FX最終_10022015

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手元の資金を担保に、その何倍もの金額で外貨取引ができる外国為替証拠金取引、通称FX。国内の証券会社を利用して、個人が投資を行う場合は、最大25倍までのレバレッジ(証拠金倍率)をかけることができる。つまり、資金が50万円あれば1250万円分の取引が可能であり、単純計算で利回り76%を達成すれば、利益は950万円。元金と合わせれば1000万円となる。

知識ゼロではじめたFX。あっという間に資金もゼロに……

そんな実質1900%という夢のような利回りを、大学在学中のわずか9カ月で達成したのが、プロのFX投資家である田畑昇人さん。FXをはじめたのは2010年、毎日携帯ゲームに明け暮れる内に大学3年生となり、就職活動をなんとか回避するための苦肉の策だったという。

「周りが就活に向けて動き出したあの頃、僕は社会に出る自信がまったくなかったんです。そこで手持ちの20万円を資金にスマートフォンでFX取引をはじめ、学費を稼ぎ、どうにか在学期間を引き延ばそうと試みました。初日に1万円が増え、このままのペースで行けば、年間1000万円は稼げそうだと楽観視していましたが、あっという間に資金はゼロに。負けたままで終わるのが悔しく、アルバイトなどで資金50万円を用意して、もう一度チャレンジすることにしたんです」

欧米と日本で投資家の思考は異なる!

高校3年生の時には、偏差値34という絶望的な数字から、わずか2カ月の猛勉強で偏差値70まで成績を上げたほど、負けず嫌いの田畑さん。独学でFXの知識も深め、欧米と東京の時差を意識した投資法を試みた

「当時はドル/円の専業で取引をしていたのですが、1ドル80円台、東日本大震災の後には1ドル76円25銭となるほどの記録的な円高状態でした。すると、日本のマーケットが開いている9時から15時まで、多くの日本人がドルを買うため円安傾向になります。そこで、高値と感じたタイミングにポジションを解消(購入したドルを売却)しました。

次に、サマータイムだと1時間早まりますが、それ以外は日本時間の17時にロンドン、22時30分にニューヨークの市場がオープンします。その頃の欧米は売り手市場だったため、自然と円高傾向になりました。このタイミングでポジションを持つ(ドルを購入する)訳です。

また、日本人は相場の動きに反して売買をする逆バリ傾向、欧米人はトレンドに合わせて売買をする順バリ傾向にあると思います。FX会社で公開されている投資家情報のチャートを読み解けば、そういった国別の投資家の性格が見えてきますから、後は流れを予想して良いとこ取りするだけです」

怖いもの知らずの大学生だったこともあり「例え失敗しても、そこで学べば良いと思っていました。どんな行動だってリスクはつきものですから。まずは打席に立たなければ、ヒットは打てません」という考えのもと、フルレバレッジである25倍で投資を実行。当時の相場と、田畑さんの思想がマッチしたこともあり、月の利回りは30~100%の間で順調に推移したそうだ。

スマホゲーム感覚のままで資産1000万円を達成

「時期が良かったこともあり、9カ月後には資産が1000万円になりました。ごろ寝しながらスマホを操作するゲーム感覚の投資でしたから、あまり実感は沸かなかったですね。お金に執着せず、数字を意識するだけなのがプラスに働いたのだと思います。もしも欲を出していたら、ある程度のところで失敗していたかもしれません」

それ以後も順調に資産を増やしていった田畑さんは、東京大学の大学院に進学。潤沢な資産が得られたことで、在学中には不動産投資も検討したそうだ。

「いくら金融投資で利益を得ても、社会的な信用にはつながりません。しかし固定収入が得られる不動産投資は違います。そこで分譲マンションの購入を考えましたが、学生だったこともあり、融資を受けることはできませんでした。

資産を不動産投資に回せば購入は可能であるものの、資産が減ればFXでの利益は下がります。僕にとってFXの方が利回りは高いため、当時は不動産投資を諦めました。それ以降も不動産の値動きは常にチェックしています。現在は、金利水準が低く狙い目ではあるのですが……検討中です」

FXでの利益は、自分の未来への先行投資に!

投資の手段はFXに固執していないと語る田畑さんは、この日もヨーロッパ視察から帰国したばかりだ。今後は世界中のあらゆる投資を調べ、最も確実なものを狙うつもりだという。

「スマホさえあればFXはできますから、海外でも取引は続けていました。バカンスシーズンである今時期や冬のクリスマス前は、為替の動きが停滞するため、そんなに集中する必要もないんですけどね。そのタイミングに合わせて、引き続き世界中を視察して回る予定です。

半分は遊びなんですけど(笑)物欲はさほどなく、贅沢もしないのですが、そういった自己投資にはお金を惜しみません。大学院の学費をはじめ、読書や食事の費用は、さまざまな相手と付き合うための必要経費だと思っています」

自己投資で見聞を広げながら、効率的な投資先を探し続ける田畑さん。最後に、現在もしも投資物件を購入する場合についての見解も伺った。

購入するとしたら、都内にあるファミリータイプの中古区分マンションでしょうね。すでに入居者がいる物件狙いです。その場合、マイホーム用の融資が使えず、金利は高くなるので、その分だけディスカウントできないか交渉したいですね。

都内のファミリーマンションなら流動性も問題ないですし、一生涯住みたいと思う買い主が見つかる確率も高いのではないでしょうか。同じような手法で都心部のファミリーマンションを売買し、ジャスダックに上場しているベンチャー企業もあります。さらに調べてみると面白いかもしれませんね」

田畑さんは「FXで養われた経済全体を俯瞰する感覚、レバレッジやマクロ経済の知識が、不動産投資でも活きるはず」と続ける。「一芸に秀でる者は多芸に通ず」との言葉の通り、不動産投資でも成功を収めるに違いない。

○田畑昇人公式ブログ: 初心者OK! 東大式スマホFX
http://shototabata.com/