ボロ物件最終_10262015

写真© Andrey Popov-Fotolia

今回のテーマは、「購入OKなボロ物件と、購入NGなボロ物件の見極め方」です。タイトルにある「購入OKなボロ」という設定は、よく考えると矛盾を抱えていますよね。普通ならボロボロの物件より、ピカピカの物件の方が良いに決まっています。しかし、この矛盾に「不動産マーケティング」の原理が潜んでいます。

・ピカピカ物件→人気→買主多→価格上昇→利回り低下→儲からない
・ボロボロ物件→不人気→買主少→価格下落→利回り上昇→儲かる

上記のように、需要と供給のマーケティングが成り立つことで、ボロボロ物件だけど買い!=リスクテイク投資(あえてボロボロというリスクをとり、その分高いリターンを得る投資)という論理が成立するのです。

しかし、当然どんなボロボロでも安ければ買えるわけではありません。安物買いの銭失いということわざがありますが、1000万円単位の銭を失うわけにはいきません! 「ボロボロだけど買い」という投資が成り立つためには、以下の3条件すべてを満たす必要があると考えます。

1.挽回可能なボロボロか

この「挽回可能かどうか」の見極めが築古投資の核心です。

まず、躯体(基礎や壁、屋根)がしっかりしていれば、挽回可能です。では、どのように躯体を確認するかですが、効率的なのは専門家に頼むことです。最近では、住宅診断士(公認ホームインスペクター)の資格を持つ方がいます。10万円程度の費用はかかりますがもっとも安心です。

また、診断士が手配できない場合は信頼できる建築会社の方に物件視察を同行してもらうのが一般的です。そうした知り合いすらいない場合は現地の建設協会に物件を診断してほしい旨を伝えて紹介してもらうのも手です。

専門家にお願いする前段階として自分で物件診断を行うことも効果的ですが、その際に私が簡易的に使うのは「クラックスケール」です。これは、コンクリートのヒビの幅をはかるスケールで、ホームセンターで500円程度で売っています。このスケールで測りクラックの幅が0.3mm以下であれば問題ありませんが、それ以上で深さも4mm以上ですと、地盤沈下や構造のゆがみなど、重大なヒビの可能性があります。

自分でもある程度の物件診断できるようになりたい方は、「住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」(住宅保証機構)を参考にするとよいでしょう。

また、お金がかかる屋根・壁の塗装の状態も確認します。軒天の荒れ確認による屋根塗装の状態確認、ペットボトルの水をかけて水のはね具合の確認、壁のコーキングに隙間ができていないか確認など、最低限の屋根壁の状態は確認しましょう。また、外廊下や手すりなどの鉄部の腐食確認も行います。

逆に言えば、玄関ドアのペンキが剥げているだとか、残置物でアパート周りが汚い状況であるとか、自分で塗れる範囲(外廊下など)の塗装がボロボロであるとか、網戸がボロボロであるとか、構造に関係ないボロボロはお金で解決できる問題ですので、致命的な条件にしません。(これを気にしていたら築古投資自体困難です)


2.価格が安い

安ければ安いほどいいですが、物件がどこまでも安くなるわけでもありません。ではどの程度が「買い」の安さなのか、モノサシはあるのでしょうか。結論からいうと、モノサシはその人のリスクのとり方次第ですので、正解はありません。以下は、あくまで「地方都市・ボロ物件・CCR(利益÷自己資金)重視」のスタンスを取る、私の価格のモノサシです。

・修繕費を含めた表面利回り最低18%
・CCRは最低20%
・土地の評価額で融資額の50%

例を挙げてみます。例えば築30年木造10戸(平均家賃3万円、年収360万円)1800万円という物件があったとします。表面利回りは20%と高いです。しかし、満室にするには修繕に200万円はかかると概算が出ました。すると、利回りは360万円÷2000万円となり、利回りは18%に低下します。しかし、何とか18%はクリアしました。

次に、ファイナンス的な視点で投資を判断します。CCRとは使った自己資金に対する利回りです。まず今回の総投資額を考えます。

物件購入費

1800万円

修繕費

200万円

諸費用(取得税、保険や登記)

180万円

合計

2180万円

となります。融資は1700万円の申し込みとすると自己資金は480万円です。

月次収入

30万円

借入返済(金利2.4% 元利均等)

16万円

月次キャッシュフロー(管理費2万円分見込み)

12万円

年次キャッシュフロー

144万円

結果、CCR=144÷480=0.3、つまり、CCRは30%となります。私は、CCRが高ければ高いほど手元自己資金が早く回収できる=リスク対応可能、新規投資可能、と考えるため、自己資金は最低5年で回収することをお勧めします。(特に築古は修繕費の手元資金が安全性を高めるために重要です)この例ですと原理上3年余りで自己資金の回収が可能です。

あとは、土地の固定資産評価額(又は路線価)で価格の半額である900万円以上があれば、価格的には買える物件と考えるのです。


3.立地が良い

ボロボロで価格が安くでも、立地が悪ければだめなのは当然です。しかし、私たちの手に入るボロボロ物件は地方都市に多いのが実情です。地方都市、なおかつボロボロ、という投資をリスク最小限に行うモノサシが必要なのです。

この立地については、詳しく書くとそれだけで1冊の本になります。ですので、要点を言うと、地方都市の場合、局所的に安全な投資場所を見つけることが大切です。

例えば北海道室蘭市など、「鉄冷え」と言われ人口減少で有名な都市がありますが、この街にある室蘭工業大学は学生数3000人規模の国立大学であり付近はアパートだらけです。その多くはバブル期にサラリーマン大家や地主が建てたもので、いまや相続の関係で売却ラッシュです。こうした国立大学の立地や地方都市でも駅前中心部など、「10年程度の中期的に需要が見込まれる地域」であれば、私は投資しています。

築古は融資期間が短いため、10年程度の予測なら見込める地域であれば、デフォルトのリスクを負わなくていいのです。築古投資を行うと、物件は安く、利回りは高く、(融資期間が短いので)借金はみるみる減っていく、という利点をたっぷり得られます。

一方、その分リスクに備えることが決定的に重要です。修繕の見通し、安い仕入れ、そして立地の確実さで、しっかりリスクヘッジを行うことが重要です。そして、築古物件投資では、自分自身がどこまでのリスクなら取ることができるのかその範囲を決めながら投資を行うことが不可欠となります。

○参考:

・住宅保証機構 – 住宅紛争処理の参考となるべき技術基準
http://www.mamoris.jp/seinou/hoshou/sankou.html