サイディング最終_11202015

こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。人は見た目といいますが、物件も見た目が大事です。建物にとって大きな部分を占めますので、すべて業者に任せるのではなく、多少の知識を持って自分の要望を伝え、建物の外見、いわゆる外壁を見直して、より魅力的な物件で集客UPしましょう。

外観だけでなく、建物の寿命に関わる大切な外壁材は、種類も多く、特徴も様々です。まずは、外壁材の種類について説明します。外壁材の代表的なものは下記のような種類があります。

外壁の種類

○サイディング

新築はもちろん、リフォームで既存の壁の上に貼りつける事ができるなど、施工性に優れています。塗装や塗膜材の種類によって塗り替えの周期は変わり、フッ素樹脂は耐久性が高く、15~20年、ポリウレタン樹脂系の場合は8~15年、アクリル樹脂系は6~10年とコ-キング材部分の劣化の状況を定期的に確認する事が必要です。また、木質系は、塗装面が変色してきたら塗り替えの時期となり、10~15年に1度が目安となります。

○ALC

気泡コンクリートと呼ばれる特殊コンクリートの一種で、加工がしやすく耐火性、断熱性にも優れているALC外壁は、石灰質減量、珪酸質原料を主原料として、発泡剤、混和材を混合し、養生硬化させた多孔質の軽量コンクリートパネルです。

鉄骨造の床・壁・天井などにも使用されています。外壁の補修前に必要に応じて補修を行い、充分な養生が必要になる事もあります。

○タイル

タイルは、粘土や石材を細かく砕いたものを焼き固めたもので、材料自体の耐候性や耐久性は非常に優れています

タイルにも吸水性によって呼び方が異なり、外壁材は磁器質、せっ器質が主に使われます。耐久性やメンテナンス性には優れるのですが、イニシャルコストが高い点や、地震が起こった際の剥離などが欠点で、下地材の劣化が分かりにくく、雨水侵入などによって下地が劣化するなどの問題もありますので、注意が必要です。

○セメントモルタル塗り

セメントに砂、混和材を混ぜ、水を加えて練った湿式工法により塗装された外壁で、塗り方によっていろんな表情を作ることができるため、外観に個性を出したい方などから支持されています。ただ、現場で施工するため、職人さんの腕と知識、経験がものをいう世界でもあります。地震などの影響により、亀裂が入ってくることもあるので5~10年ほどで再塗装などの検討が必要です。

ほかにもありますが、一般的に選ばれるのはこのあたりになります。その中でも賃貸物件で使われるものと言えば、サイディングです。コスト面、メンテナンス面から考えても、一番おすすめです!

今回はそのサイディングについて事例とともに紹介します。


知っておきたいサイディングの種類

まず、サイディングには、窯業系と金属系の2種類があります。

① 窯業系サイディング

窯業系サイディングはセメント質と繊維質を混ぜてつくられた外壁材です。高温の窯で焼くため、タイル風や石積みの雰囲気を出すことができます。

サイディングの厚さには、JIS規格で14mm以上からあります。薄い方が安いため、建売り住宅などでは14mmをよく使っています。表面にデザインを施した、デザインサイディングの場合、15mmもしくは16mm以上が主流です。

実物で確認すればよくわかりますが、厚みがあるものの方が、タイルや石目調のデザインが本物らしくなります。また、サイディングには色が付いていないため、工場や現場で塗装を行います。その塗装の方法によって、メンテナンス費用が変わります。目地から水が浸入するのを防ぐコ―キング材は5~7年程度で割れたり、収縮して隙間が開いたりしますので、メンテナンスする必要があります。

② 金属系サイディング

金属系サイディングは、成型・エンボス加工された金属板と裏打材によって構成された乾式工法の外壁材です。軽量で施工がしやすいのが特徴です。

厚みは15mm程度が一般的です。金属のため、サイディングが重なる部分に釘を打つのが一般的な施工です。そのため釘の跡などが目立たず、綺麗な仕上がりになります。壁面の凹凸をあまり大きくできないため、質感はあまりでません。そのせいか、比較的シンプルな柄が多い印象を受けます。

気になるサイディングのコストは?

コストについてですが、窯業系サイディングは1平米あたり約3000円~1万円が相場です。厚みによって価格が大きく変わります。

薄いサイディングの特徴はコストが安く、16mmを14mmに変更すると100万円以上コストダウンします(40坪程度の家のケース)。デメリットとしては、歪みが出る、防音効果が足りないケースもあること、見た目の重厚感がありません。

また、無塗装品については、リシン吹付けや塗装に1平米あたり、約1500円~4000円コストアップします。

金属系サイディングは、金属板の種類によって価格が変わります。

・ガルバニウム……鋼板・鉄は1平米当たり、約3500円~6000円。
・アルミニウム……定価で1平米当たり、約5000円~8500円。

厚みがある金属系サイディングに、車のような塗装を行うと1平米あたり5万円を超える場合もあります。


賃貸物件でよく使われるのは窯業系サイディング

これまで私が手掛けてきた物件はほとんど窯業系サイディングです。窯業系サイディングは工業製品ですから、品質が安定していますし、柄や色が豊富です。デザイン性が高いだけでなく、メンテナンスやリフォームが容易にできるのもメリットです。

