年収がわかる日本地図最終_01252016

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「年収○○万円の世帯が、△△%存在する地域」というデータをひと目でわかるようにした日本地図「世帯の年間収入マップ」が、ネット上で話題となっている。これは群馬県高崎市在住のエンジニア、清水正行さんが作成したオンライン地図だ。

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世帯の年間収入マップ

この地図では、年収は「300万円未満」「300万円~500万円」「500万円~700万円」「700万円~1000万円」「1000万円以上」の5つの区分から選ぶ形式になっている。

割合(%)はスライダーで切りかえるか、直接数字を入力する。入力する場合は、1%単位まで指定できる。該当した地域は、自治体単位で赤く塗りつぶされて表示される。

なお、データは政府が発表した「平成25年住宅・土地統計調査」をもとにしており、この中にデータが存在しない地域は地図上ではグレーで塗りつぶされている。

この地図を使って年収と割合ごとに分けてみると、日本の年収事情や自治体間の地域差が見えてくる。以下に4つのパターンを出してみたので、考察していこう。

年収300万円未満の世帯は地方自治体を中心に数多く存在

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「年収300万円未満」の世帯が、65%以上存在する地域

まず、「年収300万円未満の世帯が65%以上存在する地域」を調べてみた。すると、以前に財政破綻で話題になった北海道夕張市、高知県の室戸市と四万十町、福岡県の川崎町、鹿児島県の肝付町、沖縄県のうるま市と宮古島市が浮かび上がった。

宮古島などは観光資源などもありそうなものだが、世帯年収は総じて低いようだ。この割合を60%、50%と上げていくと、どんどんとマップが赤く染まっていく。ここには、リーズナブルなアパートを求める人たちがたくさん存在するといえそうだ。

年収1000万円以上の世帯は15%まで存在、やはり多いのは首都圏

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「年収1000万円以上」の世帯が、15%存在する地域

次に、「年収1000万円以上の世帯が15%存在する地域」を調べてみた。さすがに日本の中でも限られてくるのだが、東京都では文京区、千代田区、中央区、港区、渋谷区、目黒区、世田谷区がランクイン。

続いて神奈川県は横浜市都筑区と、同じく横浜市の青葉区関西地方で唯一ランクインしたのは兵庫県芦屋市。この辺りまでは、首都やその近辺、高級住宅地などのイメージがあるため予想通りといえる結果だ。

意外だったのは、岐阜県の大野町。調べてみたものの、なぜ平均収入が高かったのか理由は特定できなかった。大野町については謎だけが残ったが、それ以外の地域は高収入層が多い地域と見て間違いなさそうだ。

高額マンションへの投資を検討している場合は、こちらのデータが参考になるだろう。


年収300万円~500万円以上の世帯は25%までは多く存在

では、中間層となる世帯の年収はどうか。国税庁の「民間給与実態統計」によると、平成26年度の日本国民の平均年収は415万円と出ている。これはグラフ上では「年収300万円~500万円」に当てはまり、「年収300万円~500万円以上の世帯が25%存在する地域」で調べればほぼ日本中が真っ赤に染まる。

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「年収300万円~500万円以上」の世帯が、25%存在する地域

しかし、ここから1%ずつ上げるごとに雲行きが怪しくなり、28%になると半分以下に減ってしまう。

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25%→28%にするだけで、赤い表示が半分以下に

つまり、地域間の格差はそこまで広がっているといえる。この割合を28%から30%くらいまで上げてもまだ存在する地域のほうが、安定的に家賃を払ってくれる人が多い地域といえそうだ。

年収500万円~700万円の世帯が存在する地域は、全体の23%まで

平成26年度の日本国民の平均年収は、上記のとおり415万円。これに対し、マネーフォワードの「2014年独身男女のお金実態調査」によると、独身女性が独身男性に求める年収の平均は640万円と出ている。

この地図上では、「年収500万円~700万円」の世帯が一番近い。そこで「年収500万円~700万円の世帯が存在する地域」を調べてみると、全体の23%までは存在することがわかった。

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「年収500万円~700万円」の世帯が、23%存在する地域

しかし、これはあくまで世帯収入であり、夫婦や家族で合わせた収入も含まれるため、実際の割合はさらに下がると思われる。

また、先の「年収300万円~500万円以上の世帯」が多い割合が25%までだったことも合わせて考えると、いかに500万円以上年収のある世帯が少ないかがわかる。独身女性が独身男性に求める年収は、女性にとっても男性にとっても現実的に厳しい数字といえそうだ。

このように、年収と地域で絞り込んでいくと、意外な発見があったり、考えてもいなかった現実を直視したりする機会が生まれる。シンプルな地図ではあるが、見方はあなたのアイディア次第。ご自身の気になるデータはどうなっているのか、その目で確かめてはいかがだろうか。

○世帯の年間収入マップ
http://shimz.me/datavis/mimanCity/