決め物件最終_11132015

写真© shou1129-Fotolia

賃貸仲介業者の営業マンが、入居希望者に物件を紹介する際に欠かせないのが内見。入居希望者に複数の物件を見比べさせて、最終的にどの物件にするか選択してもらうために行うのだ。

その際にいわゆる「決め物件」といわれる、営業マンがイチオシの物件を内見ルートの最後に入れて、成約に結びつけるという手法を採用することがあると、まことしやかに噂されている。その噂は本当なのだろうか?

そこで現役の仲介業者の営業マンに、不動産業界における「決め物件」の実態について聞いてみた。登場するのは都内の仲介会社に勤務する遠藤成明さん(仮名)。賃貸物件を中心に、年間100人以上の入居希望者を内見に連れて行くベテラン営業マンだ。

ほとんどの営業マンがやっている

――ずばりお聞きします。「決め物件」というのは本当に存在し、内見ルートのなかに巧みに組み込んでいるのですか?

「はい。営業テクニックの1つとして、私たちの業界では当たり前の存在ですね。公然の秘密とでも言いましょうか、別に営業マンでなくとも業界事情に詳しい人ならみんな知っていると思います。結果を出されている不動産投資家の方なら、当然ご存知でしょう」

――どの不動産業者でも、営業マンは日常的にそのテクニックを使っているのですか?

「そうだと思います。私も新人の頃には先輩から教えてもらいましたし、当然後輩にも指導しています。もちろん、すべての仲介業者がそうしているとは言い切れませんが」

――テクニックの1つということは、そうすることで契約まで結びつくことが多いのですか?

「そのとおりです。当たり前ですが、私たちもボランティアで内見にご案内するわけではありません。多い時では1日に4人以上のお客さまをご案内することもあります。そんなとき、いかに効率的に成約までたどり着けるかが鍵になるんです。当然、少ないご案内回数で成約までいければ、当社としては費用対効果が高いということになりますから」

――では実際には、どのように決め物件を内見ルートに組み込んでいるのですか?

「営業マンそれぞれによって、またはお客さまの状況やご希望によって異なりますが、私の場合はだいたい『見せ物件』、『ボロ物件』、『決め物件』というような順番で行います。おそらくもっともポピュラーで正統派の組み立て方ではないかと思います」

遠藤さんに具体的な方法を聞いたのでまとめてみた。

○1件目「見せ物件」
予算より高めの物件。築浅で客の希望より広いことが多い。入居希望者のテンションを上げるために、少し豪華な物件を紹介する。

○2件目「ボロ物件」
予算内の家賃だが古くて汚かったり、狭かったりする物件。入居希望者は、1件目で盛り上がった気持ちが現実に引き戻され、がっかりする。

○3件目「決め物件」
家賃も間取りも周辺環境も、入居希望者の希望に極力近い物件。

 

「要は、1件目で期待値を上げ、2件目で落とし、そして3件目で、これくらいがちょうど良いかな、と入居希望者に思わせるための演出なんです。言い方は悪いですが、印象操作を行って成約へと誘導する感じです。

もちろんすべてのお客さまがこれで、契約を決めるというわけではありませんが、何も考えずにご案内するより成約率は高いと思います」