国年金破綻最終_09152015

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国民年金が将来的に破綻することは、以前に楽待新聞でも取り上げた。(https://www.rakumachi.jp/news/column/92669
このようなことが予測されている今、私たちは老後も安定した収入を得るために、今からどんな行動をすべきなのだろうか。

ちなみに、平成25年の総務省統計局データによると、夫65歳、妻60歳以上で無職夫婦世帯の老後の標準生活費は、毎月27万2455円だとされている。定年(65歳)から寿命(90歳)までの25年間で計算すると、およそ8000万円以上もの額が必要となる。

もちろん、定年時の貯蓄や退職金も合わせれば、不可能な額ではないかもしれないが、そんな人ばかりではないだろう。貯蓄額が十分ではない人もいるだろうし、退職金を住宅ローンの返済にあてるというケースもある。安心して老後を過ごすためには、今からしっかりとしたライフプランを立てておく必要があるのだ。

そこでここでは、この毎月27万円を国民年金に頼らずに得るための手段を「個人年金」「企業年金」「不動産投資」の3つのケースに分けて、ファイナンシャルプランナーの方のアドバイスをもとに比較してみた。ご協力いただいたのは、2級フィナンシャル・プランニング技能士の資格を持つ、保険代理店マンモス・アイ コンサルティングの代表、柳沢賢次さん。年間100人以上のライフプランを手がける、この道23年のプロフェッショナルだ。

「個人年金」の受け取り方は3つの方法がある

まずは個人年金について説明したい。個人年金とは、国民年金や厚生年金とは別に、生命保険会社などと個人的に契約する年金保険のこと。役割としては公的年金と同じで、老後の生活費を確保するための貯蓄のようなものである。早速、柳沢さんに個人年金について説明していただいた。

――一般的な個人年金にはどんな種類があるのですか?

「まず支払う方法は、次の2つがあります。一時払いと積立式です。一時払いは契約時に一括して保険料を支払うもの。対して後者は、月々決まった保険料を支払うものです。支払い方に関しては、どちらかが優れているかどうかは、契約者のお考えによるので、はっきりとは言えません」

――では、その個人年金はどのようにして契約者は受け取るのですか?

「一般的に受け取る方法は3つです。生きている限り、ずっと年金を受け取れるのが終身年金。これは保険料がやや高めに設定されています。対して5年、10年、15年と決まった期間だけ年金がもらえるのが確定年金です。

この年金は、受け取りの契約金中に契約者が死亡してしまっても、期間内は遺族が年金を受け取ることができます。そして最後は、有期年金。確定年金と同じで決められた期間内は年金が支払われますが、契約者が亡くなってしまった場合は、そこで支払いストップとなります。その分保険料は安い傾向にあります」

終身年金、確定年金、有期年金、一体どれが良いのだろうか?

柳沢さんのアドバイスをもとに、それぞれのメリット、デメリットをまとめてみた。

○終身年金
・メリット……生きている限り、一生年金を受け取れる。
・デメリット……保険料が高め。契約者が亡くなってしまったら支払われなくなるので元本割れの可能性がある。

○確定年金
・メリット……5年、10年、15年と決まった期間は、契約者が亡くなっても遺族が必ず受け取れる。
・デメリット……一定期間しか受け取れない。

○有期年金
・メリット……保険料が安め。
・デメリット……契約者が亡くなってしまったら支払われなくなるので元本割れの可能性がある。

もちろん、各生命保険会社によって保険の内容は異なるが、概ねこのような内容だそう。では国民年金に頼らずに、この個人年金で90歳まで夫婦2人とも、果たして毎月27万円を得ることができるのか。

――定年(65歳)から寿命(90歳)までの25年間で、およそ8000万円以上もの額が必要となります。老後に夫婦で毎月27万円を得るためにはどのように積み立てたら良いのでしょうか?

「正直申し上げまして、退職金や貯蓄などを含めずに、この個人年金だけで毎月27万円を得るのは大変むずかしいと思います。各生命保険会社によって個人年金の内容は異なりますが、だいたいの目安として、35歳から60歳まで、月々10万5000円の保険料を支払っても、総受取額は3200万円~3400万円ほどでしょう。

もちろん、受け取る期間など商品の内容によって多少の差はありますが、あまり現実的とはいえません。やはり、退職金や貯蓄と合わせて夫婦2人で8000万円になるように考えるべきです」

なるほど。個人年金だけで毎月27万円を得るのは難しいようだ。では次に企業年金をみていきたい。

毎月受け取れる額があらかじめ決まっている確定拠出企業年金

企業年金は、企業が社員に対して退職後に年金を支払う仕組みのこと。公的年金に対し、個人年金と同じく私的年金制度のひとつだ。ただし前項で説明したとおり、個人年金は契約者が保険料を支払うものだが、この企業年金は会社の全額負担となる。ところで、退職時に企業から支払われるお金といえば、退職金が浮かぶが、この企業年金との違いはあるのあだろうか。柳沢さんに聞いてみよう。

――いわゆる退職金と企業年金はどういう違いがあるのでしょうか?

