仮面銀行マンK最終_12092015

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不動産投資は銀行の融資を活用して行うのがセオリー。しかし融資を受けられたとしても、年齢によっては新たな難題に直面する。歳を重ねてから不動産投資を始めた場合、融資期間が十分とれないと言われている問題だ。

たとえば会社員で40代を超えていたら、定年の60歳までは10数年しか残されていない。10数年の融資期間だと月々のローン負担は高額になり、家賃収入で返済を賄えないケースも出てくる。

すでに物件を所有し、次の物件を狙う不動産投資家も他人事ではない。年齢が高くなるほど融資で同様の壁にぶち当たり、キャッシュフローを悪化させることになりかねない。

中高年になって物件を購入する際、融資期間が短くなるのは致し方ないのか? 年齢のハンデを払しょくして融資期間を延ばす方法はないのか? 繰り上げ返済の是非を説いてもらった前回コラムに続き、現役の銀行マン兼不動産投資家の仮面銀行マンKさんに話を聞いた。

「プロパーローン」なら年齢制限なし!?

「不動産の融資には2つのローン形態があります。ひとつは、不動産業者などと銀行が提携して融資する『提携ローン』。アパートローンはこれに該当します。もうひとつは、銀行独自で融資する『非提携ローン』。いわゆる『プロパーローン』と呼ばれるものです。中高年の方の場合、どちらのタイプのローンを組むかによって融資期間が大きく違ってきます」

提携ローンは基本、ローンと団体信用生命保険の加入がセット。この団信の加入に年齢制限があるため、年齢が高い人ほど必然的に融資期間も短くなってしまう。一方、プロパーローンにはそういった制約はないそうだ。

プロパーローンに限って言えば、年齢制限を設ける銀行は減っています。極論、年齢がネックになるのはゼロに等しい。したがって、40代50代で不動産投資を始めたとしても、融資期間を長くとることは十分可能なのです」

驚きの事実だが、一般にはあまり知られていない。それもそのはず。銀行は表だっては公言しないからだ。でも実際、Kさんの勤める銀行では、プロパーローンにより80、90の年齢まで不動産の融資を実行している例も珍しくないとか。


長期ローンに不可欠なヒト、モノ、カネとは?

「ただし、誰でも融資期間の融通が効くわけではありません。年齢に関係なく長期のローンを認めるのは、理由があってのこと。そのポイントとなるのが、『ヒト、モノ、カネ』の3つのキーワードです」

Kさんが示唆するヒト、モノ、カネの内容は以下。

・ヒト……属性。サラリーマン、公務員、自営業など職業があてはまる。
・モノ……資産。金融資産、不動産資産などがあてはまる。
・カネ……お金。預貯金のほか、すでに収益物件を所有していれば生み出されるキャッシュも含まれる。

「ヒトの部分がサラリーマンだったとして、仮に48歳で20年のローンを組んだ場合、返済終了は68歳。65歳までは働けるケースが多いものの、50代後半で給料は下がるのが通例です。銀行が融資審査で判断するのは、そのマイナスをモノとカネの部分でカバーできるかどうか。カバーできるだけの資産やお金を持っている人なら、年齢が高くても長期のローンを組めることになります」

つまり、先に挙げたヒト、モノ、カネは、3つの要素がすべて重要視されるわけではない。いずれかの要素が融資基準に合致していなくても、そのほかの要素でカバーできるのであればOKなのだ。

「ただ、年齢が高くなるにつれ、ヒトを判断材料にするウエイトは低くなります。給料をもらえる期間がだんだん短くなっていき、いずれ金額も減っていきますからね。中高年の方の場合、ヒトよりもモノとカネが融資期間に深く関係してくると考えていいでしょう

資産があってもマイナス資産だと×

モノ=資産を持っている中高年の人ほど融資に有利に働くのは言うでもない。しかし、そこには思わぬ落とし穴も潜んでいるという。たとえば、資産としてアパート1棟をすでに持っていたとしよう。

「このアパートをオーバーローンで購入していると、資産より負債が多いケースも想定されます。いくら資産があってもマイナスの資産だったら、銀行は評価しません。要するに、資産の中味が問われるのです」

カネ=お金についても同じ。現金がたくさんあっても、それ以上に借金があったら差引マイナスで評価に値しない。また、収益物件を持っていたとしても、賃貸経営が思わしくなくてキャッシュを生んでいなかったら同様に意味はない。

所有する物件の資産価値がローン残高を上回り、かつ収益をきちんと生んでプラスになっていることが、融資期間を長くとるための絶対条件です。言い換えれば、モノ、カネがマイナスに陥る最初に物件を取得してしまったら、2件目購入時に長期のローンは組みづらく、融資自体を引くのも厳しくなります。1件目の物件選択が明暗を左右することも肝に銘じてください


属性の高い「保証人」を付ければ道は開ける

ヒト、モノ、カネの要素に自信が持てない中高年層もいるだろう。となると融資期間を延ばすのは難しいわけだが、ヒト、モノ、カネを補完する別の要素があれば銀行の対応は違ってくるそうだ。

ヒトを補完する要素は『保証人』です。奥さんや子どもを保証人に付けることができれば、属性の低さをカバーしてもらえるのです」

その際、奥さんや子どもの属性がカギを握る。

「奥さんは専業主婦ではなく、働いていることが大前提。公務員など安定職だったりすると、長期のローンにつながりやすいでしょう。子どもについてもそう。一部上場などの大企業に勤めていたりすると、銀行の評価は高くなります。保証人も『質』が重要視されるわけです」

モノを補完する要素は残念ながらないが、株や保険など見逃している資産がないか要チェックしよう。金融機関によっては持ち家を資産とみなすケースもある

カネを補完する要素は『退職金』です。定年時に手にする退職金の金額がある程度多ければ、現状貯金がなかったとしても、退職金での返済を念頭に置いて融資期間を延ばしてもらえる可能性が出てきますね」

選ぶなら都市部の資産価値が高い物件がベスト

では、中高年になって不動産投資デビューするとしたら、どんな物件を選択するのが望ましいのか。前述したように、1件目でつまずくと2件目の融資が厳しくなるため、1件目の物件は慎重に選ばなければならない。

「ズバリ、都市部の資産価値が高い物件をおススメします。もっと言えば、資産価値が落ちにくい物件ですね。そういった物件を銀行は評価し、長期のローンを実行します。また、2件目購入時にも1件目の資産価値を担保に融資を引きやすく、同様に長期のローンを組めることにもつながります」

逆に、利回りを重視して地方物件を狙うのはNG。購入後、資産価値がどんどん落ちていき、2件目の融資に結びつかないからだという。

「東京、大阪、名古屋、福岡といった都市部の物件なら賃貸需要も臨め、安定した家賃収益も期待できます。新築は価格が高いので築浅を前提とし、耐用年数が長く残っているRCか鉄骨を選ぶのがいいでしょう」

銀行のプロパーローンを不動産投資に活用すれば、中高年層であっても融資の壁はもちろん、融資期間の壁も存在しないことになる。Kさんいわく、何歳からでも不動産投資を始められ、やり方次第で物件を増やしていけるのだ。

仮面銀行マンKさんのプロフィール

某大手銀行に20年以上勤務。現在は同銀行の中枢部に在籍し、個人事業主や中小企業を相手にした融資の審査を行っている。年間に動かすお金は3兆円。銀行融資と資産運用の両面を学べる非公開会員制倶楽部「K倶楽部」を主催する。近々銀行を辞する予定とのことで、今回のインタビューを受けてくれた。

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