本業と大家業の収支を一覧に

一覧

都内の物件に投資するサラリーマン大家のAさんは、大手通信会社で企画職を務める35歳。本業での年収は約800万円(手取り610万円)だ。4年前から不動産投資を始め、現在は3棟・12室を保有している。

(1)収入の部

収入の部

資産管理表では、まず本業での手取り収入を年単位で記載していく。昇進を前提に、年1パーセントずつアップしていく計算だ。

続いて大家業での収入も年単位で落としていく。ポイントは、物件ごとにステータス(物件タイプ、現在の賃料、戸数、満室時の月額賃料、立地、築年数)が分かるようにしておくこと。Aさんの場合、立地は駅からの徒歩5分 以内をA、15分以内をBと区分している。年単位の賃料収入は、満室時賃料×11カ月で計算し空室リスクを加味。また5年ごとに賃料が10パーセント下がるシミュレーションで物件価値の下落を織り込んでいる。

現在の大家業収入が990万円であるのに対し、シミュレーション上での15年後の大家収入は791万円。大枠の計算でも、将来的には200万円の減収となることがわかる。

(2)支出の部

支出の部

大家業での支出項目は、管理会社への手数料と基本維持費(消耗品の交換など日常的に管理会社から見積りが提出されるもの)から記載していく。物件ごとの修繕費は退去時の修繕や、築年数から予想する大規模な設備改修費用を見込んでいる。そして固定資産税の支払いとローン返済もこの支出の部に含めておく。

賃料による収入は将来的に減少していく予測だが、支出は大規模修繕のタイミングで大きく跳ね上がっている。これは、各物件の築年数から、設備の修繕が集中すると考えられる年に支出を落とし込んだものだ。

生活支出についても、食費や水道光熱費といった家庭の基本生活費(ライフプランの基本的な考え方として、手取り収入の増加とともに生活費も年1パーセントずつ上昇していくと計算)をはじめ、生活をしていく上で必要となる支出を年単位で押さえている。

大家としてのアクション順位や相場観が見えてくる

収支

こうして見渡した結果、Aさんの現在の年間収入は1600万円、年間支出は1242万円で、358万円が貯蓄可能額となった。家計の資産運用としては良好だが、このままの規模では大家業の収入のみで暮らしていくセミリタイアは厳しそうだ。

資産管理表の運用をしていく意義について伊藤氏は二つの効用を上げる。一つは大家としてのアクションの優先順位が付けやすいことだという。

築年数などの物件の現況をベースに修繕タイミングなどを予測しておくことで、大きなお金の出入りが発生するタイミングを見極めることができます。場合によっては、売却を検討する時期も見えてくるでしょう」

もう一つの効用は、「大家としての相場観が身に付いていく」ことだという。

「年単位でシミュレーションを立て、結果を振り返っていくことで、投資の規模やリターンについての相場観が見えてくるはずです。突発的な設備修繕の出費などで計画通りに行かないこともままあるかと思いますが、そうした経験を踏まえたリスク要因も含めて収入・支出の計算ができれば、長期的な不動産投資の資産管理がより正確なものになっていくでしょう」

シンプルに収支をつかみ、計画と振り返りを繰り返し更新していくことで不動産投資の経験値を反映させていくことができる資産管理表。自身の物件のことは頭の中で計算できているという人も、一度は俯瞰して現状を整理してみてはいかがだろうか。

伊藤亮太さんプロフィール

ファイナンシャルプランナー。個人の資産設計を中心としてマネー・ライフプランニングの提案を行っている。資産運用に関するセミナーや講演も多数展開。また大学院時代の専門分野として、公的年金や確定拠出年金に強い。

HP:http://www.ryota-ito.jp

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