高台なので安全性は高いが、車がなければツラい!?
芸能人に支持される高級住宅街。当然、住みやすさも抜群なのだろうか。
「安全性という観点で申し上げれば、高台に建っているので安心だと思います。ただ、移動や買い物など、生活をトータルで考えたとき、住みやすいかどうかを判断するのは個人の価値観によりますね」
実際に高級住宅街を歩いてみたが、高台にあるがゆえに、駅へ行くのに急な坂を下らなければならない点が気になった。またスーパーマーケットが少なく、食料品や日用品等の購入に苦労する印象を受けた。
移動には自家用車やタクシーなどを使い、自宅ではお手伝いさんが家事をしてくれる環境であれば不都合はなさそうだが……。土地のグレードが高いことは間違いないが、そこに住みやすさを感じるかどうかは個人のライフスタイルに対する価値観が大きく関係してくるだろう。
根拠なき過熱感漂う今、投資は慎重に行うべき
続いて、投資先としての魅力はどうかと尋ねると、田中氏は「土地のブランド力が高いことは間違いありません。ただし、慎重に動く必要があるでしょう」と警鐘を鳴らす。
「賃料単価は上昇していませんし、金利も下げ止まっています。その一方で、不動産価格だけが上昇するという、不思議な現象が起こっているのです」
投資用物件の価格を左右するのは賃料と金利だ。賃料の大きな上昇は見込めず、金利の低下もこれ以上は考えにくい状況の中で、不動産価格だけが高騰するのは確かに不思議である。田中氏はこの現象を「根拠なき過熱感」とし警戒する。
当然のごとく、投資の目的は利益を得ることで、賃料が上昇し、金利が低下して収益を得られる状態が理想だろう。仮に賃料の上昇が見込めなかったとしても、金利の低下が見込めるのであれば、利益を得られるため投資する価値はある。
しかし、現在は、賃料の上昇も金利の低下も考えづらく、金利については反転の可能性も秘めた状況だ。不動産価格だけは上昇しているため、高値づかみをしてしまうおそれがある。
「今はむしろ物件を売却して資金をプールしておき、不動産価格が下がるのを待つのも一つの手でしょう」と田中氏は話す。根拠なき過熱感は都心部で見られることだが、地価や不動産価格が高く、物件数も多い青山、赤坂、恵比寿、目黒、六本木などで不動産投資を検討する際には特に、慎重な判断を下したいものだ。
田中歩氏さんプロフィール
1991年、三菱UFJ信託銀行(旧三菱信託銀行)入社。企業向け不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。
2009年、あゆみリアルティーサービスを設立。ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション付住宅売買コンサルティング仲介などを手掛け、ユーザー目線のサービスを提供。
2014年、さくら事務所執行役員として不動産コンサルティング事業の企画運営に参画。
さくら事務所 執行役員 田中 歩 ブログ「歩のまな板」(http://www.ayumit.com/)
株式会社さくら事務所HP(http://www.sakurajimusyo.com)
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