2005年に衆議院議員総選挙で当選を果たした杉村太蔵さん。自らを「ヒラリーマン」と称し、政界に新しい風を吹かせたことは記憶に新しいだろう。
2010年の落選から5年、現在の杉村さんは持ち前のセンスで株式投資を行い、多額の利益を得ている。著作に『バカでも資産1億円「儲け」をつかむ技術』などがあるほかセミナーなども行っている。そんな杉村太蔵さんに、株式投資の魅力や不動産投資について話を伺った。
将来性を見込んで、心から「応援したい」と思える会社を選ぶ
――株での失敗談や成功談をお聞きかせください。
「率直に言うと、私は株で損をした経験はありません。これから株を始めようとする人に向けて言いますが、株は買うと下がって、売ると上がるものです。利益を出せない投資家は、株が下がったときに焦り、慌てて売るため失敗してしまうのです。含み損を抱えたときに、どれだけ冷静な状態でいられるかが大切。これは株に限らず、投資全般でも言えることではないでしょうか。
成功談についていうと、2013年には大きな利益が出ました。このときは民主党から自民党に政権交代した時期でした。政権交代前は買い材料が見つからなかったため、投資はしていませんでしたが、交代後は『株価は上がる!』と思って一気に資金を投下しました。これは大きな成功体験でしたね。
株については、正しい知識を持つことが大切です。株を買ったら一気に儲かるとか、逆に一気にお金を失うというイメージを持つ方が多いようですが、それは極めてレアなケースです。メディアに踊らされないようにしましょう」
――杉村さん流の株式の買い方、銘柄の選び方を教えていただけますか?
「お金に対する意識は、株をやる前と後でとくに変わったことはありません。私はもともと証券マンで、株式投資の現場にいましたので。銘柄選びについては、自分が応援したいと思える企業の株を買っています。
雑誌で買いだと紹介されていたから、金儲けをしたいから、という理由で選ぶのはおすすめしません。株主になるということは、その会社の成長を共に考えることとイコールです。お金儲けだけを考えている人は、投資では成功しないと私は思います。
繰り返しになりますが、投資の原点は出資する企業に成功してもらいたいという気持ちです。将来性を見込んで応援したいと思う企業の株を買うのが一番だと思います」
勉強し続けられること――それこそが投資を行う最大の理由
――投資の魅力はどんなところでしょうか?
「一番の魅力は、幅広い分野の勉強をする機会を得られることだと思います。もちろん利益が出ることも大きいですけどね。たとえば、自動車会社の株を買えば、自動車について調べるようになります。
また、日銀はなぜ量的金融緩和を行うのかなど、金融や経済について自然と疑問が生まれ、勉強して知識を得るようにもなるのです。株をきっかけに身につけた知識のおかげで、今は非常に豊かな気持ちになっています。勉強をして知らなかったことを知る、それこそが株の最大のリターンではないでしょうか。
また、こういった見方もあります。株主になるというのは、その企業の社長と同じ立ち位置に立ち、企業の将来を一緒に考えること。就職活動で理想の企業に入れなかった人は、その企業の株を買ってみると面白いですね。ある意味、社員よりも立場は上ですから」
――ご自身の投資の流儀やリスクとの向き合い方についてもお聞かせください。
「リスクとは『損をする』という意味でしょうか。もし投資資金を1円たりとも減らしたくないのであれば、初めから投資をしない方が良いと思います。そもそも株は余剰資金で行うものであって、生活がギリギリの人はやるべきではない。生活資金を稼ぐために株をするという考えは捨てましょう。
私なりの流儀は、ワクワクする気持ちを大切にすることでしょうか。資金がゼロになって、なおかつワクワクしないなら、投資をやる意味がない。でも、ハラハラするのはダメです」
――まだ、それほど多くの余剰資金がなくても、株式投資に関心のある人に向けてアドバイスをお願いします。
日経平均連動型のETF(上場投資信託)を毎月買ってみてはどうでしょうか。本を見て勉強するよりも、少額でも自分の資金を使って投資をやってみると、学べることはたくさんあります。利益を上げる目的ではなくて、投資を経験してみようとする姿勢が大切だと思います」
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