コインランドリー_srongkrod-Fotolia

写真©srongkrod-Fotolia

不動産投資といえばアパートやマンションを投資対象とするのが一般的だが、最近はコンテナやトランクルームといった「非住居」物件に目を向ける投資家も少なくない。そんななか、密かに注目を集めているのがコインランドリーへの投資だ。

IT企業で働くあにまるさん(48歳)は、事業としてコインランドリーを運営。2014年に開業し、現在、月平均50万円の収入を得ている。実践者がまだ多くないせいか、コインランドリー投資のやり方はあまり知られていない。あにまるさんの事例を紐解きながら、詳しいノウハウを紹介しよう。

土地を買うか、テナントを借りるかを選択

新築の不動産投資歴7年。東京、神奈川にマンション1棟、アパート3棟、戸建て1棟を所有し、土地から仕入れて買い進めてきたというあにまるさん。それがなぜ、コインランドリー投資に至ったのだろうか。

「ここ2、3年、都市部の土地の価格が値上がりし、条件に合うものがあまりない状態でした。必然的に他の投資先を探すようになり、その中でコインランドリーを発見。アパマン投資と違って競争相手が少なく、儲かる可能性を秘めていたため、挑戦することにしました」

都市部のコインランドリー投資は、所有するマンションの空き店舗を使うか、テナントを借りて行うか、どちらかを選択する。また、どこに店舗を構えるかも考えなければならない。

「私はテナントを借りて臨みました。コインランドリーとしてベストな場所で開店したかったからです。貸し店舗の場所は神奈川県某所。あちこち見学して回り、求めていた物件を見つけることができました」

不動産投資では、物件の立地が成功を左右する。コインランドリー投資でもそれは変わらない。

「ただ、コインランドリーには独特な立地条件があり、アパートやマンションに投資するケースとは異なります」

駅から離れた立地がコインランドリーに最適

アパートなど住居への投資だと、駅に近い立地が絶対条件になるのは周知のとおり。しかしコインランドリーは逆に、駅から遠い立地が望ましいという。一体なぜなのだろうか?

「コインランドリーを利用するのは学生や単身者ではありません。いまは主婦層が中心です。よって駅近である必要はなく、駅から離れた住宅地が開業場所に適しています。そのほうがテナント料も安くすむので願ったり叶ったりですね」

加えて、店舗が面する道路にもこだわりを持っている。都市部に店舗を構える場合、スーパーやドラッグストアなどが並ぶ生活道路沿いがベストだそうだ。

「主婦の方たちは車を利用し、買い物ついでにコインランドリーに立ち寄る傾向が強いんです。生活道路沿いにコインランドリーがあれば、店舗前に車を一時停止させ、洗濯機に洗濯物を入れて買い物へ、という行動をとれます」

洗濯物は大量になると重く、車を使わなければ運べない。店舗前の道幅が狭かったりすると車を一時停止させづらいため、そういったテナントは避けるべきとか。

「都市部では車を横付けできるかどうかで売上が大きく違ってきます。車の利用に不便だとコインランドリービジネスは成り立ちません。その点を強く意識し、生活道路沿いかつ車も横付けしやすい場所を選んだことが、私が成功できた一番のポイントだと思っています」

初期費用1600万円は、公庫でフルローン

では、資金はどのくらいかかったのだろうか。あにまるさんはコインランドリー事業を展開するFC(フランチャイズ)に加盟。必要な設備やノウハウを学び、投資に臨んでいる。

初期投資は1600万円を投じました。洗濯機と乾燥機の購入に1100万円、店舗の内装費用に500万円です。といっても、日本政策金融公庫にお願いして全額融資が通ったので、実質資金はかかっていません」

約10坪のテナントに洗濯機3台、乾燥機4台を配置。周辺地域に宣伝チラシを撒き、開業の時を迎えた。

「当初はお客さんが来てくれるのかどうか、不安でいっぱいでした。コインランドリーの利用者は統計的に全世帯のわずか2%だったので……」

しかし、その不安は取り越し苦労に終わる。フタを開けてみたら利用者が多数訪れてくれたのだ。予想外に需要があった要因をこう分析する。

「大量の洗濯物を自宅で洗濯、乾燥したら、相当時間がかかります。それがコインランドリーを使えば短時間で完了する。主婦の方にとってはうれしく、一度使うとやみつきになるのでしょう。スピードの早さに感動し、多くのお客さんがリピーターになってくれています」

画像店内画像

約10坪のテナントを借りて、
コインランドリーを運営している

コインランドリー道路写真1

あにまるさんのコインランドリー店舗がある生活道路

コインランドリー道路写真2

道幅が広く、店前に車を一時停車しやすい


利益率50%の高収益モデル

コインランドリーを開業して1年が経過。売上は順調に伸び、前述したように月平均50万円に達している。

月50万円の収入からテナント賃料、洗剤代、水道光熱費などの経費を差し引いた実入りは約25万円。利益率50%と高いです」

高収益モデルでありながら、運営に手間はかからない。副業として取り組めて、本業との両立は十分可能という。

「コインランドリーは基本、無人で24時間稼働。洗濯機、乾燥機が働いてチャリンチャリンと小銭を稼いでくれます」

店内の清掃や集金などはパートを雇って任せているため、ほったらかし状態ですむそうだ。

「お客さんの多い少ないはあっても、住居物件ではないので空室の心配はありません。当然部屋のリフォームなどの費用負担もないわけです。洗濯機などの機械は年々古くなっていきますが、定期的にメンテナンスすれば20~30年は稼働するといわれています」

