02_石川さん8月最終_08252015

写真© Rafael Ben-Ari-Fotolia

みなさん、石川貴康です。現在、3冊目の本を執筆しています。今回はサラリーマンを含めどうやってお金を残していくのか、というテーマで書いています。鋭意執筆中ですので、またご報告します。

さて、実は今回のコラムは香港で書いています。すごい活気です。アジア中、どこに行っても活気に満ちています。日本だけがしょぼくれている感じです。日本は、アジアでもっとも恵まれた環境なのですから、もっともっとチャレンジしていきましょう。

そういった意味で、今回は最近注目度をあげている「海外不動産投資」のことを書いてみます。アジア限定ですが、3年くらい前から調べ始め、実際にお金も複数の物件に投じています。経験的にはアジアの3カ国限定です。どこまで、「海外不動産」として一般化できるかわかりませんが、現段階での私の見解として記録しておきます。

もちろん、私は国内不動産も買い続けています

私は日本で不動産投資を始めて15年くらいです。相続対策分から数えると25年ですが、これは祖母の土地にアパートを建てたので、純粋投資ではありません。私が純粋に投資して、ゼロから増やしてきたのは、現在手持ちの12棟100戸程度の投資です。

15年で日本国内の不動産投資もそこそこになりましたが、まだまだまったく「ひよっこ」だなあと思います。上には上がいますから、まったく自慢できるレベルではない、というのが正直な気持ちです。

ですから、今も私は国内不動産を買い続けています。なぜなら、日本の不動産投資は今のところきちんと投資回収ができると判断しているからです。そうはいっても、日本国は財政上の大問題を抱えています。しかも、その改善は一向に進まない。放漫財政のつけは増税とインフレというのが想定できます。

日本はリスクが高いと思い始め、リスク分散のために海外不動産投資を検討し始めたのが、ちょうど3年前でした。ですから、私の海外不動産投資の経験はたった3年です。大きなことは言えないのです。しかし、実際に海外不動産の視察や買い付け、入居付けを経験するにあたり、ある傾向が見えてきたので、それを書いていきます。

海外不動産を推奨する人たちの3つのうたい文句

海外不動産投資を勧める人たちがいます。この人たちがどういう人か、じっくり見極めましょう。実際に海外不動産投資を勧める人たちは、投資家ではなく、ブローカーです。自分でも物件を持っていると言う人もまれにいますが、その人たちの実際の投資経験はさほどでもないのが実情です。私だったら恥ずかしくて「海外不動産投資をしています」なんて言えないレベルです。

さて、こうした人たちのうたい文句は3つ。まず、「日本だけで資産を持っているのはリスクが高い。分散投資すべきで、海外に資産を持つべきです」ということ。次に、「日本は成長力がない。海外は成長するのでキャピタルゲインが狙える」というものです。そして、3点目は「将来、リタイアするときに海外不動産が使える」というものです。

もっといろいろなことを言うかもしれませんが、私がよく聞くのがこの3つなので、私の意見を書いてみましょう。

「日本だけで資産を持っているのはリスクが高い。分散投資すべきで、海外に資産を持つべきです」は本当か?

さて、最初の意見、「日本だけで資産を持っているのはリスクが高い。分散投資すべきで、海外に資産を持つべきです」。“意見”という言葉を使いましたが、セールストークと言っても構わないでしょう。

このセールストークには、うなずける面もあります。日本だけに資産を持っているのは、確かに「日本」という国のカントリーリスクをまともに受けます。ですから、私は海外に資産分散をすべきだと言う意見には賛成です。

しかし、だからといって海外に持つべき資産として不動産が良いとは一概に言えません。私のコラムをずっと読んで下さった方ならわかると思いますが、不動産投資は、投資と言うよりビジネスなのです。きちんと管理できないと大損害を被る可能性があるのです。はたして、ビジネスとして回せるだけの基盤が、海外で築けるのでしょうか。

