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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。第9回目の相談者は、鹿児島県にお住いの前田健一さんです。
会社員の前田さんは年金など将来への不安と、このまま会社にしがみつく人生でいいのかという疑問を抱かれました。そして、給与以外の収入を得たいということで、利回り重視の不動産投資を考えられています。4年後には家賃年収2000万円が目標だそうです。
名前 |
前田健一さん(仮名) |
年齢 |
50歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
会社員 |
居住地 |
鹿児島県 |
年収 |
700万円 |
自己資金 |
1500万円 |
Q1.1棟目を新築か中古かで悩んでいる
新築と中古を織り交ぜて、1年に1棟ずつ購入したいと考えています。頭金なしで購入できる新築物件が最初で次を中古物件とするか、利回り重視で中古物件を2~3棟購入してから新築物件を購入するか迷っています。
投資地域としては、住まいから近く県内で生産年齢割合が2番目に高い人口12万の某市を検討しています。RC造の売り出しがほとんどない土地柄のため木造アパートを考えています。
上記を前提として、畑を安く購入してアパート新築を行うと安くできると言われていますが、浄化槽はかなりの費用がかかると聞きます。やはり下水整備地区限定で探すべきでしょうか。
また、新築も2~3年経つと築15年の価値となると聞きますが、短期間で2棟取得するには新築、中古どちらを先に購入したらいいでしょう?
A1.新築、中古ともにメリットデメリットがある
ご質問ありがとうございます。複数の質問ですので順番に返答していきますね。新築物件か中古物件というお悩みですが、エリアがよく長期で所有するのであれば新築もいいでしょう。
ただし新築は建築費が割高なケースが多いため、もし1棟目の不動産投資で失敗した場合、次の物件が買えなくなるリスクがあります。その点からいえば、中古物件を購入して数年運営して、買った値段でまた売る方がリスクは低いと思います。
また、新築にあたっての浄化槽は設置費用、ランニングコストは地域によっても変わると聞きます。もし、鹿児島は浄化槽が主流で、下水整備地区にこだわることにより投資地域が限定されてしまうようであれば、その点にはこだわらない方がいいでしょう。
その上で、浄化槽がいかに安くできるか検討されるのがいいと思います。浄化槽で絞りこむ必要はありません。とにかく安く買えればいいのです。いろいろとリサーチをしてから絞り込むのがいいでしょう。
新築と中古の家賃ですが、新築は2~3年経つとプレミアム家賃から相場家賃に落ちますが、築15年ほどは落ちません。そのため同じ利回りであれば新築2~3年の方がいいでしょう。ただし、家賃の下落率を考えて建築費を考えないと手残りが少なくなるので気をつけてください。
評価でいえば、新しい場合は建物の評価額は大きいです。中古でも資産価値のある物件はたくさんありますし、土地値が高い物件もあります。長期で持つのであれば、新築を資産価値の高い土地に建てるのもいいでしょう。中古で賃貸ニーズがあれば、資産価値より収益性で買ってもいいと思います。
新築の特徴はローンが長く借りられること、修繕費などが発生しにくいことです。中古だと安く買いやすいことにくわえ、すでに家賃や入居がつきレントロールがあるのが安心です。このように特徴が違いますので、それぞれを理解して選択しましょう。
Q2. 優良物件の保有戦略について悩んでいる
自宅から2時間以内での投資を考えていますが、地方のため入居需要を含めた不安があります。県庁所在地は地価が高いので2~3番手の人口5万~10万の地区をターゲットと考えていますが、近くの不動産会社で聞くと利回り12~13%の物件は今まで取引のある方で即日決まると言われます。
初心者が参入するのにハードルが高くなっているため、以下の方法を選択する必要があるかと思っています。
1.利回りを妥協し、投資物件を多く持っている不動産会社でまずは1棟購入し、次の物件を有利に進める方法をとる。
2.なるべく多くの不動産会社へ依頼して優良物件を紹介してもらえるタイミングを待ったり、長期間売れていない物件をネットなどで時間をかけて購入していく、もしくは中古市場が加熱気味なので、まずは新築を購入し中古価格が低下するのをしばらく待ってから中古物件を購入する。
他の方法や、ある程度の妥協する基準(利回り等)の考え方のアドバイスを頂けないでしょうか。
A2.利回りを妥協する代わりに、何を重視するのか考えましょう