メーカ―ではニチハとケイミュー(旧クボタ松下電工外装)の15mmもしくは16mmを選ぶことが多いです。14mmを使わない理由として、施工方法が違うからです。14mmは釘で留め付け、16mm以上は金具施工となります。

釘止めのサイディングの釘頭は、同色の補修ペイントが用意されています。そのため、貼りあがってからタッチアップすればほとんど目立ちません。ただ経過とともに釘頭が目立つということもあります。その点、金具施工であれば、釘頭が壁面に露出しにくいので、壁面を美しく仕上げられます

また金具に固定されたサイディングは、自由に伸縮することが出来るので、サイディングが温度のよって伸縮するときにストレスがなく、板材の巾方向の端部で固定されているので、ソリも出にくいです。それに厚さが15mm以上あるので丈夫であることが一番の理由です。

外壁リフォーム業者の選び方

外壁は誰からも見えてチェックできるので、訪問業者がよく営業にきますよね。悪い業者ばかりとは限りませんが、価格が大きく、長期のメンテナンスも必要なだけに信頼のおける業者を選ばなければいけません。

① 施工例を見せてもらう
実績はもちろん、センスがわかります。

② 地元の業者
地元で長く商売をしている業者は評判が悪くなるような工事はしないでしょう。アフターサービスも頼みやすい。

③ 工事の内容や金額をきちんと説明してくれる
料金だけでなく、施工方法、メリット、デメリットなど、質問してみましょう。

④ アフターサービス
施工後のアフターサービスや保証書などの体制がきちんと整っている。

以上のような点に気を付け、2社以上相見積もりをとって比較検討しましょう。


組合せによって印象が変わる! サイディングの施工事例

今までの事例をいくつか紹介、説明いたします。サイディングは色・デザイン・質感が豊富にあります。また、窓やドア、窓枠の色の組合せによってもイメージが変わりますので参考にしてください。

○木調サイディングの事例

①

ニチハ モエンエクセラード16
キャスティングウッド カーボンブラック 5223円/㎡(税抜) 縦張り

キャスティングウッド ホワイトアッシュ  5,223円/㎡(税抜)  横張り

ニチハ モエンエクセラード16
キャスティングウッド ホワイトアッシュ 5223円/㎡(税抜) 横張り

ニチハのキャスティングウッドシリーズは素材感と色が好きでよく使います。木調ということで、北欧風のように暖かみのある雰囲気を上手く出してくれます。木目を横張りか縦張りに変えるだけでも大きく変わります。全体のバランスを考え、デザイン的に窓まわりの付け柱でアクセントをつけることが多く、余裕があればフラワーボックスなども北欧調の演出に有効です。

○レンガ調サイディングの事例

ビローネMGブラウンⅡ 5,513円/㎡(税抜)

ニチハ モエンエクセレード16
ビローネMGブラウンⅡ 5513円/㎡(税抜)

ビローネMGローズグレイⅡ  5,513円/㎡(税抜)

ニチハ モエンエクセレード16
ビローネMGローズグレイⅡ 5513円/㎡(税抜)

こちらもよく使います。コスト的には前面のみ、もしくは見切りやすい入り隅面で張り分けるようにしています。

土地の形状、とくに都内など両側との距離がなく密集している場所では店舗のように前面だけにすることが多いです。前面のみの場合はコーナーで見切ることが難しいため、サイドを3尺程度まで張ることが多いです。

他のレンガ調よりも質感(厚み)や色のグラデーションに味があります。ブラウン系でサッシを黒で統一すると男性っぽいカチッとした雰囲気で、グレイ系ならばシャビーな女性っぽさが引き立つ気がします。

ミラージュタイル エメMGブラウン  3,917円/㎡(税抜)  横張り

ニチハ モエンエクセラ―ド16
ミラージュタイル エメMGブラウン 3917円/㎡(税抜) 横張り

こちらはタイル・ブロック調で、周囲の建物との調和を考え、尚且つ汚れが目立たずメンテナンス性にもコストにも優れ、デザイン的に赤と白でバランスを整えた外観に仕上げました。

○プレーンなホワイト系の事例

グラシア ALシルクホワイトF  4,200円/㎡(税抜) 横張り

ケイミュー セラディール親水パワーコート16
グラシア ALシルクホワイトF 4200円/㎡(税抜) 横張り

ホワイト系は貼り分けの際にもベースでよく使いますし、もちろん一色使いもします。こちらのサイディングは、ウェーブ状のデザインと少しマットな質感が安っぽくならず気に入っています。きれいな色と組み合わせるとより引き立ちます。

○貼り分け事例

⑨

(上)エクスレージ親水セラ15 クレールウッド15 ユースアクアブラック 縦張り 4350/㎡(税抜)
(下)エクスレージ15パワーコート キューブシュクレ サトルホワイト 3770/㎡(税抜)

上下で張り分けるパターンです。上下以外には垂直部分や凹凸のブロックで張り分けることもあります。まったく違うデザインや色を組み合わせるのもいいですし、また同じ色でデザインやパターンが違う形で組合せるなど様々な工夫ができます。

まとめ

サイディングだけでもデザインや色、質感を上手く組み合わせることで、何通りにも姿を変えることが出来ます。またサッシや他の部材パーツとトータルコーディネートすることで、より魅力的な外観が生まれますので、自分なりの工夫がしやすいと思います。とくに新築アパートを手掛ける方は、外壁にこだわりましょう。同じコストでも選び方次第でずいぶん差がつきますよ!

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