残念ながら、私の答えはNOです。いくつかの国で投資してみた結果、見えてきたのが、不動産管理レベルの低さです。海外不動産管理はまったく日本人の要求水準には達していません。レベルが低いのです。こうした、レベルの低い管理水準を我慢できなければ、失敗投資となります。

実際、私が引渡しを受けた物件は、ある国の首都にあるにも関わらず、まともに入居者がつきません。家賃も、最初業者が謳っていた家賃水準の3分の2程度です。業者の客づけ能力が低く、集客力も低い。報告もまともにできない。こんなレベルです。ある程度想定していたのですが、正直ここまでレベルが低いとは思いませんでした。

とりあえず、リスク込みで経験しようと思い購入したので、こういうことが起きる覚悟はしていましたが、それにしても、想定した悪い方のレベルが発現していて、がっかりしています。他の数件は、今後引き渡されますが、もっとひどいかもしれません。

こうした見込みからいうと、分散投資として海外に資産を持つことは意見としてはありですが、資産として収益を生むのは、日本国内ほど簡単でないということです。結局、投資して収益が生めないなら、その投資は成功ではないのです。入居がなくとも、管理費用や税金がかかるのは国内と同じです。入居が促進できない、管理レベルが低い不動産管理の国は、投資に見合わないということを私は改めて学びました。

もしかしたら、国を選べば管理がきちんとしていたり、業者をもっと探して厳選すれば、良い管理会社を見つけたりできるかもしれません。しかし、かつて日本国内で行ったようなことを、海外で同じようにするのは大変です。ですから、私は海外不動産に関しては、国を選び、きちんと調べて、時間をかけて投資することにしました。

それに、資産を分散するだけなら、不動産である必要はありません。管理が大変で、入居がつかないとお金が出て行くだけの不動産は、逆に海外であるほどリスクが高くなります。繰り返しますが、資産を分散するだけなら、不動産である必要はありません。別の選択肢も検討すべきでしょう。実際に私は、不動産以外の資産、金融資産にも投資を開始しています。こちらの方が楽です。

結論から言うと「日本だけで資産を持っているのはリスクが高い。分散投資すべきで、海外に資産を持つべき」という意見は正しいと思います。しかし、その資産が海外不動産である必然性はないし、リスクが高いので、別の投資も十分検討すべき、というのが、私が現在の段階で到達している結論です。

最後に付け加えますが、管理レベルが低いのは想定していましたので、私は管理業者をそんなに責めていません。日本人の要求レベルが高すぎるので、国によっては、こんなもんだということは想定しておきましょう。

「日本は成長力がない。海外は成長するのでキャピタルゲインが狙える」は本当か?

次によく聞くのは「日本は成長力がない。海外は成長するのでキャピタルゲインが狙える」というセールストークです。これも正しいと言えば正しい。実際、3年前に比べて価格が3倍になった投資案件を知っています。

しかし、キャピタルゲインに関しては売って初めて手にできる「果実」です。売るまでは、その間の管理費用などのコストがキャッシュアウトとして出て行きます。もちろん、賃貸できる不動産の場合、インカムゲインがあれば、インカムゲイン+キャピタルゲインが狙えるので、大成功の投資になります。

問題は、売るタイミングに本当に売れるのか、実際にキャピタルゲインが取れる状況になるのか、といった未来のリスクはついて回ります。その保証はありませんから、どうなるかわかりません。成長が伴うのでキャピタルゲインは狙えるでしょうが、果たして売れるかどうか。

実際、私が投資している国の不動産は、現在売ろうにも売れません。なぜかと言うと、投資地域によってはバブルに近く、市場が飽和状態で買い手がいないのです。また、先に書いたとおり、業者は次々と新築物件やプレビルド物件を売っていて、中古マーケットは未成熟で、業者も売る力がないのです。要は、まともなマーケットではないのです。もちろん、これも国によるでしょう。しかし不動産は金額が大きく、狙った金額ですんなり売れるものではないのです。

