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「日本人は貯蓄率が高い」と言われている。少しでもお金を貯めようと定期預金をしたり、節約をしたりする人は、あなたの周りにもいるのではないだろうか。ネットやテレビ、雑誌などでも、貯蓄法や節約法が取り上げられているのをよく目にするようになった。
しかし、海外に関心を広げてみると、日本人ではあまり思いつかない、ちょっと変わった面白い貯蓄方法が見つかった。外国人の貯蓄に対する考え方とあわせてご紹介したい。
意外とストイックなカタール、お金遣いは堅実
まず、国民総所得(GNI)ランキングで上位をキープし、世界一裕福な国ともいわれるカタールについてみてみよう。カタールの情報サイト「カタール・リビング(Qatar Living.com)」では、日々の出費について、日常生活に取り入れたい考え方が紹介されていた。
・「それは本当に必要な物なのか」常に自分に問いかけながら買い物する
・ディスカウントショップや中古品情報を集め、最大限に利用する
・外食を減らし、農場で季節の食材を直接買う
・手数料が高いクレジットカードの利用は避け、現金で支払う
また、日本とは事情は違うが、賃貸住宅の場合は長期一括契約で固定賃料を支払えばコスト節約につながることもあげられていた。
大富豪の国といえども、カタール市民の日常生活にはお金を湯水のように使う石油王というイメージはなかった。財布の紐を引き締めて、堅実に生活する人々の姿が目に浮かんでくる。
消費大国アメリカも買い物は慎重な傾向に
外食や加工品に頼る食生活、イベントやレジャー費、広い家と燃費の悪い車の維持費など、消費する機会が多くそのスケールも大きいアメリカ。人々の消費動向も大胆なイメージがある。
しかし、リーマンショック後の景気低迷を経て、人々の消費に対する意識も変化したようだ。お金にまつわる情報サイト「America Saves」では、以下のような節約方法が紹介されていた。
・清涼飲料水を1週間に1リットルだけ我慢すれば年間72ドル、カプチーノではなくコーヒーを選べば月40ドルの節約になる
・砂糖とアーモンド入りのミルクを普通のミルクにすれば出費は半額程度になる
イメージを裏切るスケールの小さい話だが、小銭を侮ることはできない。毎日50円の小銭貯金でも1年後には1万8250円になるのだ。たとえ100円でも本当に支払う価値があるのか問うてみることで、貯蓄が始まるのだろう。
また、「もうギフト交換は少額にするか止めてはどうか。そもそも派手なホームパーティーを開く必要はない」というアメリカならではの主張も見られた。お互いの負担になることは、もう止める時期に来ているのだろうか。いずれにしても、消費し続ける生活を続けていたら、貯まるお金も貯まらないだろう。
基本的にストイックなヨーロッパ、物は少ない方がいい
もともと消費に対して控えめなヨーロッパ。物の多さを嫌悪する考え方もみられる。以前、ドイツのニュースで「国民が物を選ぶことに時間をかけすぎている」という問題が取りあげられていたほどだ。商品が豊富にあることは人々の生活を脅かすとして、政府が注意を促している。
そんなヨーロッパの中で、北欧スウェーデンの例をみてみよう。ブログや著書で主婦の知恵や工夫を紹介するKatie Berryさんのサイト「Housewife How-To’s」では、買い物の注意点がいくつか挙げられていた。
・アップテンポな曲は購買意欲をそそるためのワナ。きちんと考え、ゆったりとした気分でショッピングするため、静かな音楽がかかる店を選ぼう
・空腹のまま買い物に行かないこと。出かける前にクッキーをひとつ食べてから
・レディースファッションはアイテムが多すぎる。選択肢が少ないメンズコーナーで買おう
日本では品揃えが豊富なことは店の高評価につながるが、このようなコメントをみると、果たしてそんなに種類が必要だろうかと考えさせられる。たくさんの中から選ばないと気が済まない、そんな意識を捨てることも貯蓄につながるのではないだろうか。
教育熱心なインド、子どもの高等教育費が家計を圧迫
最後に、インドを例にとって教育費について考えてみたい。貧富の差が極端で一概にはいえないが、インドの中流以上の家庭は総じて教育熱心だ。インドの経済紙「The EconomicTimes」では、大学入学費や資格取得費は年々上昇しており、今後、教育費がますます家計を圧迫していくと予想している。
子どもに高等教育を受けさせるための資金をどうしたらよいか。日本同様多くの親が頭を悩ませているが、本紙では、最も有効な解決策は「早くから貯蓄に取り組むこと」とシンプルな答えを出している。
経済リサーチャーのBala氏は、「40代からでは教育費のゴールに間に合わない。多くの両親は不足を補うため、退職金など貯蓄に手を付けるがこれは非常に危険な方法だ。教育費を出したからといって、子どもが親の老後を保障するとは限らない」と警告する。
厳しいがこれが現実だろう。日本では乳幼児からの習い事や小学校受験など教育の低年齢化に伴い、教育費は高額化、長期化している。ゴールをどこに設定するのかを考えると、その出費は果たして妥当といえるのだろうか。
自分の老後資金確保という視点で見直し、子どもへの援助額を調整していくことも必要だろう。
まとめ
貯蓄にしても節約にしても、5か国の話題はすべて小さな金額の大切さを指摘していた。大金を一度に用意することはできない。しかし、日々の心がけ次第で少額の貯金、節約は誰にでもできる。
物質、情報ともに過剰な社会に暮らしている私たちは、不要なことにお金を使いすぎてはいないだろうか。「これは本当に必要な出費だろうか」と問うことを習慣化することが、貯蓄への第一歩といえるのかもしれない。
○参考:
・カタール「Qatar Living」
http://www.qatarliving.com/forum/welcome-qatar/posts/some-tips-saving-money-qatar
・アメリカ「America Saves」
http://www.americasaves.org/for-savers/make-a-plan-how-to-save-money/54-ways-to-save-money
・スウェーデン
Katie Berry Housewife How-To’s
http://housewifehowtos.com/save-money/save-money-on-groceries-without-coupons/
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