外回り全般最終_10272015

こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。

前回のコラム「ポスト・館銘板など、玄関周りのプチリノベ」に引き続き、玄関のドア周りからもう少し広範囲の外周り全般をバリューアップして、より魅力的な物件に見せるノウハウをご紹介します。工事が必要なものがほとんどですが、次回のリノベーションなどに取り入れる参考にしてみてください。

玄関の印象を左右するエクステリアライト

エクステリアライトとは、防雨性能、耐久性にすぐれた、住宅の外周りに設置する照明器具です。エクステリアにムードをかもしだすほか、防犯上も大きな役目を果たします。

賃貸物件ではエクステリアライトの電気代といった共有部の照明に関しては、オーナー負担となります。電気料金の節約のためにはLED照明器具を選ぶほか、センサー制御にするのがおすすめです。

センサーには明暗センサーと人感センサー、それにタイマー制御があります。いちばんの節約になるのはタイマー制御で、「何時から何時まで点灯する」という使い方ができるようになるので、明暗センサーよりも節電効果は高く、同時に防犯効果も高まります。

ただ、季節ごとに暗くなる時間帯が異なるため、都度、時間帯の調節をしなければならないのがデメリットです。それが面倒だと感じる方は、明暗センサーのほうが適しています。逆に、明暗センサーは昼間でも天気が悪いと点灯することもあるというのがデメリットといえます。

また、人感センサーに関しては、裏庭や勝手口等には有効ですが、玄関など人通りが多い場所に取り付けると、頻繁に点灯するため、近隣の迷惑になる場合もあるので気を付けてください。わたしは明暗センサーを取り入れています。

遠藤照明 EB2295B 1万2000円(生産完了品)

欧風の昔ながらのクラッシックな乳白色ボール型ブラケットです。アンティークやレトロチックなアパートに向いています。

コイズミ AU35981L 1万1000円(ネット通販)

手作りのアンバー泡入りガラスで外壁のオレンジのジョリパットとよく似あいます。南欧風の外観を華やかに演出しています。

オーデリック OG041658LD 9500円(ネット通販)

クラッシックな定番スタイルです。

遠藤照明 ERB6069B 19000円(ネット通販)

北欧風の建物にハードで大きめの照明を合わせました。


店舗のような庇でライバル物件に差をつける!

続いては、庇を使ってアクセントをつくるノウハウです。店舗では普通に使用されているテントも、賃貸物件ではまだまだめずらしいと思います。

使われない原因としては、色褪せや劣化が早いため、コストがかかりやすいという懸念があります。しかし、最近のテントの色や素材も豊富にあり、中にはフッ素樹脂コート処理で生地の変色も防止して、テントの美しさを維持できる商品もあります。

また無地だけでなく、ストライプ柄といった柄物も増えて、内装におけるアクセントクロスのように物件の雰囲気に合わせた演出が出来ます。

ポストやドアの色味との調和を考えたテントは
特注で約8万円

こちらは南欧風の賃貸物件で、オレンジのストライプとグリーン系の玄関ドア・ポスト、そしてオリーブの木で、明るく暖かいイメージを出しています。

鮮やかな無地のブルーのテントは
特注で約3万円

ネットで何軒か相見積もりを取りまして、一番安価で対応の丁寧なお店を選びました。通りから少し奥まった場所にありますが、このブルーで人目を引きます。はじめにこのブルーをイメージして、建物を白と黒のシンプルな色に決めました。

輸入品のアイアンの庇は
約8万円(ネット通販)

オーナーさんのこだわりが随所に感じられる建物で、アーチ型の窓に合わせ選んだ、輸入アイアンの庇です。輸入品ということもあり納期1ヵ月以上かかってしまい、一番最後の工事になってしまいました。

このように玄関まわりが華やかになるだけで、その建物の印象もかなりアップすることは間違いありません。いつも選ぶものに、少しだけ色やデザイン、そして素材にこだわってみることも大切ではないでしょうか。

窓まわりの装飾でグレードアップ

次は窓まわりの装飾、フラワーボックスの例を紹介します。実需(マイホーム)では珍しくありませんが、賃貸物件にフラワーボックスを設置するケースは少ないため、設置することにより外観がグレードアップします。室内をモデルルームにする大家さんは多いですが、空室が続くときはフラワーボックスを設置して、季節の花を飾ることで第一印象を良くすることができます

W=1800 約3万円(ネット通販)

こちらはアイアン製で、メーカー品もありますが、ネット通販でかなりお安く手に入るようになりました。

アルミの木調フラワーボックス W=1800 約5万円(ネット通販)

北欧風の木調サイディングに合わせた色で、窓まわりの幅広い付け柱の白とのバランスも良く、アクセントになっています。アルミ製ですが見た目は木製ですので、暖かみのある印象を与えることができます。


