レインズ最終_01202016

写真© beeboys-Fotolia

国土交通省は昨年12月に、中古住宅市場の活性化に向けて、取引の透明性を高めるための指針を発表した。これは、物件情報を掲載する業者向けシステム(REINS)における、詳細な取引情報開示の義務付けと、虚偽に対する罰則の適用。

売却依頼を受けた業者による物件の「囲い込み」を防ぎ、売買を促す。また、専門家による中古住宅の診断を普及させる法改正の検討等多岐に渡る。

今回の見直しは、一部業者の物件の「囲い込み」が指摘されていることによる。例えば、売却の依頼を受けてシステムに登録するのだが、問い合わせがくると「商談中」と偽り取引を拒否する。しかしその裏で自ら買い手を探し、売り手と買い手の双方から仲介手数料を取る

そのような不正を排除するために、今後はネット上に所在地や価格と共に「公開中」「商談中」「取引停止中」等の表示が義務付けられる。システム自体は業者向けのものだが、売り手自身がネット上で確認することも可能になる。客観的な証拠が得にくいという実態はあるが、開示情報を偽った業者には処分も検討されるという。

「女房と畳は……」はもう古い! 価値観の変化に順応せよ

なぜ日本では中古住宅市場が活性化しないのだろう。日本には古くから「女房と畳は新しい方が良い」ということわざがある。若い妻と新しい畳はすがすがしく気分がよい、という意味だが、これまでの日本の住宅事情も正にこれに当たる。

日本の中古住宅取引は1割。新築物件に比べて評価が低い。財務省が定めた「減価償却、耐用年数」の基準もあり、木造で22年、鉄筋コンクリートでは47年で減価償却を迎えるため、「古い住宅=価値がない」と思われがちだ。ところが欧米では、中古住宅の取引が全体の9割と非常に高く、リフォームして価値をキープし続けるというのが一般的である。


ただ、先にあげた日本独自の見方は変わってきているともいえる。中古住宅のメリットも多い。まずは価格が新築に比べて安い。また、すぐに住むこともできるし、自分の好きなようにカスタマイズしやすいというメリットもある。

これは例えば転職にも共通する。新卒を雇用する場合初任給は安いが研修も必要な上に、一人前(戦力)になるには経験と年数も必要だ。それに対し経験者の中途採用なら即戦力になることが期待できる。

結婚も初婚年齢の高齢化、離婚率の増加など変化し続けている。女性が結婚する相手に求める条件といえば、バブル期には三高(高収入・高学歴・高身長)が人気だったが、バブル崩壊後は三低(低姿勢・低リスク・低依存)、さらに進んで現在は三生(生存力・生活力・生産力)がもてはやされる時代だ。

バツイチ等の離婚歴が以前よりネックにならなくなったのも、三生力が評価される時代だからだろうか。要は人も家も、新しいか古いかではなく、その人(家)自身に魅力があるかないか、今後に期待が持てるかどうかということだろう。

売り手のホンネがどこまで透明化されるのかに注目

このように、社会全体の価値観やライフスタイルの変化に伴い、今後中古住宅の販売数が伸びてくる可能性は十分にある。ただそこはやはり物件の真の価値が問われる。よい物件には当然よい買い手がつく。しかも「売り手」が強い場合、少しでも良い状況で契約が成立するように、「売り手」側が、物件を「キープ」したがる。

例えば、就活では専門スキルの高い理系が人気である。そういう人は「複数内定」を獲得し、最終的に最も自分にとってよいと思われる企業を選ぶ。婚活においては本命以外に「二股」や「キープ君」を維持しつつ相手を見定めることもある。いずれも「買い手」がつかないという状況を極力避けたいという気持ちが、そのようにさせる。

不動産取引も就活も婚活も「交渉中」(検討中)という状態は実際にあるので、どこまでが本当なのかは見えにくい。業者による「囲い込み」も、本当に適切な条件と価格で、ニーズにマッチした取引がなされるべきであろう。

国交省はこの「キープ」による「囲い込み」を透明化しようとしている。理念は正しいが、実際の「運用」をどのように行っていくのか、具体的な方法については、これから議論されていく。不動産投資家としては引き続き注目していくべき事案である。