カラーシミュレーション最終_09162015

はじめまして。R’s works代表、ペイントスタイリストの秋澤亮介です。国家資格である一級建築塗装技能師の資格を保有しており、これまで、500件を超える戸建て住宅、アパート、マンションなどの塗装工事に関して、実際の施工はもちろん、提案などに携わらせていただきました。

塗装の他にも、アパレル店舗や飲食店舗、ホテルなどの特殊塗装、店舗の看板作製などの施工実績もあり、ありがたいことに雑誌や新聞など、多数のメディアに取り上げていただく機会が増えました。

塗装業界は、騙されたり、手抜きをされることが多いなどと言われてしまうことが多い業界でもあります。様々な要因がありますが、管理会社や大手のリフォーム会社などに発注された工事が、間に何社も介入しながら施工業者に依頼が降りてくるため、施工金額が叩かれ、手を抜かなければ割に合わなくなってしまうというのも1つの要因です。

このような現状をなくすべく、業者側も意識を高く持ち、ただ単に作業をするのではなく、直接工事を受注できるような仕組みやそれだけの提案力を持つべきだと考えています。

そうすることで業界はもっともっと良くなるはずです! そんな思いを持ち、私は色選びからデザインまで含めた塗装工事を提案するペイントスタイリストとして、日々活動しています。

そして、この度ご縁があり、楽待新聞でもコラムの連載をさせて頂くことになりました! 第1回である今回は、多くの大家さんが外壁を塗り替える時に一番悩まれる“色”をテーマとし、今後塗り替えをお考えになる際に参考にして頂けるよう、カラーシミュレーションを取り入れた塗装の塗り替えを4例、写真付きでご紹介していきたいと思います。

塗る前に“完成像”がイメージできる画期的なアイテムとは?

建物を守るもの、それは外壁と屋根です。もちろん、建てた時は真新しく、輝いて見えます。しかし、時が経過すれば劣化してくるものです。そこで、頭の中に浮かんでくるものが、「塗り替え」ですよね? 日本全国には様々なリフォーム会社や、工務店、塗装会社などがあり、どの業者に頼むのかというのも迷いどころですが、そのお話はまた別の機会に。

今回のテーマは、実際に塗る段階になると出てくる、悩める「色選び」についてです。街を見渡せば、建物には様々な「色」が付いています。自分の物件は何色がいいのか。外壁と屋根はどんな色を組み合わせればいいのか。頭の中では「色」をイメージ出来るけど、建物が塗られた「色」のイメージが分からない。そんな大家さんは少なくはないのではないでしょうか。

また、建物の色のイメージはできても、その街並みに溶け込むことができるのか? ということまでを想像できる大家さんはなかなかいないのではと思います。ご自身が住む物件なら自分や家族の好きな色、気に入った色を選べば良いですが、収益物件の場合には、入居者に選んでもらわなければいけないので、色を選ぶ際は自分の好みだけで突っ走るのは危険です。

そんな時に便利なのが、「カラーシミュレーション」というシステムです。カラーシミュレーションでは、「外壁はこの色! 屋根はこの色!」と希望を言えば、パソコン上であなたの物件の塗り替え後のイメージ画像を見ることが出来るんです!

イメージの共有をきちんと行った上で工事を発注したい方にはオススメです。カラーシミュレーションを導入している会社かどうかを、事前に確認した上で相談してみると良いかもしれません。

同じ物件でも、色を変えるだけでこれだけ印象が変わります!

では、早速シミュレーションしていきましょう! まずは塗り替え前の物件がこちら。

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一回目の塗り替えから約10年。屋根の色も、外壁の色も色褪せて、古めかしくなってきましたね。細かいポイントですが、門やベランダの鉄部が錆びており、それだけで古びた印象になってしまうため、入居希望者にはマイナスの印象を与えてしまいます。

では、この物件をどんな色に塗り替えるか? 色は心理的効果をもたらすと言われており、日本人の多くは「安心したい」という時に「ベージュ」を選ぶことが多いというデータがあります。まずは、そんなベージュを用いて暖色系の色合いでシミュレーションをしてみます。

