岡田氏連載5回目最終_11042015

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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。第5回目の相談者は、東京都にお住いの富士見さんです。一部上場企業の管理職で年収1500万円という高属性にくわえて、奥様も不動産投資には大賛成と恵まれた環境です。現在は大学生のお子様の教育に資金がかかっており、自己資金は500万円、年間貯金額が200万円と属性のわりに手持ちのキャッシュが少ないのがネックとなっています。

2年後、役職定年により年収ダウンが予想されるため、スピードを持って不動産投資を進めたいという希望があり、2年後までに家賃年収5000万円を得ることを目標としています。

名前

富士見 村男さん(仮名)

年齢

53歳

性別

男性

職業

会社員(IT営業/管理職)

居住地

東京都

年収

1500万円

自己資金

500万円

Q1.短時間での投資拡大手法は?

個人向けの不動産投資用のパッケージローンは使わず、法人で買い進めることを希望しています。法人についてはいろいろ意見がありますが、不動産管理法人であれば、個人と変わらず融資を受けられるとお話をいただいております。

理由として、私の年収では個人で行なうよりは、法人のほうが節税効果は高く、消費税還付を最大限使うためにも、法人が良いと考えています。このような前提の上で、法人で短期間に規模拡大するには、どんな投資手法を選んだら良いでしょうか。

A1.規模拡大のためには関東近郊の中古RC・鉄骨マンションがおすすめ

ご質問ありがとうございます。属性や目指す事業規模からいって、私も法人の方が有利だと判断します。たしかに不動産投資用のパッケージローンは個人対象となるため、信金信組、地方銀行、日本政策金融公庫などを使っていくことになります。

新設法人は、信金信組が借りやすいのですが、営業エリアが狭まるため、地方銀行で借りるのが現実的でしょう。その際に、富士見さんの問題となるのは、やはり自己資金の薄さです。また年間貯金額200万円というのも、目標設定からいうと厳しいのではないかと思います。

2年後に家賃年収5000万円という目標を達成するには、利回り10%の物件を5億円所有しなくてはいけません。現状で利回り8%以上で探しているということですが、そうなると目指す資産規模は6億2000万円となり、よりハードルが高くなります。

たとえフルローンを受けて購入するとしても、自己資金として10%程度の現金は必要です。自己資金400万円、年間貯金額200万円ということは諸費用分もでません。

諸費用まで含んだオーバーローンであれば可能となりますが、オーバーローン(売価以上の諸費用等も支払いも含んだ金額での融資)が受けられる物件というのは、積算価格が売価以上にある物件です。もしくは空室が多い、多額の修繕費がかかるといったような商品化にコストがかかる物件をリフォーム費用込で、オーバーローンで購入することができます。

ただしこの場合は、不動産賃貸事業での実績がないと借りることは難しくなります。現実的な提案として、年間貯金額をなんとか500万円まで増やして、自己資金を2000万円にして、2億円程度の物件取得を目指してはいかがでしょうか

もしくは、自己資金として使うことを前提ではなくて、金融資産がしっかりあるということをアピールするために、ある程度の資金を用意できないでしょうか。ご両親から借りてもいいですし、奥様の預金でもいいでしょう。「見せられるお金」をつくることで、実際の融資の金額を伸ばすことができます

それでも家賃年収5000万円を2年で達成するのは難しいと思います。緩いといわれる現在でも、融資はそこまで甘くありません。目標設定を下げるか、自己資金を厚くする努力が必要です。


Q2.新築物件と中古物件どちらが拡大の早道か?

現在、少ない自己資金でスタートできる、東京近県の新築一棟アパートの業者と打ち合わせをしています。なぜ、新築業者と話しているかというと、法人としての1棟目はきちんと利回り(8%以上)のでる新築物件と決めています。

消費税還付を受けやすいのもありますが、たくさんの業者を回った上での私のこだわりです。でも、2棟目からは新築にこだわらず、中古物件にも挑戦していきたいです。この場合、新築物件と中古物件のどちらが拡大の早道でしょうか。

A2.スピードを持って買い進みたいのであれば、選ぶのは中古物件

すでに新築一棟物件を購入するという決意をされていようですが、現在、新築の建築費はかなり上がっています。また、新築木造アパートへの人気が高まっていることもあり、プラン付の土地の段階で購入するケースが多数です。アパートの建築には1年近くかかるということもあり、キャッシュフローが出るまで時間が必要です。

