岡田氏6回最終_12042015

写真© taa22-Fotolia

皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。今回の相談者は、滋賀県にお住いの高橋淳さんです。高橋さんは生まれ育った地元の電子部品メーカーで技術者をされており、年収は500万円ですが、将来を案じて投資物件を探されています。現在は実家で就労する奥様と貯蓄に励まれ、自己資金500万円、年間貯金額300万円とお若いのに頑張られています。

将来の目標は税引きキャッシュフローで年間240万円の収入を得ることですが、来年から奥様の実家の家業(自営業)に転職される予定で、この先の年収や貯金額は不確かになってしまうそうです。

名前

高橋淳さん(仮名)

年齢

26歳

性別

男性

職業

会社員(電子部品メーカー/技術者)

居住地

滋賀県

年収

約450~500万円

自己資金

500万円

Q1.一棟目にはどのような物件を買うべきか?

一棟目に自分が買うべき物件に迷っています。現在は地元で中古の一棟物件を考えております。長男ということもあり、いずれは実家に住む予定なので、将来的には地元で新築の一棟物件を購入し、将来生まれる子どもへ遺したいです。将来的のことを見据えて、最初の投資物件はどうするべきかアドバイスをお願いします。

A1.転職するまでに、地元で融資が引ける物件を購入する

ご質問ありがとうございます。来年、自営業へ転職予定ということで、転職後に融資が受けにくくなる可能性があります。サラリーマン属性のうちに、1棟目を購入することを目標にしましょう。

具体的にどんな物件を購入するのかといえば、「利回りが高く、金融機関の評価が出やすい物件」です。築年数が古いと融資期間も伸びにくくなり、次の売却が難しくなるため、RC造か鉄骨造で比較的新しくて利回りが高い物件を狙われてみてはいかがでしょうか。

なお、利回りの基準は滋賀・東京・大阪でそれぞれ違います。総じて地方の方が利回りは高いので、地元の滋賀で買っていくのは良いと思います。築浅で高利回りという条件を満たすためには、滋賀でも一等地ではなく、郊外のエリアになると想像します。

物件価格の安い郊外でも、賃貸ニーズのあるエリアを選んでいくのがポイントです。簡単ではありませんが足を使って探します。都市部に比べ、地方の収益性の方が銀行評価も伴いやすいため、融資を活かせる投資を行いやすいでしょう。

ただし「空室率も低く、築年数も新しくて利回りは30%!」という掘り出し物のような物件を買うことはできません。いってみれば、「地方で、なるべく築浅で融資が受けられる物件の中で、極力利回りが高い物件」という話です。

金融機関は滋賀県であれば、池田泉州銀行、関西アーバン銀行、りそな銀行が不動産投資で使えると聞いています。りそな銀行はメガバンクですが、物件によってはいけるかもしれません。逆にお膝元の滋賀銀行が、投資物件に積極的だという話はあまり聞きません。

購入する物件規模は1億円辺りを狙いたいところですが、世帯収入や年齢から判断すると7000万円前後が現実的です。規模を拡大させるためには、同じ7000万円でも複数棟を購入して、タイミングを見て売却しながら買い進めていくのがおすすめです。

しかし、複数棟を購入する場合では、1棟ごとに物件選定をして融資の審査を行いますから、来年の転職を考えると時間が足りません。そこで1棟目は、借りられる融資の中で最大限に大きい物件を購入するのが現実的だと思います。

新築アパートを地元に建てたい意思がおありのようですが、新築アパートにこだわる理由は何でしょうか。新築アパートを地元に建て、子どもに引き継ぎたいと考えた場合、当然のことながら長期保有を前提としています。

長くそのアパートを所有するのであれば、需給バランスをより慎重に調べる必要があります。お子様に引き継ぐタイミングで、空室が続くようなアパートとなっては意味がありません。

長期保有の新築に限っていえば、むしろ地元ではなくて都市部の方がいいかもしれません。また、子どもにアパートを引き継がせる、事業継承を考えるのであれば、物件を法人で購入している方がスムーズです。


Q2.どうしたら物件を買えるようになるのか?