「広義では同じものです。企業を退職する際に、一括で支払われるのが退職金で、その退職金が分割で、つまり年金のように支払われるのが企業年金なんです。退職金、企業年金制度は企業によって金額や支払う期間は違いがあります。一般的には企業ごとに『退職金規程』が設けられており、そのなかに支払いのルールなどが書かれているはずです」

――なるほど、一度にもらうか、分割でもらうかという違いなのですね。

「そうです。ちなみに企業年金のなかにも、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、厚生年金基金と3種類あります。厚生年金基金は将来的に廃止される可能性が高いので、ここでは確定給付企業年金、確定拠出企業年金について説明しましょう。

まず、確定給付企業年金は日本でもっとも普及している企業年金制度で、企業が銀行や生命保険会社等に退職金のための掛金を積み立てて運用するもの。『確定』とある通り、支給額が決まっているので、退職後のライフプランは立てやすいといえるでしょう」

運用次第で受取額が変わる確定拠出企業年金

――では、もう一方の確定拠出企業年金とはどんなものですか?

「こちらは、俗に『日本版401k』と呼ばれるもので、金融機関などに掛金を積み立てて運用する形までは確定給付企業年金と一緒です。ところが大きく違うのは、確定給付型が積み立ているそのお金の運用を企業が行うのに対して、確定拠出型は加入者個人が行うという点です。つまり積立金は企業が支払いますが、管理、運用は社員個人がするということになります」

――そう聞くと、確定拠出型はリスクが高いように感じますが……。

「そうですね。運用に失敗すれば、元本割れの可能性もありますから。ですが、確定給付型と比較して支払い方法、受け取り方法を自分で決定することができるので、自由度が高いというメリットがあります」

確定給付型、確定拠出型どちらを選ぶ?

では、柳沢さんのアドバイスをもとに、それぞれのメリット、デメリットをまとめてみた。

○確定給付企業年金
・メリット……支払額、受取額が決まっており、安定した老後資金を得ることができる。
・デメリット……運用先を自分で決めることができない。自由度が低い。

○確定拠出企業年金
・メリット……運用先を自分で決められるので、成功すれば受取額も大きくなる。
デメリット……運用心配のリスクがある。受取額が決まっていないので、老後のライフプランが定まらない。

――では先ほどと同様のことをお伺いします。老後に夫婦で毎月27万円を得るためにはどのように積み立てたら良いのでしょうか?

「これも個人年金と同様に非常に難しいです。年金額は企業にもよりますが、退職金をベースとするわけですから、例えば厚生労働省が平成25年に調査した退職金の平均額は、大卒(管理、事務、技術職)で2156万円ですからね。これを月々の分割でもらっても、ほんの少し利率分が上乗せされるだけで、8000万円には程遠い状況です。公的年金があてにならないなると、やはり厳しいでしょうね」

う~ん、こちらも難しいようだ。では最後に気になる不動産投資について。

毎月27万円の利益を産みだすのは不可能ではない!!

言わずもがな、不動産投資の世界には定年などない。つまり、運用する資金力さえあれば、生きている限りずっと行うことができるということ。景気の動向にもよるが、自らの腕次第でいくらでも資産を増やすことができるのだ。そこで柳沢さんにファイナンシャルプランナーとして、不動産投資における老後資金の貯め方を聞いてみた。

――まずファイナンシャルプランナーのお立場から見て、不動産投資は資産運用の手段として有効なのでしょうか?

「これまで述べてきた個人年金、企業年金とは若干性格が異なるので、一概には言えませんが、ある程度の資金があり、寝かせずに運用したいとお考えならお勧めします。私のお客さまでも不動産投資を専業とされている方も結構いますし、また副業という形で始められた方もいらっしゃいます。ただご存知の通り、投資にリスクはつきものです。釈迦に説法かもしれませんが、投資をするにあたっては、十分に勉強されてから、始めるべきでしょうね」

――実際、毎月27万円の利益を上げることは難しいと思いますか?

「いえいえ、それはもちろんみなさんのほうがお詳しいかと思いますが、まったく不可能ではありません。毎月27万円以上の手取り収入を得ている方なら、たくさんいらっしゃるでしょう。株やFXと同様に、上記の私的年金に比べれば、比較的短期間で8000万円の資産を作ることは可能だと思います。あくまで比較したうえでですが。

さらにローンを完済した物件なら、諸経費を除けば家賃はまるまる収入となりますから。残債のない物件であれば、生活費を捻出するために売却することも考えられます」

――では、リスクや多額の資金が必要なことを差し引いてでも、不動産投資をすることが老後への安心につながる可能性が高いということですか?

「可能性としてはそうですね。ただ何度も言うように、安定したキャッシュ・フローを産みだすためには、あらゆるリスクヘッジを施し、世界経済や市場の動きを常にチェックしておく必要があります」

柳沢さんのアドバイスを以下にまとめてみた。

○不動産投資
・メリット……私的年金と比較して利益率が高い。
・デメリット……貯蓄型ではないので元本割れする可能性が私的年金と比較して高い。

こうしてみると、将来的に国民年金や厚生年金などの公的年金が破綻した場合、90歳まで毎月27万円の利益を得ることは、それほど容易ではないようだ。そう遠くない来るべき未来に向けて、今から万全の備えをしておきたい。

柳沢賢次さんプロフィール

マンモス・アイ コンサルティング代表取締役。住友海上火災保険株式会社(現三井住友海上火災保険)出身。事故サービス力1級、生命保険専門課程、証券外務員登録、中古自動車査定士、2級フィナンシャル・プランニング技能士。

マンモス・アイ コンサルティング
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