そのことからいっても、新築からスタートした場合、なかなかキャッシュフローを得ることができません。資産背景からいっても新築からはじめると、期間を開けずに買い進めるのが難しくなるのではないかと思います。

スピードを重視したいのであれば、中古のRCもしくは鉄骨マンションを購入することをおすすめします。RC造の方が積算評価は出やすく、鉄骨の方が利回りは高く出やすいという特徴があります。もちろん、中古といっても古すぎる物件では、融資年数は伸びません。平成築で法定耐用年数が20~30年以上あることが目安となります。

現状では、地方銀行の融資が開いており、平成築の物件を選べば、RCで30年~35年の融資も可能です。金利も比較的に低金利で中には1%を切る金利で融資を受けている人もいます。

ただし、エリアを東京都周辺に絞っては物件が出ないでしょう。栃木や群馬といった北関東にまで広げても、高利回り物件は簡単に見つかるものではありません。それでも、東京都心の新築よりは、まだ可能性はあります。平成築の一棟マンションで範囲を広げ、かつ地銀の営業エリア内で探していくのが良いと思います。

融資については、属性はもちろん、事業実績や資産背景も大きく影響するものです。最初から好条件でなくても、期間が長くて金額が大きい借入ができることを重視します。金利は後から交渉することが可能です。


Q3.シェアハウスに将来性はあるのか?

私の得ている情報では、昔ながらの違法シェアハウスは淘汰され、これからは適法な新築のシェアハウスがビジネスになるように思えます。立地、建物、管理等の条件がマッチすれば、投資価値はあるのではないでしょうか。

最近は30年家賃保証(見直しは10年おき)利回り8%以上と謳っている業者もいます。融資が付きつらいので、個人向けのアパートローンしか対応できないという話も聞きますが、融資がつくようであれば興味があります。岡田さんはシェアハウスの将来性について、どう考えられますか?

A3.シェアハウスやAirbnbといった新型不動産投資には可能性がある

たしかに好立地にある適法のシェアハウスは高い収益を安定的に生むという可能性があります。ただし、シェアハウスの運営には手間がかかります。外注することも可能ですが、それだけ収益は減ります。

シェアハウス投資を行う場合は中古シェアハウスを買う、中古戸建てを購入してリフォームしてシェアハウスにする、新築で寄宿舎を建てるといった方法があります。基本的には融資が付きにくく、実績がない中では難しいケースが多いでしょう。

中には、住宅ローンで中古戸建てを購入して、日本政策金融公庫などでリフォームローンを引いている投資家もいますが、それはしてはいけません。最悪のケースでは「期限の利益の損失」といって、住宅ローンの一括返済を求められることもあります。

また30年一括借上げで家賃が10年置きの見直しというのは、大変に良い条件だと思います。その代わりに割高な修繕費を払うことになるなど、投資家にとって不利な契約内容がないか調べてください。また、長期で保証されているといっても、その会社が倒産しては元も子もありません。会社の経営状態をしっかり調査する必要があります。

富士見さんへの総合的なアドバイスをすれば、中古のRCもしくは鉄骨マンションで利回り8%~10%の物件を買い進めるのが、銀行融資の観点からいえば一番現実的です。あわせて、都心でのシェアハウスやAirbnbを組み合わせて、より大きな収益性をとることができれば良いと思います。今からであれば、シェアハウスよりもAirbnbの方が高収益を望める可能性が高いです。

Airbnbはアメリカで生まれた民泊のマッチングサービスで、すでに多くの国で定着しています。日本ではこれまで旅館業法に抵触すると言われていましたが、政府が本格的に規制緩和に乗り出しています。投資手法としては、今後大きく伸びる可能性を感じます。

このように異なる投資手法の組み合わせを提案するのは、リスクヘッジもありますが、新しい貸し方を学ぶことにより、規模拡大のための検討の幅が広がるからです。2年間というのは厳しいかもしれませんが、属性を活かすこと、事業実績を積みあげることにより、定年退職までに不動産投資で生活基盤をつくることは充分に可能だと思います。どうか頑張ってください。

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