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みなさん、こんにちは。岡田のぶゆきです。「物件が買えない」という人を対象にしたお悩み相談。第2回目の相談者は、静岡県にお住いの鈴木ひとみさんです。
株式、FX、投資信託、金、銀、プラチナ、オーナー商品など、投資全般に興味があり実際に購入をしています。不動産投資では2015年1月から行動を開始して、すでに駅近好立地の戸建てを購入、シェアハウスの運営をされているそうです。
名前 |
鈴木ひとみさん(仮名) |
年齢 |
33歳 |
性別 |
女性 |
職業 |
パート(介護職) |
居住地 |
静岡県 |
年収 |
200万円(世帯年収400万円) |
自己資金 |
300万円 |
Q1.非正規社員の不動産投資法について
別居した友人が住むところに不自由しているのを見て、安い戸建てを購入して貸し出すことで、利益が得られるのではないかと考え、不動産投資に興味を持ちました。利回り重視で、年間240万円の家賃収入を目指しています。
現在、パートタイムで働いており、年収は200万円程度で、自己資金は300万円です。金融機関から見ると、私の年収では2000万円程度の物件でも「支払い能力がない」と判断されてしまいます。そのため、どのように不動産投資を進めていいものか悩んでいます。なお、夫の収入を足した世帯所得は400万円です。
A1.夫婦、ご両親と力を合わせて不動産投資を行いましょう
ご質問ありがとうございます。非正規社員ということで、銀行融資が受けにくいという状況に悩まれているようですね。鈴木さんがひとりで不動産投資に取り組まれた場合、ご家族の協力を得られた場合の2つのケースで考えてみましょう。
(1)鈴木さん単独での不動産投資
まず、鈴木さんがおひとりで不動産投資を行う場合を考えてみましょう。年収が200万円で自己資金300万円と考えると、目標を短期間で目指すのは難しいのではないでしょうか。キャッシュでの戸建て購入は可能だと思いますが、融資を使うとなると、なかなか厳しいように思えます。2000万円の物件を購入して、家賃年収が240万円得られるということで、利回り12%と試算を行っているのかもしれません。
しかし、今の目標である家賃年収240万円にこだわりすぎると、かえってリスクが高まってしまうのではないか懸念します。高利回りである代わりに多額の修繕費がかかったり、入居付に苦労する立地であったり、借地や建て替えのできない土地ということも考えられます。
また、融資を受けて大きな物件を買えば買うほど、高額な修繕費がかかるリスクが高まります。融資額が大きくなれば返済比率も高まり、これもまたリスクとなります。
ある程度、知識のある中でリスクを理解して引き受けながら、「あえて買う」というのであれば良いと思いますが、安易に「安いから」「高利回りだから」と飛びつくのは危険です。そのため、私からの提案は目標を現実的な数字に引き下げるか、時間はかかりますが貯金をして自己資金を手厚く準備することです。
(2)家族の協力を得て不動産投資
奥さんがパートタイマーでもご主人が正社員であれば、夫婦で収入を合算して、融資の申し込みを行うこともできます。自分のご両親、ご主人のご両親にも協力をあおぎ、連帯保証人になってもらったり、自己資金を借りても良いのではないでしょうか。
そうすることにより世帯年収400万円にくわえて、自己資金を厚くすることができると思います。年収400万円はけっして高くはないですが、自己資金が1000万円を超えて用意できるようになれば、選択肢が広がります。
また、夫婦で賃貸併用住宅を購入する方法であれば、住宅ローンが使えるので、新築アパートのついた住宅も購入可能です。賃貸併用住宅の欠点は、将来的に売りにくくなることですが、住宅ローンをアパートが支払ってくれるということで、月々の家計がラクになり、アパート経営しながら、貯金を増やしていくこともできます。
これが夫婦の収入を合算した場合、親族の協力が得られる場合です。どうしても鈴木さん個人で購入したいのであれば、まずは300万円程度の小ぶりな中古戸建てを購入してみてはいかがでしょうか。コツコツと貯金をして地元の安い物件を探して、ローンなしで購入していくというような方法ならば現実的です。
そうやって家賃5万円で貸せる戸建てを4つ購入すれば、鈴木さんの目標である、年間家賃240万円を達成することができます。戸建てを複数持つことは、アパートに比べて効率が悪いですが、リスクが分散されていいと思います。購入時のリフォームも自分でなるべく行って、お金をかけずに運営していくのがコツです。お金がない分、手間をかけるということです。
一般の戸建て賃貸では長期間の入居が見込めます。共有部分がないことから、一回入居が付けばコストがからないのも魅力です。このように時間はかかるけれど確実な方法です。初心者でも取り組みやすい投資ということもあり、戸建て投資を行う女性投資家が増えています。女性投資家による書籍もでているので、読んでみると良いかもしれません。
Q2.属性が低くても融資がつく物件はありますか?