私は、不動産投資ではインカムゲインを狙うべきと考えており、キャピタルゲインを狙ってはいません。あてにならないキャピタルゲインは狙わず、確実なインカムが欲しいのです。

私の結論は、キャピタルゲインは投資の目的にならないし、あてにならないので、キャピタルゲインを前提に投資することは、不動産投資の場合リスクに対する感度を落とす可能性があるというものです。ですから、キャピタルゲインは、手に入れば良いね、くらいに考えるべきものなのです。

また、すでに何度かコラムでも書きましたが、日本の不動産を売却した結果、私は3回のうち2回でキャピタルゲインも得ています。日本の不動産がキャピタルゲインをとれないと言うのも、単なる意見、海外不動産を売りたいブローカーたちのセールストークだと思っていたほうが慎重な投資判断ができるでしょう。

「将来、リタイアするときに海外不動産が使える」は本当か?

さて、最後は「将来、リタイアするときに海外不動産が使える」です。確かに、国によってはリタイアメントビザがあり、今現在は生活費も安く、暮らしやすい国もあるでしょう。

しかし、所詮これもセールストーク。未来はどうなるかわかりません。生活費が安い国が、いつもまでもそのままでしょうか? 逆に日本の貨幣価値が下がり、つまり円が安くなり、相対的に安かったと思った国の貨幣が高くなり、インフレも起きれば、結果、海外の方が生活コストが高くなっているかもしれません。

実際、私はこのコラムを香港で書いていますが、私がよく来ていた20年前、10年前にくらべ、びっくりするほど香港ドルは高くなり、生活コストも上がっています。同じことが起きないと言えるでしょうか。未来はわからないのですから、結局、リタイアでその国に住める、というのは、お話程度に聞いておいた方がいいのです。

それに、医療のレベルの問題、コミュニケーションの問題がついて回るので、私は結局、私自身の最後は日本で迎えたいと思うだろうなと考えています。日本で最後を迎えるなら、リタイア目的で海外不動産を持つことに意義が感じられません。まあ、ここは人それぞれですから、それぞれの判断でリタイアを迎える国、最後を迎える国を選べばいいと思います。

結局、海外不動産は買いなのか、買いでないのか

まだ、私には言い切るだけの経験がありません。しかし、そもそも「海外不動産は買い」などと、断言できる方がおかしいと思います。投資に絶対はないのです。慎重に慎重を期し、絶対にお金を失わないようにするには、投資すべき対象資産を厳選し、メンテナンスし、マネジメントしなければならないのであって、その手間とリスクは投資家が負うのです。

気がついてみれば、「この投資が良い」とか「こういう理由で投資すべきだ」などと言っているのは、その投資をさせることで儲かる人たちなのです。彼らはブローカーです。ブローカーは、個々の投資家の結果になんて責任を持ちません。我々は、相当に慎重に、セールストークを真に受けず投資を選別し、パートナーを選別すべきなのです。

私は、海外不動産投資は否定しませんし、今も投資案件を見て回っていますが、今のところ、日本の不動産ほど優秀な投資を見つけられていません。もし、より良い投資があるなら、是非教えてほしいくらいです。あるいは、不動産投資環境が整った国やマーケットがあるなら逆に教えてほしいくらいです。

つまり、投資は「海外不動産だから買い」なのではなく、「投資案件ごとの判断で買い」なのです。短絡的な言説、セールストークには注意して、投資を続けていきましょう。

【関連記事】この記事を見た人はこんな記事も見ています!

・ 知らずに買うのは危険!? 日本のマンションと海外のマンションは何が違う?
・ 海外不動産の「落とし穴」!! せっかく購入しても入居者が定着しない物件 
・ 投資家として、シンガポールの不動産を購入するのはNGな理由
・ 円安? 円高? 経済動向次第で大きな差益も望める海外不動産!
・ フィリピン? マレーシア? それともタイ? 今、アツい投資エリアはどこ?