物件購入前経費最終_11112015

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みなさん、こんにちは! 不動産投資専門税理士の叶です。お金を残す不動産投資コラム。今回は、これから物件を持ちたいサラリーマン不動産投資家にとっては、とっても魅力的に聞こえる「必要経費」と、物件購入前の費用について解説します。

必要経費とは何なのか?

お給料だけをもらっているサラリーマンの人が、不動産投資を始めるにあたって、魅力に思えることの一つが、払った金額を「経費」にできるという点でしょう。サラリーマンは、いろんなものにお金を払っても、一切経費にはできませんから、払った金額が経費になって節税になるというのは、興味津々だと思います。

では、物件を購入して、不動産賃貸業をスタートすると、どんなものが経費として落とせるのでしょう? その前に、まず「経費」とは、そもそも何かについてご説明します。所得税法では、経費を「必要経費」と記し、次のように書かれてあります。

① 総収入金額を得るため直接要した費用
② 販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用

これを見ると、不動産から発生する賃貸収入を得るために直接的、間接的に要した費用なら、経費にできるということですね。ただし、奥さんや子供など、生計を一にする親族が不動産賃貸業を手伝ったことに対するお給料は、原則として経費にはなりませんが、事業専従者控除や、青色事業専従者給与としてなら、例外で必要経費にできることになっています。

では、不動産賃貸業をするにあたって、実際にはどんな支出が必要経費にできるのでしょう? 思いつくものを列挙してみましょう。

租税公課
固定資産税、都市計画税や事業税
損害保険料
火災保険や地震保険など
修繕費
内容や金額によって一括で経費にできないものも有り
減価償却費
建物や設備など
借入利息
返済のうち利息部分のみで、元金部分は経費にならない
地代家賃
土地や駐車場を借りている場合の賃料など
外注管理費
管理会社への費用、区分所有は修繕積立金も経費になる
水道光熱費
共有部分の電気代や水道代
消耗品費
コピー用紙やプリンターのインクなどの事務用品類や清掃用具類など
旅費交通費
物件がある現地へ行くための費用など
通信費
電話代やインターネット接続費、郵便代など
車両費
ガソリン代や車検代など
広告宣伝費
客付け費用や看板、チラシ作成代など
接待交際費
入居者や管理会社などの業者を接待するための費用
会議費
管理会社や銀行、税理士などと打合せをしたときの費用
図書研修費
セミナーや勉強会に参加した費用や書籍、新聞代など
貸倒損失
回収できなかった賃料で一定の要件を満たすもの

こうやって見ると、色々と必要経費にできるものがありますね。注意しなければいけないのは、マンションやアパートの一部を自宅として使っている場合、固定資産税や損害保険料のうち自宅部分は必要経費になりません。

また通信費や車両費など、プライベートでも使っているものがある場合は、事業で使っている割合だけが必要経費にできて、プライベート分は除かないといけません。これを所得税では家事費、家事関連費といいます。

固定資産税や損害保険料であれば、面積などで按分します。また通信費や車両費は毎月計算するのも面倒なので、通常は数カ月の統計を取った上で、一定の割合を家事費として必要経費から除く方法で按分することが多いです。

また、必要経費にできないものとしては次のようなものがあります。

・所得税、住民税、加算税
・延滞税
・加算金
・延滞金
・罰金、科料、過料など