物件条件緩和_akoji-Fotolia

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こんにちは。才津です。今回は「物件価格は高騰したが、金利は下がり始めた今、購入希望物件の条件はどこまで緩めていい?」という内容で話しをしたいと思います。

まず、現在の市況として物件の価格が高騰しています。高騰している原因は、収益不動産への融資が積極的に出ているためです。

特に人口の多いエリアの物件の値上がり幅が大きく、こんな価格で買っても大丈夫なのかと思われる様な価格でも、どんどん物件が売買されているのが現状です。

市況にあわせて、物件条件は緩めていい

こういった状況の中で、以前コラムで解説した基準を単純に守った投資をするだけでは、なかなか購入の対象となる物件を見つけられないと思います。ここで大事になるのが、基準をより現実に合わせることで、柔軟に対応することです。

具体的に言うと、基準を守ることはリスクを回避することになりますが、別の側面から見ると、基準を守ることは融資が出る物件を効率良く見つけるという意味もあります。

つまり、基準にあうということは、CFも出て積算評価も出る物件ということですので、自然と金融機関の評価も高くなり、基準をクリアする物件は、(理論上)フルローンが出る物件になるということです。

・基準を守る=リスクを下げる
・基準を守る=フルローンが出る

基準を守ることで不動産投資に対するリスクが下がるし、理論上、フルローンが出る物件を効率良く見つけ出すことができるようになります。

では、これを現在の状況に合わせて考えてみると、金融機関が積極的に融資を出しているということは、物件の評価が出やすい状況と言えますので、フルローンが出るという意味で、基準を緩めることが可能です。


どうやって物件条件を緩めるか?

リスクの観点から見ると基準を守ることがリスク回避につながりますが、基準をより現実に合わせたものにすることで、より多くの物件を購入対象とすることが可能になります。

具体的に言うと、立地、築年数によっては、目標とするCFの基準を下げる、空室率(入居率)をより現実に合わせる、といったものが挙げられます。

例えば、1億円の物件を購入する際、従来であれば「実質収入を満室時の85%と想定し、CF300万円以上」を購入対象としていたものを、「実質収入を満室時の92%と想定し、CF200万円以上」とする、という感じで運用していきます。

以前の基準の考え方は、「この基準で買っておけば、どんな初心者であっても失敗することはない」くらい、リスク回避の観点が強かったものです。それを「購入して、もしダメでも売却すれば利益になる」くらいの基準に変更するのです。

今まで以上に、物件の目利き力が必要

ですが、実際にこういう「現実に合わせた基準」を使用する場合、空室率であったり、立地であったり、より物件を見極める目が必要になるので注意が必要です。

なぜなら、より多くの物件が購入対象となるので、その多くの購入対象となった物件の中から「本当に買ってもいい物件」を数字ではなく、自分自身で調査することが必要になるからです。

・厳しい基準を使う=リスクが低い=初心者向け
・基準を現実に合わせる=リスクが高まる=経験が必要

といった図式になります。

現実的には経験がないうちは、しっかりと物件検索、シミュレーション、仲介業者へのコンタクト、現地調査、ヒアリング。こういった一連の流れを1棟でも多くこなすことが必要です。

こういう一連の流れをやらないまま、融資が出るという観点のみで物件を選んでしまうと、「買ってはいけない物件」を融資が出るからという側面のみで購入することになってしまいます。

また、初心者の方が人からアドバイスを受ける場合にも、こういう一連の流れを経験しておくと非常に役に立ちます。やはりその人が本当のことを言っているか、本当に信頼できるのか、ということも実際に自分が動いて学習してみないと見極められないものです。

実際問題、一部の仲介業者、一部のコンサルタント(コンサルと名乗っているかどうかは関係ない)は、融資が出るという側面のみからのアドバイスしかできない(善意、悪意問わず)方が相当数います。

相場が高騰している今だからこそ、安易に基準を緩めた投資をするのではなく、より現実に合わせた基準を活用し、「融資を受ける」という不動産投資本来の魅力を活かしていきたいところです。そのためには、より多くの正しい経験を積み、以前までは見えなかったものを一つでも多く見える様になることが必要だと思います。