カンボジ詐欺最終_11132015

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カンボジアの不動産会社の代理店を名乗る事務所が、2011年ごろからカンボジアの不動産投資と偽って、投資詐欺を重ねていた。警察によれば、全国39都道府県の200名以上の人から、20億円を超えるお金をだまし取ったとのこと。同事務所の元社長を含め13人が逮捕され、民事訴訟においては、すでに損害賠償を命じる判決も出ている。

その手口はこうだ。まず、国内の高齢者に海外の農地使用権や高齢者向けアパートメント販売の勧誘パンフレットを郵送する。その後、パンフレットを郵送した高齢者宅に実在する大手証券会社の社員を装い「当社に代わってカンボジアの不動産を購入してくれたら高値で買い取る」などと電話でウソをつき、代金を騙しとっていた。

被害者の大半は高齢者で被害額も高額に上るケースが多く、老後の蓄えを収奪しようとする極めて悪質な詐欺事件といえる。

残念ながらよくある詐欺のひとつ

海外、とくに東南アジアへの不動産投資は近年増加している模様。ところが、今回の事件と似たような詐欺事件が時折、新聞紙上を賑わせる。なぜこういった事件があとを絶たないのか。

そこで今回は海外不動産投資の専門家に、詐欺被害に遭わないためにはどうしたら良いのか、その対策を聞いてみた。お答えいただくのは、海外不動産投資の勉強会「アジア太平洋大家の会」会長の鈴木学さん。現在、国内外に20戸以上の収益物件を所有するスペシャリストだ。

――まず今回のカンボジアでの詐欺事件についてのご感想をお聞かせください。

ああ、またかという感じです。正直、よくある話なので、なんの驚きもありませんでした。ただ、海外不動産投資を現役で行っている身としては、こういった事件は残念だと思いますし、憤慨もしています。被害者の方のほとんどは、ご高齢者の方ですしね。大変お気の毒だと思います」

――それほどよくあるものなのですか?

「そうですね。カンボジアにかぎらず、東南アジアではフィリピン、タイなど。またアメリカなどでもあります」

――不動産投資詐欺、とくに今回のような海外向けの投資詐欺の場合、どのような人がターゲットになりやすいのですか?

「傾向としてはやはりご高齢で、不動産、そして不動産投資の知識があまりない方ではないでしょうか」


まずは現地で確認すべし!

――このような被害に遭わないために、投資家として何を注意すべきでしょうか?

まずは現地に行き、どんな物件なのか自分の目で確認すべきだと思います。日本国内でも不動産投資をする際、一度も物件を確認しないでお金を払う方はいらっしゃらないでしょう? それと同じです。ただ海外、とくに東南アジアの場合、難しい問題がありまして……」

――それはなんですか?

「すべての事例がそういうわけではないのですが、東南アジアでの不動産投資はほとんどの場合、更地とその上に建てる予定の物件がセットになって売りに出されることが多いんです。つまり、投資を募っている段階では、上モノはなく更地しかないんですよ。これではせっかく海外まで見に行っても、あまり意味はないかもしれません」

――ではいったいどうしたら良いのでしょうか?

「おおまかに言うと、3つの方法があります。1つめは本契約の前に、その物件の現地での登記書や出資契約書などを確認すること。どんな土地、建物なのか、また、現在の所有者はどんな人なのかなどを調べるんです。現地からコピーを取り寄せ、翻訳すれば良い。今回の事件の舞台となったカンボジアでしたら、クメール語を読み書きできる人に見せれば良いでしょう。もし、身近に留学生などがいれば、その人に頼むのも良いと思います」

――確認して、どう判断すれば良いのですか?

「最初から騙そうとする業者の場合、実在しない土地や建物の権利を勧誘してくることが多く、書類関係も適当でずさんですので、そのあたりから判断してください」

お金の流れを答えられない仲介業者は要注意

――なるほど、まずは権利関係の書類の確認ですね。その次にすることはありますか?

「お金の流れのチェックです。自分が払うお金が、どのような経路で誰に渡って、最終的に自分の権利につながるのか確認しましょう。だいたいの場合、関わる人物は、本人、仲介業者、現地のデベロッパーとなります。

このとき、購入代金を仲介業者に全て預けてはいけません。日本と同じく、仲介業者は手数料のみ受け取れるのであって、代金は本人が直接、現地のデベロッパーに支払うべきです。

きちんとした仲介業者だったら、どこどこに送ってくださいという指示をしてくれるはず。そういったお金の流れについて、明確に答えられない業者は要注意ですね。私が代理で送ります、などと言われたら必ず拒否するようにしましょう。言われたら、ついついお金を渡してしまうかもしれません。でもそれは絶対にNGです」


専門家にセカンドオピニオンを求めよう

――では3つ目の方法を教えてください。

「先ほどの2点を確認したら、さらにセカンドオピニオンを聞きましょう。とくに知識のない方は、専門家にアドバイスを求めるのが良いと思います。私どもの『アジア太平洋大家の会』もそうですが、他にも海外の不動産投資について知識を持っている方は多くいらっしゃいます」

――では最後に、これから海外へ不動産投資を始めようとされる方に、アドバイスをいただけますか?

「当たり前ですが、投資は自己責任。投資したお金が増えていくのは、なんらかの理由、筋道があるものです。国内での投資と同様に、きちんと勉強して予備知識を身につけてから、行うべきだと思います」

投資は自己責任。それは海外でも国内でも同じだ。ちなみに投資詐欺の場合、犯人が逮捕されても、ほとんどのケースでお金は戻ってこないそう。もし耳障りのよい儲け話を聞いたら、きちんと書類やお金の流れを確認して、慎重に進めるべきだろう。

鈴木 学さんプロフィール

「アジア太平洋大家の会」会長。1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、フィリピン、オーストラリア、米国、タイに、計22室を所有・経営するグローバル大家。