17_秋空室対策最終_08172015

写真© Monet-Fotolia

もうすぐやって来る秋の繁忙期。空室を防ぐために日々頭を悩ませている物件のオーナーにとっては、需要の高まりを受けて空室を解消する大きなチャンスになる。しかし、家具家電をプレゼントしたり、フリーレント期間を設けたりしても、満室にはなかなか届かないというのが実情ではないだろうか。

「そんな物件のオーナーに必要なのは『企画』と『マーケティング視点』である」と語るのは、株式会社エクセルイブ代表の尾浦英香氏だ。空室対策について多数の著書を持つ尾浦氏に、物件が空室になってしまう本当の理由と、満室にするために物件のオーナーが具体的に取り組むべき対策について伺った。

「あなたが住んでほしいのは、どんな入居者ですか」という問いかけ

DSC_4670_

繁忙期か否かに関係なく、空室対策は常にしておく必要があることは、どんなオーナーも理解しているはずだ。たとえ現在満室でも油断はできない。いつ空室が出るかなど、誰も予想できないからだ。来たる秋(9・10月)の繁忙期と、春(1~3月)の繁忙期の空室対策の違いについて、改めておさらいしておきたい。

春の繁忙期は就学や転勤などでワンルームタイプの物件の人気が高く、秋の繁忙期は同じ転勤でもファミリータイプの物件の人気が高いです。秋はワンルームタイプよりもファミリータイプの需要があると言えるでしょう」

しかし、空室になってしまうような物件は、そもそも建設時に問題があることが多いという。

空室になる物件というのは、建設時に満室になるような企画がなされていなかった物件です。急に空室が増えるのではなく、もともと空室になる背景があります」と尾浦氏は指摘する。物件が供給過多の現在、入居者に選ばれるためにはオーナー側にも努力が必要なのだ。

「空室に頭を悩ますオーナーによく質問するのは、『あなたはどんな入居者に住んでほしいのか』ということ。男性か女性か、年齢は何歳くらいか、年収はいくらくらいか、どんなライフスタイルかとお聞きして、明確に答えていただけるケースは少ないです。ターゲットになる入居者のイメージがなければ、その入居者が住みたくなるような企画ができず、集客の精度も上がりません

また、企画には市場調査が必要です。周辺2~5kmくらいのエリアの他の物件の家賃や、住民の属性をしっかりと把握しているでしょうか。このような市場調査は不動産業者に依頼していただくか、自分で街を歩いてみたりするだけでも、多くの気付きを得られるでしょう。不動産投資は生きている中で最も高額な投資なのに、このような企画やマーケティングの視点が抜け落ちてしまいがちです」

満室にするためには、まずはターゲットを想定し、そのターゲットにとって最適な立地や家賃などの募集条件を検討する必要がある。これはビジネスにおける商品などの企画と同様だろう。

満室にするために取り組んでおきたい、小手先ではない対策

DSC_4654_

とはいえ、ただ闇雲に入居者が飛びつくような企画をしても意味がない。フリーレントの期間を設けたり、家具家電をプレゼントしたりするといった小手先の対策で入居者が一時的に増えても、入居者の質が上がらなければ長期的に見てオーナーにとって損になる、と尾浦氏は語る。

「たとえば、自分の部屋に住んでほしいのが35歳・女性の看護師さんだとしたら、『年収は師長クラスで500万円、帰宅は深夜に及ぶこともあり、服は何着持っていて、食器は何枚持っていて……』というように、まずはターゲットを細かく設定してみましょう。

この場合、オートロックなどのセキュリティが完備されていて、安心して帰宅できる物件であることをPRしたり、キッチンやクローゼットが広いことがより伝わる展示をしたりするなどの具体的なアクションが、ターゲットにとって最適なアプローチであるとわかります」

つまり、空室になってから対策しても遅いということ。先手を打っておけば、競合よりも一歩早く満室にできるのだ。まずは、ターゲット設定にもとづいた企画を優先的に実施すべきであり、募集条件やインテリアなどを見直すのは後回しでも良いのである。

さらに尾浦氏は「経験上、女性をターゲットにして考えるほうが、契約が決まりやすいですね。住むのは男性でも、母親や彼女が同伴して部屋を決めることが多いです。内見する人の8割方が、女性主導で部屋を選んでいます」と話す。学生の場合は母親が部屋を決めることが多く、社会人も彼女や女友達からのウケの良さを意識することが多いのだという。

結局は部屋をきれいにするのが一番です。空室の物件のオーナーほど、あまり部屋を見に行かない傾向があります。トイレの水が止まっていないか、部屋に臭いがこもっていないかをチェックしていますか。改装中で配管が剥き出しになっていたり、受付の植木が枯れていたりするのも、内見者に良い印象を与えないでしょう」

最後に、空室に悩むオーナーにアドバイスをいただいた。

「部屋に一輪の花を飾った数時間後に、入居者が決まった例もあります。印象が良くなったこともあるかと思いますが、花を飾るというのは、毎日部屋を見に行かなければならないということでもあります。愛情が注がれた物件であるかどうかは、内見者にもしっかり伝わるものです。

とはいえ、サラリーマン大家さんだと、毎日見に行くのは厳しいかと思います。繁忙期にも関わらず空室があるときには、1週間に1回、最低でも2週間に1回程度は、部屋に足を運ぶことをおすすめします

物件に愛情を注いでいるオーナーさんは、あまり物件のことで悩みません。空室以外にも、さまざまな問題を解決するために、家にもっと愛情をかけるようにしてください。家は生きています」

【空室対策に欠かせない3つのマーケティング視点】

① ターゲットになる入居者をできるだけ詳しくイメージし、彼らが重要視する要素を企画に盛り込む

② 周辺2~5kmくらいのエリアの物件の家賃や住民の属性を、不動産業者に依頼するなどして市場調査する

③ 部屋選びの主導権を握る女性を意識した企画・部屋作りを目指す

尾浦英香氏プロフィール

中学時代に、父経営の不動産会社が100億円近い負債を抱え倒産し、家族分裂や住宅喪失への恐怖を味わう。

賃貸マンション13棟250室の競売物件の管理を一人で任され、家賃滞納など問題続出物件の管理業務に従事。空室が埋まらない・家賃回収の難しいマンションは外観が関係していることに着眼。後にヘッドハントされたゼネコンで女性唯一の企画営業に抜擢される。

8-9-syoei

2003年に日本で唯一の女性賃貸マンションコンサルとして起業。女性目線の外観に独自性を持たせる空室解消メソッドを開発。JAや銀行主催で、満室経営の手法を伝える人気講師になり、満室にできるメソッドから投資物件購入のアドバイス依頼が急増。賃貸経営を豊かにする満室コンサルタントとして活躍中。

保有する免許は、CPM 米国不動産経営管理士、CCIM 米国認定不動産投資顧問、宅地建物取引士、2級建築施工管理技士、不動産コンサルティングマスター

著書に『満室大家さん ガラガラ大家さん 「女性目線」で実現! 家賃収入が途絶えない満室経営ノウハウ』がある。

株式会社エクセルイブ http://exceleve.jp/