土地は軽減措置がある!
不動産投資家、大家さんにとって、この固定資産税は大きな不動産になればなるほど、負担が大きいものですが、実はある要件に当てはまれば、土地の固定資産税が軽減されます。それは住宅が建っている住宅用地です。住宅用地であれば、1戸あたり200㎡以下の部分が1/6に、それ以上超える部分も1/3に課税標準額が下がります。1戸あたりですので、2世帯住宅であれば400㎡まで、8戸あるアパートであれば、1600㎡まで軽減措置が適用できます。
課税標準額が下がれば、当然固定資産税・都市計画税額も下がります。最初に具体例として挙げた建物が住宅用だったとすると、原則として税金の計算は次のようになります。
土地:6000万円×1/6×1.7%=17万円
建物:1億円×1.7%=170万円 合計187万円
土地の課税標準額が1/6になったことによって、税金は17万円と85万円も下がりました! 住宅用地に該当すると、とても負担感が軽くなりますね。また、駐車場として使っている土地でも、同じアパートやマンションの敷地内の入居者だけが使っている駐車場であれば、住宅用地として軽減措置が適用できます。
1月1日の所有者に掛かる固定資産税。では、市区町村がどのように不動産の使用状況などを確認しているのでしょう? 実は役所の人は、1月1日前後に飛行機で街を空撮して、その写真を見て不動産の使用状況を判断しています。年末年始に飛行機が飛んでいたら、それは固定資産税の調査をしているんですよ。
市区町村が計算を間違えることがあるのか?
固定資産税は、市区町村が税額を決めて納税する賦課課税方式であることは、先ほど説明しました。では、市区町村が固定資産税の計算を間違えることはあるのでしょうか?
イメージ的には、お役所の仕事なので間違いがないような気がしますし、間違えてほしくないですが、最近では年金情報の流出問題など、お役所と言っても信頼できないような対応をしているケースも散見されますよね。
そしてこの固定資産税も、実は役所側が間違えているケースがあります。2015年7月のニュースでは、神奈川県伊勢原市が、分譲マンションの床面積の計算を誤り、固定資産税と都市計画税を過大徴収していました。本来は課税床面積に含まないバルコニーを、誤って課税対象として算入していたんです。
また2015年8月のニュースでは、埼玉県新座市の2階建て一軒家の土地が、本来「小規模宅地」として評価しなければいけないところ、「非住宅用地」として評価されていたため、評価額がなんと4倍強にもなっていました。
このように、市区町村でも間違えるケースはあり、徴収ミスは700人に1人の割合で発生しています。土地の評価額は、実は先ほどの計算例のように単純ではなく、様々な要素や軽減措置によって評価額が変わります。また建物も、使われる材料によって評価額が変わり、その材料も多種多様なので、かなり複雑な計算となっているようです。この複雑な仕組みが、徴収ミスを発生させる原因となっているようです。
どうしたらチェックできるの?
不動産投資家、大家さんにとっては、固定資産税の過大徴収ミスは、キャッシュフローを下げてしまう原因となってしまうので、絶対に避けたいところ。もし徴収ミスがあるのであれば、できるだけ早く是正してもらいたいものです。では、どのようにチェックすればいいのでしょう?
基本的には、市区町村から送られてくる課税通知書に記載されている内容が正しいのかどうかをじっくりと見てみましょう。先ほどのように、住宅として使っている土地が「非住宅用地」と記載されていれば、過大に徴収されている可能性があります。また物件を多く持っている方も、課税通知書に記載されている建物が、現在本当にあるのかどうかも一つのチェック方法です。
最近では、固定資産税が適正かどうかをチェックしてくれる専門家がいるため、そのようなサービスを利用してみるのも一つでしょう。ほとんどの場合が、成功報酬なので、やって損はありません。ちなみに私の事務所でもそのサービスはあります。
固定資産税が減額されるとこんな効果が!
もし、チェックしてみた結果、過大に税金が徴収されていることがわかるとどうなるのでしょう? まず、今後の固定資産税、都市計画税が今までより安くなりますので、キャッシュフローが必然的によくなります。
そして、過去に払い過ぎていた税金が還付される場合もあります。先ほどの神奈川県伊勢原市の徴収ミスのケースでは、昭和48年度から40年以上計算ミスをしていましたが、昭和61年度からの30年分の税金が利息まで付いて返還されています。
過去の税金が還ってくるかどうかは、市区町村によって、そして交渉によって決まるようですが、不動産投資家、大家さんにとっては、還付されると思ってもみなかった大きなお金が入ってくることもありますので、機会があれば適正に徴収されているかどうかを診断してみると良いかもしれません。
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