資金回収最終_12042015

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こんにちは。才津です。今回は「億単位の借金をして1棟物件を買った場合、その資金を回収できるのはいつ?」という内容でお話したいと思います。

「資金を回収する」という意味

通常、資金の回収といった場合、収益不動産を購入する際につかったお金を、購入した収益不動産から得られるお金で取り戻す、という意味で使われると思います。たとえば、1億円の収益不動産を購入する際に、諸経費と頭金で3000万円かかった場合、収益不動産から得られる家賃で3000万円を取り戻すことを、資金を回収したという感じですね。

もちろん、家賃すべてが利益になるのではなく、銀行返済や固都税、修繕費などの諸々のコストがかかってきますので、実際は家賃収入の3割り程度が手元に残ればいいくらいのレベルになってきます。

また金利がいくらなのか、頭金がいくらなのか、その物件の築年数や空室の状況、大規模修繕の必要性などによっても手残り額は変わってきますので、その辺は1棟1棟、かなり差があるのが現状です。

つまり、どれくらいの期間で投資した資金が回収できるのかは、その物件次第であって、一概に言えるものではない、ということです。ただ、こういう事を言ってしまうと、元も子もありませんので、私が考える資金回収のポイントをお話したいと思います。


回収すべき資金とは?

まず、頭金についてですが、誤解を恐れずに言えば、頭金で自己資金を使ったとしても、それは貯金をしている様なもので、なくなるものでないと考えています。(投資として頭金を入れることがいいのかどうかとは別の話です)

私が考える純粋な意味で「回収」すべき資金というのは、収益不動産を購入時に必要な仲介手数料、登録免許税などの「諸経費」だと思います。

この購入時に必要な「諸経費」をどれくらいの期間で回収できるのかどうかが、スピード感をもって不動産投資を実践するために必要な要素になってきます。私の理想として、この「諸経費」を回収する期間は1年以内を目標としています。

再投資すべき資金として考えた場合〈投資家としての考え方〉

これまで回収すべき資金とは何なのか、という話をしましたが、投資家として考えた場合、「再投資」という考え方が重要になってきます。先ほど、頭金については物件に貯金している様なものなので、純粋な意味での回収すべき資金ではないという話をしました。

ですが、再投資という考え方をした場合、頭金も回収すべき資金ということになります。先ほどの話とは矛盾するようですが、手持ちの資金がなくなるという意味では頭金だろうが、購入時の諸経費だろうが同じであるということですね。

投資家として手持ち資金を効率よく使うということを考えた場合、いかに手持ち資金を減らさない様にするかというのは至上命題といっていいほどの重要性をもちます。そういう意味で、融資をうまく活用することは投資家としての仕事の大きな部分を占めるものになってきます。

私の場合は「1年で諸経費を回収することを理想としている」と書きましたが、実際、融資を受けて購入した物件のほとんどはフルローンもしくはオーバーローンで購入していますので、かなり効率のいい投資ができているのではないかと思います。

具体的には、

1年目……1億4500万円
2年目……2億8000万円(投資総額4億2500万円)
3年目……4億8000万円(投資総額9億円超)

といった感じで、1年ごとに投資規模を拡大することが可能になったのも、資金回収をどれだけはやくするのか、資金をいかに減らさないか、ということに注力した結果です。現在、投資歴は7年目になっていますが、順調に投資規模を拡大することができています。


資金回収スパンをコントロールするのが仕事

先ほども書きましたが、資金をいかに効率的に使うのか、また、いかに手持ち資金を減らさない様な投資をするのかが非常に重要です。収益不動産を購入してはじめて、その物件からの収益のうち手残りがいくらなのか気づくようでは投資家として勉強不足だと思います。

購入対象物件からいくら収益があり、どれくらいの支出があるのかはほとんどのケースで事前に把握することが可能です。手持ち資金と収益、支出とを考え、どれくらいの期間で資金を回収したいのか、ここから逆算し、融資条件や価格面の検討をできる様になると、さらに投資規模を拡大するスピードが上がるのではないかと思います。

いかにいい物件であっても融資条件などから、資金回収までの期間をコントロールできなかったり、資金回収できるまでの期間が長すぎる場合は物件の購入を見送るというのも大事な選択肢になってきます。実際、私もこの理由で購入を見送った物件はいくつもあります。

利回りが高いが空室率の高い物件など、購入後、即、修繕費がかかる物件などは、たとえフルローンの融資が出た場合でも、投資初期では見送りする方が選択肢としてはいいということも十分に考えられます。

また、手持ち資金を減らさないという意味で、私が実際にやった手法では、レントロールをみて敷金が多く残っている物件を狙ったり、売買時の固定資産税の清算金を減らすために年末に物件の決済をしたり、不動産取得税を分割納付したりなど、資金効率を高める工夫はやるべきだと思いますね。

また、こういう考え方でいうと、金利などはいくらでもいい(もちろん限度はありますが)という判断が可能になります。つまり、購入対象の物件の利回りから計算すれば金利を数%余計に支払っても、その物件を買うことが最重要になり、収益と投資効率から考えれば金利は二の次であるとの判断ができるわけです。

物件や投資全体から判断した場合、金利4.5%であっても購入していい物件は確実に出てきますし、そういう判断を下すことこそが投資家としての仕事だと考えています。

やはり基本になるのは……?

ここまでいろいろと書きましたが、やはり基本になるのは、購入対象となる物件からいくら収入があって、いくら支出があるのかを、購入前の段階で正確に把握することです。経験がないうちは、この辺を把握することは非常に難しいと思いますが、ある程度までは素人の方でも判断することが可能です。

その方法は、過去の私の記事に詳しく書いていますので参考にしてもらえればと思います。不動産投資というのは投資規模を拡大すればするほど、いろんな意味で楽になっていくものです。資金回収期間や投資効率などをしっかりと理解し、決断を下すことが投資家としての実力を発揮するタイミングだと思います。

金利が高い=損をするといった自宅を購入するような判断ではなく、投資としてその金利を支払うべきかどうかを判断できるようになると、投資家として次のステージにステップアップできるのではないかと思います。