こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。女性入居者さんであれば、必ずチェックする部分、それは水回りです。水回りのグレードは賃貸向けの安価なものから、マイホーム向けの分譲仕様と幅広くあります。また、量産タイプから選ぶか、輸入品を選ぶか、大工さんに造作をお願いするかでコストもイメージも大きく変わってくるものです。
今回はそんな水回り設備のなかでも、特に注目度が高い「洗面化粧台」についてお話ししたいと思います。新築でもリノベーションでも、住宅設備を選びますが、キッチンやユニットバスのような大物は各メーカーに大差はありません。いわゆる価格やグレードによって大きく変わります。
賃貸物件であれば、標準から標準以下で考える方も多いかと思われます。もちろん、標準でも用は足りますが、そこに一工夫すると価格はそれほど変えずに、入居者を惹きつける素敵な空間を演出することができます。
そこでお勧めしたいのが、洗面化粧台を応用する方法です。わたしが今まで手掛けた賃貸物件の洗面スペースを写真とともに紹介・説明いたしますので、皆さんも参考にしながら、プランの段階でいつもの設備を見直してみてください。プラスアルファで素敵な空間(見せ場)を作ることにより集客UPに繋がります。
洗面化粧台の種類とデザイン性
ところでみなさんは、洗面化粧台というと、どのような設備を思い浮かべますか。次のような鏡や収納と一体型の洗面化粧台をお使いの方も多いと思います。
価格も手頃で量産されているタイプであっても、シャワーが付いたものが今は一般的です。収納量もあり、ポケットが歯ブラシ立てになっているなど、使いやすくなっています。ただ、少し物足りない気がしませんか?
たとえば、このような素敵なミラーを組み合わせてみるとどうでしょうか? こちらは一体型ではなくて、洗面台の下部分のみを取り付けて、そこにネット通販で購入したアンティーク調の壁掛けミラーとフックを取り付けました。
こちらは脱衣所内に設置した洗面台です。畳1帖のスペースに、建具枠までの奥行にほぼ納まるよう仕上げ、メディシンキャビネットのミラーがスライドタイプの収納棚です。
こちらは両サイドの壁にニッチ(くぼませた飾り棚)を造作して、そしてガラス棚とミラーを組み合わせています。
これらの3つの写真は同じ洗面台で、「リンド・ツー 6万1800円 サンワカンパニー」の製品をつかっています。
この洗面台は幅が750cmと廊下などの幅にちょうどはまるサイズであり、また嬉しいことに奥行きが455cmとかなり浅めです。この寸法が結構便利に使えることで、他の物件でもよく使用しています。組み合わせるミラーは好きなものを選んで、そしてアクセントクロスでその物件イメージの洗面スペースを完成させます。
デザインがかわいいペデスタルシンク
こちらはペデスタルシンクと言いまして、ちょっとレトロで可愛いですよね。和風レトロな賃貸物件の洗面室です。洗面台の雰囲気に合わせてアンティーク調のミラー、照明器具もペンダントライトを選びました。
壁紙はウィリアム・モリスデザインです。
収納もなく決して使い勝手は良くないですが、この物件はコンセプト型賃貸ということで、特別に使っています。
こちらは手洗い器、洗面ボウルと呼ばれる形です。壁付け、埋め込み、置き型があり、シンプルでスペースを取らずに設置できるメリットがあります。
このようなトイレの手洗い器も同様、コンパクトに納まります。
水回りの設備を選ぶときに気を付けること
続いては、水回り設備を選ぶときに気を付けることです。ここでは皆さんの参考のため、問題が起こった失敗事例を紹介します。
この2つは同じ色違いの輸入品の洗面化粧台です。ミラーキャビネットや水栓等の金具も全て装備でもかなりお手頃な価格でした。(約7万円 現在は販売していません)わたしが賃貸物件のコーディネートを始めた頃で、複数の物件でこのタイプの洗面化粧台を使用しましたが、そのうち2軒で不具合が起こりました。
1つめは破損です。ミラーキャビネットの側板にヒビが入っていました。ただそれに気づいたのは取付後、2週間以上経ってからのことでした。販売元に連絡しましたが、「到着後7日以内に連絡・交換をしなくては保証を受けることができません」と言われ、よくよくHPで見るとそのように書かれていました。そのため、この商品に関しては何も手立てがなく、工務店にコーキングをお願いしての修理でした。
またもう1つは水栓金具の水漏れでした。もちろん金物も輸入品ということで、いわゆる補償がないのです。結局部品を取り寄せることが出来ず、水栓金具を丸ごと国産の商品に実費で交換することになりました。到着後7日以内に目に見えてわかれば良いのですが、使っていて不具合が生じる場合がほとんどにもかかわらず、その頃には補償期間が切れているため、実費で交換となってしまいます。
それを見込んでか、工務店も嫌がるところが多いですし、「施主支給にしてください」と言われます。故障や修理が発生した際に、どこが責任を負うかハッキリしなくてはいけません。しかし、メーカーものの場合は必ず補償がついていますので、工務店、販売店を通じてメーカー対応となり、補償期間内ならば無料で修理・交換してくれます。
施主支給の場合でも、知り合いやすぐに対応してくれる業者がいるのなら良いですが、それ以外の人にはお勧めしません。修理代が割高になることも多いです。
賃貸物件の場合にはどのような人がその設備を使うかがわかりません。大事に丁寧に扱う人もいれば、雑な扱いをする人もいます。トラブルを回避したいならば、デザインだけでなく、補償がある商品を選ぶことをお勧めします。
限りのある洗面スペースの工夫
こちらの2つの物件は同じアパート内で間取りが違う部屋です。前者のように縦長の空間と正方形に近い空間では、同じ設備、内装を使用していますが全く印象が変わります。
本来、入居者が賃貸物件を選ぶポイントで高いのが、バス・トイレが別で独立した洗面化粧台がついているという物件です。もちろん、そのスペースが取れるのであればそうするべきだと思います。
ただ、居住スペースやお風呂(ユニットバス)のサイズを落とすのと、どちらが有効か考えれば、わたしは洗面スペースにトイレを組み込むことも問題ないと考えます。
こちらはあえて3点(浴室・洗面・トイレ)型で、ホテルライクに仕上げました。
まとめ
現在、一体型の量産型洗面化粧台であれば、シャワー付きタイプが10万円以下で購入できます。しかし、大工さんに造作を依頼して、凝ったデザインで仕上げている大家さんも少なくありません。数万円の差でグレードを上げられるのあれば、わたしは費用対効果が高いのではないかと考えます。
補償の問題から、造作で洗面ボウルを設置する洗面所、またインターネット通販で無名メーカーの品を使うことはおすすめしていませんが、市販品の洗面台部分だけを使って、鏡やタオルかけ、ちょっとした収納を別付にするという工夫で、造作と同じだけオシャレな印象を与えることができます。
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