直近に取り組んだのは、都内一等地での新築プロジェクト。震災のあった2011年、永田町駅徒歩5分に売り土地が出て、ホワイトタイガーさんはさっそく現地調査に出かけた。

「銀座で物件を探しているときに、いただいたお話です。120坪のお屋敷の庭部分、50坪の東南角地が売りに出されていました。初めて見た時は塀に囲まれていて、全貌はわからなかったのですが、このあたりに整形地が出ることは非常に珍しく、震災直後ということもあり、土地値も安かったのです。2015年の相場で比べるとたぶん3分の2以下です」

いくら安いとはいえ、キャッシュで買える値段ではない。金融機関は土地だけの融資は行わないということで、各メーカーへ建物のプランを依頼した。

「商業ビルでは容積率がとれないため、レジで検討しました。ハウスメーカーの見積もりは、現実的なものではありませんでした。大手では利回り3%以下になり、とても事業としてやっていけません」

そんなときに、TV東京の「ワールドビジネスサテライト」で知ったメーカーに興味を持って、問合せをいれた。RC造で1階を駐車場、2階オフィス、3階をシェアハウスとするプランの提案を受けた。

土地から計算すると利回り5.3%、しかし建物で計算すれば利回り25%となり5年で回収できます。賃貸業でいえば利回り7%は欲しいところですが、土地に含み益があるため決断しました」

そして、2013年に工事が開始、12月に竣工して、1階2階はメーカーの借上げとなり、3階のシェアハウスは2月からの募集で、3カ月で満室となった。この永田町ビルの総事業費は約3億3000万円で、頭金25%ほど入れて、融資は約2億5000万円

「融資を受けるときは、何行かで競わせました。金融機関はメインをひとつに決めていましたが、いろいろお付き合いして、なるべく良い条件で借りられるようにするのがコツです。

というのも、担当の融資課長さんの方から『ライバルの金融機関の名刺があれば、条件を検討できますよ』と、提案をいただいたのです。その結果、固定5年、変動30年で1.5%が1.2%に下がりました」

ホワイトタイガーさんの考え方では、テナントが入る商業ビルでフルローンを受けることはリスクが高いと判断。また、スピードを求めないため、ハイレバレッジはかけないという。

「私の場合は、不動産『投資』ではなく、『事業』と考えています。当初、現金を中心に進めていましたが、借金があると生き方が真剣になるので、それは良い効果だと思いました。もちろん、ビル経営はいいことばかりじゃありませんよ。でも、プラスマイナス含めて楽しいですね。テナントのトラブルも楽しみながら解決しています」

コストをかけて手間をかけて、あらゆる問題に立ち向かっていく姿勢は、不労所得とは縁遠く、投資家ではなく事業家だ。

「モットーは、『勘と度胸と逆ばり』です。市場と自己資金を見て、デッド オア アライブ(生きるか死ぬか)の物件を買っていくやり方ですから、おすすめはできません(笑)一瞬でも迷ったらダメですね。恐怖感に足踏みしたら進めません。

次は銀座でビルを買います! 永田町は銀座の寄り道です。目標は2020年のオリンピック後くらい、その頃には資金も貯まっていることでしょう」

そんなホワイトタイガーさんの経営方針は以下の通り。

・不動産事業以外には手を出さない。
・不動産は都心3区(駅から徒歩5分以内に特化する)

その他、賃貸業について決めているのは、「募集を含めて、不動産業者に依存しない」ということで、約5割を直契約している。賃貸借契約書の作成、管理運営、退去の立会・精算、それこそ清掃まですべて自身が行っているそうだ。とはいえ、シェアハウスの運営など、自分の専門外においてはアウトソーシングを行うという方針を定めている。

ホワイトタイガーさんの所有物件

新宿区住吉町ビル
築30年 RC造 5階建て
店舗×1 事務所×1 レジ×1

新宿区市谷台マンション
築38年 RC造 4階建て 地下1階付
店舗×1 事務所×2 レジ×9 倉庫1

千代田区永田町ビル
築1年 RC造 3階建て
駐車場×6台 バイク11台 事務所×1 シェアハウス(7室)

ホワイトタイガーさんプロフィール

ホワイトタイガーさん

2005年、新宿区住吉町の駅1分の好立地に中古ビルを現金購入、全空から再生を行い利回り10%超えを達成。翌年、父が他界、遺されたのは赤字経営のマンションにくわえて、地方のリゾート地といった不良資産もあり、それらの処分し経営再建に尽力した。

その後、2011年に永田町で土地を取得して、駐車場・事務所・シェアハウスの複合ビルを建築(2013年竣工)。満室稼働をさせている。夢は「銀座にビルを持つこと!」。