立地の見極めが何より大事。失敗した場合は……

魅力満載のコインランドリー投資だが、一方でデメリットがあるのを忘れてはならない。一番に挙げるのは「投資家向けの中古マーケットがない」ことだ。

「アパートなど住居物件だと、うまくいかなかった時に市場で売却できますが、コインランドリーは中古マーケットがないのでそういうわけにいきません。顧客がついている店舗ならFC内で他のオーナーに譲渡もあり得ますが、立地を間違えた場合は誰も買わないでしょう

となると他の場所に機械を移動し再起するか、機械を買い取り業者に売るしかない。後者の場合、二束三文で買い叩かれることも多いとか。

初期費用をかけすぎず、立地を見極めて間違わなければ、5年程度で資金回収できます。最低そこまでは運営するスタンスで臨むべきですね」

次に融資の面。機械のような動産は担保にならないため、アパートローンはまず引けない。したがって普通の銀行は使えず、公庫のような特殊な金融機関か、保証協会付きの事業性融資を頼るのがセオリーに。

「いずれも無担保の融資ですから簡単とはいえません。また、仮に融資が通ったとしても、2店舗目、3店舗目と一気に規模を拡大していくのは難しいでしょう」

実際の運営では、機械の音や振動に関するトラブル、マナーの悪い客に対して対応しなければならないケースも出てくるそうだ。

「機械の音や振動はコインランドリー特有のもの。私の例では店舗の上階に住む人から振動がひどくて眠れないというクレームが入りました。これは防振タイプの機械を入れることや、経験豊富な業者に依頼することである程度防げます。一方、お客さん絡みの対応は、これも業者に任せれば手間はかかりません

さらに、天気によって売上が上下するのも頭に入れておくべきとのこと。

「晴れの日が続くと利用者は減り、売上が落ちます。その代わり、雨の日が続くと逆に利用者が増えて売上は上がります。ちなみに2015年は雨の多かった9月に、最高売上65万円を記録しました」


コインランドリー投資とアパマン投資の違い

コインランドリー投資は他の投資と違ってビジネスの側面が大きいというあにまるさん。アパマン投資と比較して解説する。

「まず、運営ですが、アパマン投資は管理会社に委託すれば入居者募集、集金、退去立会いや修繕手配まですべて自動化できる仕組みがあります。対してコインランドリー投資はそこまでの仕組みは整っていません

前述したように集金と掃除はパートを雇って自動化することができ、機械の保守も業者に委託できるが、経営の肝である集客と店作りは自分でやらなければならないそうだ。

「ここが一番ビジネスとしての要素が大きいところです。地域住民の方に認知してもらうにはどうしたらいいか、お店に来て機械を使ってもらうにはどうしたらいいか、満足してリピートしてもらうにはどうしたらいいか等、考える必要があります」

そして考えたら行動に移す。宣伝チラシの作成から印刷、ポスティングの手配、店内の改善などを実行していかなければならないという。

「もちろん、それをやらないと営業できないわけはありません。何もしなくてもお客さんはある程度来てくれるでしょう。ただ、そういったビジネス活動をやるのとやらないのでは相当な収益の差になると思います」

稼働率を上げれば売上はどんどん上がる!

さらに売上の考え方も、アマパン投資とコインランドリー投資では異なるそうだ。

「アパマン投資はどんなに頑張っても満室売上が上限ですが、コインランドリー投資は稼働率を上げれば売上もどんどん上がっていきます。機械の設置数×稼働率100%が上限になるものの、通常の事業計画の稼働率は10%程度なので仮に稼働率を20%、30%にできたら売上を2倍、3倍にすることができるのです」

ここもまたコインランドリー投資のビジネスとしての側面。自分の手腕次第で売上を上げられるのは面白いところだ。

「では、売上を上げ続けるにはずっと自分の時間を使い続けなければならないのか? というと、それは違います。基本的にはリピータービジネスですから、ある程度顧客がついてしまえば労力は不要になっていきます。自転車を漕ぎ出した時に一番力を使い、走り出せば惰性で動くのと同じですね」

賃料収入を得るのではなく、事業収入を得るスタイルのコインランドリー投資。ビジネスを楽しみたい人にとっては、大きなチャンスが潜んでいるのかもしれない。

あにまるさん上半身あにまるさんプロフィール

IT企業に勤務するシステムエンジニア。新築不動産投資の経験を経て、コインランドリー投資に挑戦して2014年に開業を果たす。

FX、投資信託などの金融投資も行っている。東京都内在住。

ブログ:http://ameblo.jp/animal333/