シンボルツリーで建物全体をソフトなイメージに

植栽は手間を考えるとなるべくなら植えたくない、という方も多いと思います。またそれとは反対に、入居者側からは植栽があり、手入れが行き届いている物件はその価値は高くなり、家賃も上がります。そして属性の良い入居者に入ってもらえます。わたしは建物にはグリーンとの相性がとても良いと考えています。使い方としては、垣根のような使い方ではなく、シンボルツリーとして植栽を使います。

賃貸で植栽を選ぶ場合、気を付けなければいけないのは手入れが簡単なこと。かならず常緑樹を選びます。やはり落ち葉の掃除はしたくないですよね。

余談ですが、我が家には10mにまで成長した欅のシンボルツリーがあります。新築で植樹したときは3mほどでした。今では3階の屋上から届くぐらいで、台風のような強風も遮ってくれてとても立派な木になりました。でも毎年この時期から落ち葉に悩まされる日々がしばらく続きます。当時は葉と枝ぶりが気に入って選んだのですが、落葉樹と常緑樹、大きな違いです。みなさんは気を付けてくださいね。

そして手間がかからないもの。ここでいう手間というのは水やりのことです。その次に、なるべく成長が遅い植物を選ぶことが理想なのですが、といっても成長はしますので、ある程度の剪定が必要になります。

よく使うものとしては、シンボルツリーでも人気のあるシマトネリコとオリーブです。高さや大きさにもよりますが、ホームセンターなどで数千円から購入することが可能です。

シマトネリコ 3000円~(ホームセンター)

こちらはシマトネリコをシンボルツリーで使用した物件です。写真はまだ植樹したばかりで葉は少なめですが、今では枝も太くなり葉も生い茂っています。年に1~2回ほど高さを抑えるために剪定しています。庭師がするような難しいものではなく、ただ伸びた部分をカットするだけの作業です。

シマトネリコ(前者より高さはありませんが、葉は多め)

こちらも同じくシマトネリコです。前者より高さはありませんが、葉は多めについています。株の数や葉の量も建物に合わせて選びます。

オリーブ 5000円~(ホームセンター)

こちらはオリーブの木です。南欧風の建物のシンボルツリーです。

このようにシマトネリコやオリーブが人気の理由は、一年中葉が茂り、冬でも寂しくないのが最大の魅力です。そして乾燥に強く、水やりの手間が少なくすむこと。また丈夫で病害虫にも強い。このような理由があげられます。植えるスペースが無ければ、大きな鉢植えでエントランスにソフトなイメージでお出迎え、というのも良いですね。


おしゃれで便利に! プラスαで差をつけよう!

その他、サイクルスタンド(自転車止め)や宅配ボックスなども賃貸物件にプラスαすることで、より物件を差別化することができます。宅配ボックスは工事費が別になりますが、サイクルスタンドは比較的安価で道具さえあれば自分でも設置できます。

屋根つき駐輪場を設置できれば、より良いですが、サイクルスタンドがあるだけでも「入居者に優しい物件」というイメージになります。

set-si2441 8000円/台(ネット通販)

無機質なコンクリートに自転車の形で見た目も可愛いサイクルスタンドを設置することで可愛らしさを演出しています。

サイクルレスター Cyjet サイジェ YJ-03 約1万5000円/台(ネット通販)

これらのサイクルスタンドはおしゃれなアクセントになるだけでなく、自転車の転倒防止、盗難防止にもなり入居者に喜ばれます。

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パナソニック 宅配ボックス コンボ(化粧パネル)
約8万円/個(工事店手配)

不在でも荷物が受け取れる宅配ボックスの設備は単身者に人気があります。こちらのような宅配ボックスが設置できれば効果絶大ですが、なかなかコスト面では厳しいところがあります。宅配ボックスのほかに設置工事費がかかり、費用はおおよそ2万前後です。売上が出過ぎた年度に節税対策のひとつで設置するのはいかがでしょうか。

まとめ

今回は工事が必要になるものを紹介いたしました。設置に工賃がかかりますが、同じような物件が少ないため、物件の個性を出すには最適です。他のオーナーが手を出しにくい部分ほど、差をつけやすいポイントですので、素材や色味にもこだわりたいところです。女性目線かもしれませんが、ソフトな部分を取り入れることで、物件のカラーが際立ちます。

とくに物件の外観は、物件の「顔」です。もう一手間、もう一工夫するだけで、物件の印象はかなり変わります。新築で考える際にはもちろんのこと、リノベーションでイメージを大きく変えたいときには外壁塗装に比べれば、比較的にローコストでグレードアップができるのでおすすめです。

内装に多額のコストをかけてフルリノベーションを行うのなら、内装をそこそこにして外装にも手を入れてみるのもいいのではないでしょうか。