つるみの法則_beeboys-Folotia

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自分の身の周りにいる10人の平均年収が自分の将来の年収になるという「つるみの法則」をご存知だろうか? 付き合う人によって自分の年収が決まるというが、果たしてそれは本当なのか。

IT企業や投資会社など計5社を経営する傍ら、「成幸研究家」として世界中の大富豪たちの習慣や考え方を研究、体系化する活動をし、著書に『世界の大富豪 2000人に学んだ幸せにする方法』があるトニー野中さんに話を伺った。

つるみの法則とは「類は友を呼ぶ」こと

「つるみの法則とは、簡単に言うと『類は友を呼ぶ』ことと言えます。なぜなら、人は自分と似た人を引き寄せる傾向があるからです。

人は一緒にいて心地良いと思う人と付き合うもの。たとえば年収300万円の人が、ケタ違いのお金を稼ぐ富裕層が参加するようなパーティーに参加しても、居心地の良さを感じるとは思えませんよね。

年収300万円の人がいきなり年収1000万円を超えるような人たちと付き合うのには無理があります。

生活レベルや考え方が近い人たちと一緒にいる方が心地良く感じ、同程度の年収をもらっている人を引き寄せて付き合うようになります。結果として、自分が付き合う人と同じような年収になる。それがつるみの法則なのです」

トニーさんはつるみの法則についてこう説明する。

考えが変わるから、付き合う人が変わる

ここまで読むと、付き合う人を変えれば自分も変われると思う人もいるだろう。しかし、実際には逆だとトニー野中さんは語る。

「自分が理想とする生活をしている人と付き合えば良いと勘違いされがちですが、付き合う人を変えるから自分が変わるのではなく、自分が変わるから付き合う人が変わるのです。ここがポイントです」

先にも述べた通り、人は一緒にいて心地良い人と付き合う傾向がある。したがって、自分を変えずに付き合う人を変えようとしても、心地良さを感じないため、付き合いを続けること自体が厳しい。

トニーさんの言うことをまとめると下のようになる。

× 付き合う人を変えれば、自分も変わる
◯ 自分が変われば、付き合う人も変わる

考え方について、トニーさんはこんな話もしてくれた。

「お金持ちには明るい人が多いです。そう聞くと、『お金があるから明るいに決まっている』と思われるかもしれません。これも実際には逆で、もともと明るいからお金持ちになっているのです。

今お金持ちになっている人も、はじめからお金持ちだったわけではありません。はじめの一歩を踏み出したときは、お金がなかった人もいます。ですが、私が世界中のお金持ちと話をしてきて思うのは、彼らはお金がないときから明るかったということです」

自分自身が幸せな気持ちで明るくいると、「類は友を呼ぶ」の言葉のように、周りには明るい人が集まってくる。明るい人は接しやすく、様々な人と知り合い、仕事や協力を得るチャンスに恵まれるため、暗いタイプの人に比べるとお金持ちになる可能性が高いことは想像に難くない。

年収300万円の人が、年収1000万円を得るには?

年収300万円の人が、口では「年収1000万円以上になりたい!」と発し続けても状況が一向に変化しないのは、心のどこかでは「今の年収で構わない、今の年収での生活が心地良い」と思っているからであろう。

年収300万円の考え方をしているうちは、同じような年収の人と付き合うことになり、結果的に年収300万円の暮らしを続けることになる。

では、年収300万円の人が年収1000万円を得られるようになるには、具体的にどうしたらいいのだろうか。

「年収300万円の人が年収1000万円を目指すのであれば、まず『何のためにそうなりたいか』を決めましょう。自分が思い描く理想の生活を送るために必要だとか、具体的に買いたいものがあればそれでも構いません。

大切なことは、お金はツールであって、ゴールではないことを理解することです。年収1000万円を手に入れることがゴールであってはいけないのです。

そうでないと、どうやったらお金が増えるのかというふうに、お金を得る方法論ばかりを考えるようになります。多くの人はそうでしょう。残念ながら年収300万円の人が年収1000万円になる方法を見つけるのには無理があります。

年収300万円の人が年収1000万円の人になるには、それに見合った思考を持つ必要があります。思考が変われば、今まで見えなかったものが見えてくるし、年収1000万円になる方法が見えてくるというものです。

思考を変えるには、日頃の習慣を変えることが大切です。些細なことにも幸せを感じることや明るく謙虚でいること、寄付する(見返りを求めずに最初に差し出す)ことなども、大切な習慣のひとつでしょう」

先に与える思想が豊かさを作る

また富裕層の特徴として、先に出す、先に与えるという特徴があるという。

「お金持ちになる人は、先に与える、先に出すという考え方を持っています。与える考えを持っているから、お金持ちになっていると言えるでしょう。

『もし自分が今お金持ちだったら寄付をする』と言う人がいますが、お金があれば寄付する(お金がなければ寄付をしない)という考えを持った人は、たとえお金持ちになったとしても、実際に寄付をすることはないと思います。

このように、お金持ちの人の考え方はそうでない人とは違うのです」

笠を被ったお坊さんが器を持ってお恵みを待つ、いわゆる托鉢の光景を街で見かけたことはないだろうか。お坊さんの教えでは、托鉢は裕福な家ではなく、貧しい家を回るという。

貧しい人は自分たちの生活に精一杯で、人に何かを与えることをしなくなる。しかし実際は、与えないという考え方と行動が彼らを貧しくしているのである。

そこで托鉢によって彼らに与える機会を作り、貧しさから抜け出す手助けをするのが托鉢の目的なのだ。このように、考え方を変えることで貧しさを抜け出す実践は古くから行われていた。

ここまで読んでいただくと、何よりも考え方が重要なことがわかる。まずは自分の考えを変え、その後に付き合う人が変わってくる。そして結果として豊かさが後からやってくるという図式になる。

最後に、つるみの法則についてまとめる。

○誰と付き合うかではなく、自分自身の考えを変えることが大切
○お金持ちはそうでない人とは考え方が違う。与える方が先、受け取るのが後。豊かさは後からやってくる

冒頭で「付き合う人によって年収が決まるのは本当か?」という問いかけをしたが、自身の内面が変われば付き合う人は自然と変わるので、そういう意味では付き合う人によって年収が決まるといえる。

しかし、繰り返しになるが、一番大切なのは付き合う人ではなく、自分自身が変わることであることを心得ておきたい。

トニー野中さんプロフィール

企業経営者/成幸者研究家。石川島播磨重工株式会社(現株式会社IHI)にて、ジェットエンジンの設計開発に携わった後、5ヶ国共同開発エンジンの国家プロジェクト・メンバーとして英国ロールス・ロイス社に駐在。その後、米国のゴルフ用品メーカーにて、タイガーウッズをはじめ、多くの世界トッププロのクラブ開発で実績を上げた後、一転してIT業界へ。

ITバブルに乗り数々の事業を成功させた後、ビジネスに失敗して一文無しに。しかし、さまざま成功の極意を研究、学びながら短期間で復活を果たす。現在は、計5社の企業経営の傍ら、「成幸者研究家」として執筆活動を行い、セミナーや講演活動ほか、プライベート・コンサルティングを行っている。

著書に『世界の大富豪 2000人に学んだ幸せにする方法』などがある。http://www.tonynonaka.com/