みなさん、こんにちは! 不動産投資専門税理士の叶です。今回は、確定申告の時期ということで、確定申告前に知っておきたい「3つの節税法」について解説します。
1.青色申告のメリットを活用して節税!
青色申告は節税の基本ですが、そのメリットを最大限に活用すれば、賢く節税することができます。
まず、所得税には事業的規模という言葉があり、賃貸している不動産の規模が5棟10室基準を満たせば、事業的規模になります。
5棟10室というのは、戸建が5棟以上、もしくは区分所有や1棟アパート、マンション等でも、区分されている部屋が10室以上という意味です。戸建1棟=区分された部屋2室という計算になっていますので、例えば戸建2棟と6室のアパート1棟を持っていれば、5棟10室基準を満たし、事業的規模になります。
そして、事業的規模になれば、青色申告特別控除を65万円とることができます。事業的規模でなければ10万円ですので、55万円の差額があります。もし税率50%なら、55万円×50%=27.5万円の節税ができることになりますので、かなり大きいですよね。
ただし、青色申告特別控除を65万円にするためには、他にも次のような条件があります。
・複式簿記で帳簿を作成して貸借対照表、総勘定元帳を作ること
・確定申告期限までに申告すること
最近は仕訳入力から確定申告書まで作成できる会計ソフトも出ていて、ちょっと勉強すれば、複式簿記での帳簿作成も比較的簡単にできますので、チャレンジする価値は大きいでしょう。
では、この青色申告特別控除、例えば夫婦共有名義で保有している10室のマンションの場合は、いくら取れるのでしょう?
実はこの場合、1人あたりにすると5室になりますが、夫婦両方とも青色申告特別控除を65万円とることができます。何人で共有していても、その共有している賃貸不動産が事業的規模を満たしていれば、全員65万円とれますので、かなり節税効果は高いですね。
2.30万円未満の備品を経費化して節税!
不動産賃貸業をしていると、シャンプードレッサーや給湯器などを交換するケースもあるでしょう。またパソコンやプリンターを買うこともありますよね。このような備品で1つあたりの金額が30万円未満のものであれば、少額減価償却資産という制度を適用して、購入した年に一括で経費にすることができます。
通常、10万円以上の備品を購入した場合は、その備品の耐用年数に従って減価償却をしていくことになりますので、その分、購入した年は節税できなくなります。
20万円の備品を購入して、耐用年数5年なら毎年4万円を減価償却費として計上することになりますが、少額減価償却資産を適用すれば、20万円を購入した年に一括で経費化できるので、早いタイミングで節税することができます。
ただし、この制度を適用するためには、次のような条件があります。
・青色申告をしていること
・年間で適用できる金額は300万円まで
・確定申告書に明細を添付すること
ここでも青色申告が条件になっていますので、まだ白色の方は、平成28年分からでも青色申告するようにして下さいね。ちなみに、今年の確定申告期限である平成28年3月15日までに、青色申告承認申請書を提出すれば、平成28年分から青色申告をすることができます。
3.建物金額で減価償却を大きくして節税!
昨年、物件を購入している方は、今回の確定申告で物件の金額を土地と建物に分ける必要があります。そして、土地と建物の金額によって節税額が変わってきます。なぜなら、土地は価値が減らないので減価償却できませんが、建物は価値が減る分、減価償却することができるからです。
例えば、RCの中古、1億円の物件のケースだと建物の金額次第で、次のように減価償却費に差ができます。
○土地が8000万円、建物が2000万円
2000万円×0.022(47年)=44万円
○土地が3000万円、建物が7000万円
7000万円×0.022(47年)=154万円
もちろん減価償却費が多い方が、毎年経費にできる金額が大きくなって利益が減るので、節税になるわけです。
では、土地と建物の金額はどのように決めるのでしょうか? まず、原則は売買契約書に記載されている金額が元となります。でも、売買契約書に物件総額だけ記載してあって、土地と建物の金額が記載されていない場合もあります。その場合は、合理的な基準で分けることになります。
その代表例が固定資産税評価額での按分です。物件金額が1億円で、固定資産税評価額が土地2000万円、建物3000万円の合計5000万円なら、建物金額は6000万円、余った4000万円が土地になります。
1億円×(3000万円/5000万円)=6000万円
建物と土地の金額は、大原則は時価で決まるのですが、その時価を算定することが難しいので、このように合理的な基準で分けるんですね。したがって、税務署に根拠を持って説明できる合理的な基準であれば、別に固定資産税評価額の按分でなくてもOKです。
そして、この建物金額によって、その後長期間のキャッシュフローが変わるので、建物金額はとっても重要なんですね。以上、確定申告で節税する3つの方法についてお伝えしましたが、活用できるものはフル活用して、しっかりと賢く節税してくださいね。
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