1は、「自分の基準に満たない物件でも買ってもいいのか」という質問ですね。前提として入居需要に不安があるなら、目先の利回りに目を奪われないことです。また利回りを妥協して買うことで、金融機関からの信用毀損のリスクがあります。
即日で12~13%で売れてしまう状況がいつまで続くのかというのもポイントです。市場が崩壊すると、買った値段で売れなくなります。その点からいえば、妥協しない方がいいでしょう。
ただし「買わない!」ということが機会損失という考え方もあります。妥協したら、妥協した分をどこで取り返すのか。妥協する目的が、不動産業者との縁を深めるために……であれば、止めた方がいいと思います。
利回りを妥協する分、積算評価が高い物件を購入する、あるいは利回りを妥協する分、賃貸ニーズがある地域の物件を購入する等であれば問題ありません。
2は、じっくり探していくことだと思います。前田さんは現在、不動産業者をまわっていますか? 待つと言っても今の過熱状態でいつ下がるのかはわかりません。来年なのか5年後なのかで判断も変わります。不動産業者をまわりながら見極めることが大切です。良い物件、市況見極めるタイミングを見極めましょう。
繰り返しになりますが、利回りを妥協するのであれば、その代わりに何を求めるかはしっかり考えておきましょう。積算、入居需要がある、売却するときに同じ値段で売れるなど、利回りが低くても他が良くて損をしない物件を選びます。
Q3. 高年齢での資産形成方法について悩んでいる
50歳を超えて、家賃年収2000万円を4年で達成するにあたって、年齢含め初心者に有利な金融機関の選定、利回りのリミットの考え方、築古物件の建物価値の算出を教えてください。
また年齢を考えると新築、中古含めて4~5棟保有して10年後は新築2棟を残して、最後は建て替えるのか? 子どもたちへ引き継ぐことも含めた出口戦略はどう考えたらいいのでしょうか。年齢を加味した投資戦略、プランの考え方含めてアドバイスをお願いします。
A3. まずは相場を知り、金融機関のヒアリングからはじめましょう
4年で家賃年収2000万円を目指しておられ、手取りは1000万円が希望という前田さんですが、自己資金が1500万円もあるため、うまく使えば可能でしょう。
ただし、年齢からいえば、できるだけ早く動いた方がいいと思います。金融機関にもよりますが、融資年数は年齢で左右されます。初心者に有利な金融機関は地銀・信金・信組ですが、都銀はハードルが高いです。地場の銀行は聞きたいことが聞きやすく柔軟に対応してくれます。
前田さんのケースでは、相場がわからないから、利回りの基準やリミットの考え方もわからないのだと思います。まずは市場の相場を知ることが大切です。周辺相場は各地域で変わるため、一律で「この利回りでないといけない」とは言い切れません。
また、受けられる融資で買える物件も限られていきます。いくら高利回り物件でも、耐用年数を超えた物件に融資が出ないとなれば購入することはできません。
4年で目標を達成させるためには、自己資金もうまく活用することです。新築をフルローンで購入するよりも、中古でリフォーム代を自己資金で出して、そのコスト分も含めて売って次の物件に進む方が、短期間ならやりやすいと思います。
総合的なアドバイスでいえば、大きな物件は流動性がないので、小さな物件を買い進めていく方が、スピードが増すのではないか思います。最終的な出口戦略については、どのような物件を購入するかによって変わります。まずは購入を進めて規模を拡大していきましょう。
「周りの投資家がどれくらいの利回りで購入した!」という情報については、その方がどれほどの規模の物件を買っているのかもリサーチすべきです。
まずは、相場や流動性のある物件はどういう物件なのか。ざっくりとした目安ですが、東京なら2億円、大阪は1億円です。鹿児島なら5000万円かもしれません。流動性が高い物件の相場はいくらなのか、利回りだとどれくらいなのかリサーチしてください。
金融機関については、自分の投資にどれくらい協力的に貸してくれるのかが肝要です。エリア選定よりも先に金融機関をヒアリングした方がいいでしょう。そのためには、まず自分が欲しいと思う物件情報を金融機関へ持ち込んでみることです。それも自分が想像する中で一番大きな物件を持っていきます。
それを自分は買えるのか。金融機関の判断が物件評価なのか、自分の属性なのか。何行か聞いて判断していくのもいいでしょう。その方が効率もいいです。まずは不動産業者に足を運んでヒアリングして、金融機関を紹介してもらいながら打診することをおすすめします。
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