現在、気になった本や楽待のコラムを読み、定期的に物件を探してはいますが、このままでは一向に買える気がしません。今自分に足りていないのが何なのかわかりません。勉強量がまだまだ足りないのでしょうか。

それとも不動産屋さんに会いに行き、物件を紹介してもらうべきなのでしょうか。現在3件の不動産屋さんから連絡をもらい、物件を紹介してもらいました。そのうちの1件は店舗に足を運んで話をした程度です。

A2.不動産業者と関係を築き「本気で買いたい」とアプローチする

まずは滋賀をはじめ、関西で主催されている様々なセミナーや交流会に参加してみましょう。そして、ひたすら物件を探すことです。毎日、時間を決めてインターネットで検索することからはじめ、仕事が休みの日は業者まわりや物件調査に出かけます。これらはあきらめないことが重要です。続けていけば見えることがあります。

転職後は融資がつきにくくなる恐れもありますが、不動産業者に自分の属性や資産背景もしっかり説明して、「本気で買いたい!」という意思があることをアピールします。

また、奥様のご実家の会社や親戚の協力が得られるならより心強いでしょう。金融機関は自分で開拓することもできますが、初心者であれば不動産業者から金融機関への紹介が一般的です。今後、借りにくくなることを考えると、先々まで見据えて不動産業者へのアプローチが必要です。

Q3.自分にとって良い物件とはどのようなものか?

買いたいと思う物件を見つけてはシミュレーションをしていますが、その結果をどのように判断していいかわかりません。自分の判断に自信が持てないのです。空室率は20%で考える、金利は4%まで上がっても大丈夫かストレスをかける、返済率は40%以下を目指すといった指標がありますが、何をチェックすればいいのでしょうか。

数値に現れる利回り、現れない立地など様々な要素がありますが、どのように組み合わせて判断すべきか、自分に合った判断基準を教えて欲しいです。

A3.まずは不動産投資を開始して、それから自分なりのスタイルを確立していく

不動産投資の本には様々な指標がありますが、それを鵜呑みにしてはいけません。その書籍が書かれた時期と今では市況が違います。また、書籍を書いた投資家の年齢や資産背景、目指す収益や資産規模も異なります。

その投資家が投資を行っているエリアの空室率と、滋賀の空室率では差もあるでしょう。そのため、著名投資家や不動産コンサルタントが提唱する数値を、そのまま真似するのではなく自分自身の判断基準を見つけることが大切です。

基準の中には地銀・信金の融資条件であったり、一棟アパートが出やすい、RCマンションが出にくいといった、その地域の特性も加味していきます。たとえば、滋賀で需要が続くエリアで購入すれば、空室率をもっと低く見積もることもできます。

金利ついては考えなくてもいいと思います。はじめから金利4%で借りている投資家もいます。要はそれに見合う収益があればよいのです。初回は金利条件が悪くても実績を積んで、金利条件が良くなるということは一般的です。


ひとつ言えることは、完璧な物件を追い求めてなかなか買えないよりは、まずは一歩を進めて不動産投資を開始することです。物件の購入エリアを滋賀で絞るのはいいと思いますが、物件情報の入手先については、地元はもとより大阪・京都など、なるべく広げていくことが大事です。

私自身、週に多くて10件の業者をまわった時期もありました。そこまでしないまでも、せめて週末は業者まわりをしてください。はじめは不安もあるでしょうが、続けているうちに自分自身の投資スタイルが確立されていきます。

高橋さんへの総合的なアドバイスをすれば、絶対的に行動力が不足しているということです。他に投資の割合を減らして、不動産投資に集中させてはいかがでしょうか。行動量が足りない人、完璧な物件を追い求め続けている人は、いつまでも物件を買えない人の典型です。

もっと自分の足を使って業者まわりをしてください。少なくとも週末を使って物件を見に行くことです。そして業者に会いに行くことを自分に義務づけてください。情報をネットで探すのはいいけれど、その後で資料を請求して、業者に会う、物件を見に行くといった次のアクションにつなげていくのです。そうしなければ、いつまで経っても次のステップへは進めません。

また、高橋さんがやられているFXなど、他の投資で大きく稼げていればともかく、資産の分散の意味で行っているのであれば、ここは不動産投資に集中した方がいいのではないでしょうか。

FXでいくら儲けてもその実績は金融機関の評価につながりません。FXは自己資金にしたり、金融機関に「これだけの資産がありますよ」とアピールするため、見せ金にすることをおすすめします。

転職は融資を受けるにあたってハンデとなりますが、今後、転職する予定が奥様の実家の法人というお話しです。業歴がよく融資を受けやすい業種であれば、自営業の法人で物件購入することも可能です。たとえ法人属性がいまいちでも、高橋さんはまだ若いので、これから実績をつくっていくことは可能です。

また、最終的にお子様へ物件を遺したいというお話ですが、本業を含めて不動産投資も法人の事業となれば、次世代に事業継承することはさほど難しいことではありません。手取り240万円の目標ですが、世帯年収や属性からして、不動産投資に集中すれば充分に達成できる数字です。まずは、しっかり行動をしていきましょう!

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