パート勤めということから、属性から融資が厳しいのは自覚しています。属性が低くても融資がつきやすい物件というのはありますか。
また、金融機関から賃貸事業として認められるためには、今所有している物件で一定期間以上確定申告をしなくてはいけないのでしょうか。
A2.積算評価が高い物件であれば、可能性があります
まず物件に価値があるかどうかです。金融機関からの評価には、土地と建物の価格で判断する「積算評価」と、その物件の生み出す収益から判断する「収益評価」があります。
それから、金融機関から見て、物件が対象エリアにあるかどうかも重要です。日本政策金融公庫は全国のエリアが対象となりますが、信用金庫の場合は営業エリアが狭いので注意しましょう。その地域に信金の支店があるかどうかをチェックします。
なお、公庫の場合は、積算評価の半分を借り入れることができるので、土地の価格が高い物件……建物付の物件が土地値で売っているようであれば、融資が出る可能性があります。ただし公庫で融資が通るか否かは、その支店の担当者にもよるところが大きく、「〇〇であればOK」とマニュアル化はされていません。
また、公庫に限らず、金融機関は全体的に保証人をとらない方向です。鈴木さんには、「保証人として頼める人がいない」ということですが、そこは問題ありません。公庫には「創業・女性支援制度」があり、はじめての事業や女性が行う事業に対して融資が出やすくなっています。そのため、支援制度が使えると有利になります。
なお「創業・女性支援制度」を使うのであれば、新規でも問題ありませんが、融資を受けるための基本的な条件として、確定申告は1期よりも2期、長く事業を行っている方が信用になります。
確定申告の内容ですが、リフォーム費用がかかっていたなど、説明できる理由での赤字は大丈夫ですが、空室が多くて赤字が続いているような状況であれば厳しいかもしれません。確定申告を行えば、それを持って地銀や信金にまわって、次の融資の足掛かりをつくっていくことができます。
それから、鈴木さんはパートタイムで介護職につかれているということですが、有資格者であれば、正社員になるのも手です。お子様が小さければ難しいかもしれませんが、正社員になることによって属性がアップします。勤続年数が数年(できれば3年以上)あれば、融資は受けやすくなります。
Q3.良い物件を探すにはどう行動すればいいのか?
融資が使えないのであれば、手頃な戸建てから現金で購入していこうかと考えています。まだセミナーなどに行ったことがなく、勉強不足で探し方がよくわかりません。どのように行動すれば、良い物件を購入することができるでしょうか。戸建て以外にも、私に購入できそうな物件があれば教えてください。
A3.足を使って探すこと、あわせて業者に対して「買えること」をアピール
まず、物件の探し方ですが、戸建てを探す場合は、『楽待』さんのような収益物件専門サイトはもちろんですが、それとは別に、地元の業者さんからも情報収集することが大事です。マイホーム向けの情報をチェックしたり、「古家付の土地」といった探し方もします。足を使ってこまめに探しましょう。
そして、欲しい物件の条件を資料としてまとめて不動産業者に持って行くことです。所有している物件資料もつくっておいて、「今後どうしたら買い増していけるのか」ということを、不動産業者に相談するスタンスがいいと思います。業者さんはその経験値から、様々な答えを持っていることでしょう。
また、いい物件を得るためには「自分が買える人であること」、それをアピールしなくてはいけません。属性や自己資金面のアピールは難しい部分があるので、買える判断力が早いことをアピールしたらどうでしょうか。
注意点としては、築古の物件となると、想定した修繕費を超えてしまう危険もあります。とにかくリフォームにお金をかけすぎないことが大事です。中には、安くても汲み取りの和式トイレといった、リフォームコストが多額にかかる物件もあります。その分だけ安く買えるなら良いと思いますが、その分の経費を織り込まずに購入すると大変です。
そのため物件調査に出向くときは、リフォーム業者さんに同行をお願いしましょう。その後の修繕をお願いするということで、無料で同行してくれる場合もありますし、日当を払ってもいいかもしれません。
そして、売値とは別にどれだけの修繕費がかかるのかをしっかり考えて購入します。指値といって、値引き交渉をすることもできますので、修繕費をしっかり計算した上で、希望価格を伝えてみるのも手です。単なる値下げは売主さんにいやがられますが、根拠のある値引き交渉であれば、OKがでる可能性もあります。そういった交渉を行いたい場合は、まず仲介業者さんに相談してください。
また、あまり広すぎる物件というのも修繕コストがかかります。床面積が広ければ、壁紙や床を交換するだけでも何十万円もかかりますし、水回りの入れ替えなども伴えば百万円以上かかることもあります。
現在は核家族化が進んでいるため、家族あたりの人数が減る傾向にあります。そのため賃貸ニーズの関係からいっても、広すぎる物件は避けた方が良いでしょう。夫婦から3~4人家族を想定して、地方ですので2台駐車場が停められるといいですね。
ただ、鈴木さんは現在シェアハウスをお持ちとのことです。同じ戸建てでもシェアハウスとしてやっていく……つまり、シェアハウス事業の拡大という方向であれば、選ぶ戸建ては変わってくるでしょう。シェアハウスとして使う戸建ての選定は、水回りの数やシェアハウスとして使いやすい間取りタイプなど、細かなチェックポイントがあります。
その結果、物件を探すのは大変になるかもしれないですが、シェアハウスとして運営できるのであれば高利回りが望めます。なおシェアハウスを拡大すれば、入居者トラブルも増えていきます。そのため、しっかりルールづくりをしましょう。
掃除などは業者を使ってアウトソーシングできますし、コミュニティの管理については、入居者のライングループをつくって、自分も入る等といった方法も考えられます。オーナーとしてシェアハウスのコミュニティに参加しながら、手間のかからないやり方を工夫することができます。こうして、管理運営の手間やコストをなるべく少なくすることがシェアハウス拡大のコツです。
最後に総合的なアドバイスをさせていただきます。鈴木さんは、アンケートで月々可能な貯金額が2万円と答えられています。パート収入が200万円あり、シェアハウスをお持ちにも関わらず貯金額が月2万円というのは、少なすぎると思います。
シェアハウスの収益を全部貯金して、パートからも預金額を増やして、月10万円以上の貯金ができれば、年間で120万円の貯蓄が可能です。そうすれば安い戸建てなら2~3年に1戸購入することができますし、貯金で自己資金が増えていけば1棟物件を買うこともできるでしょう。
選択肢を増やすためには、まずは家計の見直しからはじめるのが現実的かもしれませんね。コツコツ積み立てするというのは地味ではありますが、低属性の人にとって現金はなによりもパワーを持ちます。
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