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暖かみとか、安心とか、そんな感じが押し寄せてきますよね? え、私だけ? いやいや、そんな事ないはず! 外壁、屋根以外の付帯物は白で統一しました。これだけでもイメージがわいてきますよね? 塗り替え前とだいぶイメージが変わってきました。では、少しイメージを変えて……。

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またイメージが変わりましたよね? 外壁の黄色と屋根の緑で一気に明るくなり、垢抜けていい感じになりました。垢抜けてはいますが、ポップになりすぎず、ちょうどよいバランスになりました。一度、この黄色い外壁を見た後で、1枚目のベージュを見ると少し暗い印象を受けませんか? 皆さんがパッとみて感じる第一印象そのものが、入居希望者が物件を見学した際に感じる印象になるのです。

次は、少し女性らしいイメージでシミュレーションしていきましょう。

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ね、かわいいでしょ? あまり派手なピンクにしすぎると少し間の抜けた色合いになってしまうので、ピンクをベースに赤味と黒味を合わせてサーモンピンクにしてみました。そして全体を締めるために、屋根の色はワインレッドを選択しました。

1回塗り替えをすれば10年~15年の間その色と付き合っていくことになるので、思い切りすぎてどぎつい色になってしまうよりは、お好きな色の中でも、多少落ち着いた色味を選択するのも1つの手だと思います。

最後にもう1つ、シックでかっこ良いイメージもシミュレーションしてみました。

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ピンクとは対照的なネイビーを外壁に、屋根はダークグレーを選択しました。先ほどの女性的なイメージとは異なり、少し男性的なイメージかもしれませんが、これは紳士的なイメージです。清潔感もあり、爽やかでもあります。

いかがでしょうか? 4パターンをご覧になっただけでも、色によって与えるイメージを変えることができるとおわかり頂けたかと思います。

色選びのポイントって?

街を見渡してみると、白、アイボリー、ベージュなど明るく、無難な色の外壁が目立ちますが、あえて外壁の色を濃くすることも大いにありだと思います。濃い色を取り入れることにより、高級感や落ち着いたイメージを演出できます。

このように、ご自身の好きな色、あるいは演出したいイメージ、はたまた入居者のイメージから色を考えることはもちろんですが、お庭のつくりや、植栽から合う色を探したり、窓から見えるカーテンの色からそれらに合う色を探すなど、選択方法は様々です。

現在、国内の塗料だけでも8000種類、色だけでも2500~3000色あると言われています。その中から自分の物件に合ったものを探すというのは気の遠くなる作業だと思います。しかし、冒頭でも話したように、日本全国には様々なリフォーム会社、工務店、塗装会社というものが存在します。

そしてその中にあなたの物件に適した塗料を選定してくれるスペシャリストもいます。外観を見て、劣化状況を見て、数ある塗料の中から最適な塗料を選定してくれます。そして、カラーシミュレーションシステム自体も普及してきております。(もちろん私の会社にも……)私はペイントスタイリストとして数多くの現場に携わらせて頂きました。様々な「色」を見て、施工してきました。

ちなみにペイントスタイリストとは、数ある塗料の中から、その建物に合った塗料を選定し、お客様の要望に合った色を選定し、施工までおこなう者、いわゆる美容師(スタイリスト)と言えばわかりやすいでしょうか。髪質や、顔の形、着ている服などにより、似合う髪型も十人十色ですよね? お客様の要望にあった髪型をつくりあげるように、外壁や屋根を仕上げるということです。

色選びを行うと、色の組み合わせも無限大に広がっていきます。例えば、その物件は何歳くらいの人が入居する物件なのか? 学生さんが多いような地域であったり、オフィス街の近くであったり、ファミリーが多い地域にあったり様々な環境の違いでその地域に適した色を選択するのがベストです。外観の色で入居者が部屋選びをすることも珍しくはありません

アパート、マンションの塗り替えで、色褪せたベージュ色から、清潔感のあるホワイトに塗り替えた結果、入居率が上がったというオーナー様からのお言葉を頂いたこともあります。元々、古い建物が多い地域にある物件だったので、清潔感のあるホワイトに目がいき、入居者が増えたという事例でした。

さあ、みなさんも、ご自身の物件を“より素敵な色“に着せ替えてみませんか?

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