つかります。融資も厳しくなってきたとはいえ、10年前に比べて不動産投資も市民権をえて借りやすい状況であるのは変わりありません。
「簡単には買えない」のは事実ですが、「絶対に買えない」わけではないのです。あきらめず、とにかく行動あるのみです! そして、その行動を続けてください!
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