ヤフオクで自己資金最終_10142015

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中流以下の所得者層が不動産投資をはじめるにあたり、障壁のひとつとなるのが自己資金の捻出方法だ。現在、54室を所有し年間4000万円の家賃収入のある板澤武夫さんも、15年前は結婚したばかりで貯蓄はほぼゼロ。年収300万円台のごく普通のサラリーマンだった。

決して良いとは言えない属性で、一体どのようにして不動産投資に踏み出せたのだろうか? そのいきさつや、成功の秘訣を伺った。

投資のきっかけはネットオークション!?

ヤフオクで自己資金_板澤さまのプロフィール写真

板澤武夫さん

話は当時20代の彼が、まだ開設されて間もなかったネットオークションに興味を持ったことからはじまる。最初は身の回りの不要品を売り出すだけだったが、安く仕入れた商品を転売することで副収入が得られることに目をつけ、そこから戦略を考えるようになったという。

「キャンプ用品や夏服を秋口に仕入れて、翌年の初夏に売り出すなど、四季を意識して商材を仕入れるようになり、段々と副収入は増えました。車やバイクの転売をはじめてからは、さらに利益率が上がりましたね。

特に狙い目は特殊性のある車。例えば、ディーラーに売る場合には安く見積もられることの多い改造車です。

クルマ好きのなかには、購入前から改造する予定の方が多く、その費用も購入費に上乗せして入札を検討してくれるため、かなりの確率で仕入れ値よりも高く売れます。住まいが山梨県の郊外ですから、駐車場を借りても月3000円程度なので維持費も安いです。

あとは狙う商材の相場をしっかりと調べ、データベース化していれば、損をすることはほとんど無いと思います。ちなみに現在まで15年ほどネットオークションを続けていますが、車の売買で原価割れをしたことは一度もありませんよ」

不動産投資で経済的な自由を手にしたい!

車1台の取引で20~30万円ほどの利益が出るようになった板澤さん。まだ若く色々な事にチャレンジ出来る年齢であり、子供が小さな間に一緒に過ごせる時間も増やしたかったため、40歳までには会社を辞めて経済的自由を確立したいと考えていた。そんなときに、ロバート・キヨサキの著書『金持ち父さん貧乏父さん』と出会い感銘を受けたという。

「当時オークションで貯めた額は300万円ほどありましたので、不動産投資関連のセミナー、書籍、DVDなどに100万円ほどを自己投資として使用しました。東京まで足を運んでセミナーに通う交通費や宿泊費が主ですね。そこで成功者のプロセスを学べましたし、他の大家さんたちとネットワークを築けたのも大きな財産となりました。いい話も悪い噂も、自然と入ってくるようになりますから」

2005年、32歳の板澤さんは満を持して区分マンション(220万円、利回り25%)をキャッシュで購入。その家賃収入とネットオークションで約200万円の頭金を貯め、同じ年に2DK×12室の中古マンション1棟(5000万円、利回り15~16%)もローンで購入する。

「正直なところ、最初からマンションを一棟買いすれば良かったです。最初は手探り状態でリスクヘッジのために区分マンションを選択しましたが、レバレッジを効かせたほうが短期間で利益を上げられますから。

また、万が一の天災で建物が無くなったとしても土地は残りますし、保険だって適用されます。地方銀行を利用すれば1割程度の頭金で問題なく融資は下りるはずです。今から考えると、そんな慎重になるほどのリスクは無いんですよね」


稼働率90%超、年間4000万円以上の家賃収入を達成

その後も2006年に3DK×20室1棟、2007年に3DK×12室1棟(任意売却物件)、2009年に2DK×12室1棟と保有マンションを増やし、年間4000万円の家賃収入を達成

『狙うは地方1棟買い! 目指せ年収10倍アップ!! 不動産投資術』という書籍を執筆するまでに至った。ここ最近ではフィリピンのセブ島にて、別荘を兼ねた投資物件を購入するなど、現在でも変わらず稼働率90%超、年間4000万円以上の家賃収入を維持し続ける。その秘訣について伺った。

「他の投資とは違い、不動産は購入前に8割方勝負は決まっていると思います。安く買って安く貸す、まずこれが第一です。そして私の場合は2DK以上のファミリー向け中古マンションをターゲットにしており、入居者さんの荷物が多く、お子さんの転校にも影響があるため、ほとんどの方が一度入居した後は退去しません。ですから、最初に入居者を獲得できれば、後は入居者が不満のないようにアフターケアを続けるだけです。

物件は、トラブルがあった時にすぐ足を運べるように、自宅から片道1時間以内から探し出しています。ポイントはターゲットに合わせて、学校や病院が近くにあること、そして山梨県の郊外、車社会の土地柄ですから、駅近よりも駐車場の有無を重視しています」

40歳までに経済的自由は確立できたのか?

身の回りの物をネットオークションで売り買いすることからはじまり、自動車、不動産とより大きな対象を扱うようになった板澤さん。もともと、40歳までに経済的自由を確立するのが目的だったというが、現在は42歳。どんな生活を過ごしているのか、最後に伺った。

「実はまだ会社は辞めていないんですよ。不動産投資を行うようになって、もう会社にしがみつかなくても大丈夫となったら、なんだか気持ちに余裕が出てきました。普通に暮らす分には十分な収入がありますので、いつでも引退できますから。会社でも怖いものがなくなり、毎日が楽しくなりました。そうすると自然に仕事も上手くいくものです。本当に不動産投資をはじめて良かったと思っています」

不動産投資家として成功を収めたことで、板澤さんは本業も精力的にこなせるようになったという。これがもしも、ネットオークションや不動産投資をせずに40代になっていたのなら、どんな未来が待っていたのだろうか? 少なくとも現在よりも幸せな状況になっていたとは考えにくいものである。