こんにちは。才津です。今回は表題の件についてお話します。「個人で物件を保有できるのは、RC何棟くらいまで?」という事については、期間や実績等が影響するので、一概に答えが出ないところです。
実際に、法人ではなく個人で購入するとなると、税率の問題など、とれる選択肢が限られてくるため、あまり合理的な判断だとは言えないのが現状です。
では、なぜ個人で物件を購入する云々の話が出てくるのかというと、法人よりも個人で物件を購入する方が、ハードルが低いからです。例えば、個人であれば団信(団体信用保険)に加入できることもあり、金融機関側からしても融資を出しやすい面があります。
また、収益物件を住宅ローンの延長として捉えることで、年収の20倍までであればサラリーマンに対してでも融資をするという感じで、プロパーローンに比べて、簡易な審査で融資をすることができる様なシステムを採用している金融機関も存在します。
つまり、法人よりも個人の方が税率上の合理性には問題があるが、融資面から見ると法人よりも個人の方が収益物件を購入しやすい、ということです。では実際に、金融機関は融資の可否をどのように判断しているのでしょうか?
金融機関は融資可否の判断をどうしている?
一般的な金融機関は、収益物件を購入した場合、
「その運営がきちんとできている実績を見せてください。実績を見た上で、きちんと運営できているのであれば、次の収益物件を購入してもいいか検討します」
という感じでしっかりとした運営実績を元に次の収益物件への融資の可否を検討します。その実績は個人であれば確定申告、法人であれば決算書で判断することになります。
簡単に言うと、
「収益物件を購入したら、実績を見せてくださいね。実績がないのであれば、実績が出るまで次の融資はストップですよ」
という感じですね。
ここで問題になるのが、一般的な金融機関は個人、法人問わず、一定の運営実績を求めるのに対し、一部の金融機関は「年収の何十倍まで」といった枠内においては、運営実績を問わずに融資をする、という考え方の違いです。つまり、以下のようにギャップができているんですね。
○一般の金融機関
運営実績をもとに融資可否を判断=基本的に連続購入不可
→連続購入している人はリスクとして捉える
○一部の金融機関
個人の属性のみで融資可否を判断=枠内であれば連続購入可能
→融資枠内であれば連続購入しても何も問題ない
このように、理論上、個人で連続購入していても一定の期間、運営実績を残すことで(時間はかかりますが)次の融資が可能になり、投資規模を拡大するという意味では、個人、法人で購入することには何の違いも発生しないことになります(税金面での違いがありますが)。
評価方法の違いには、罠が潜んでいた!
ここで問題になるは、各金融機関が持つ収益物件への評価方法の違いです。詳細については過去の私の記事を参考にしてもらいたいのですが、金融機関の収益物件への評価は思った以上にばらつきが大きいというのが現状です。
イメージで言うと、同じ収益物件に対し60、70と評価する金融機関もあれば、100、120と評価する金融機関もあるといった感じです。傾向として個人には融資をしやすいという特長から、個人に融資をする金融機関は収益物件への評価が甘くなりやすい特長があります。
○一般の金融機関
実績をもとに融資可否を判断=基本的に連続購入不可
→連続購入している人はリスクとして捉える
→物件の評価が出にくい
○一部の金融機関
個人の属性のみで融資可否を判断=枠内であれば連続購入可能
→融資枠内であれば連続購入しても何も問題ない
→物件の評価が高く出やすい
評価がでやすい金融機関で120と評価された物件を、ほかの金融機関で評価した場合70になるということは、50債務超過状態になっていると判断され、その債務超過状態が解消されない限り、次の融資がストップになる可能性があります。
つまり、「個人で物件を保有できるのは、RC何棟くらいまで?」という表題に対する答えとしては、個人だろうが、法人だろうが、連続購入にしていようがどうしようが、最終的には実績をつんでいけば、問題なく何棟でも買い進めていくことは可能です(スピードの違いや税率面の違いはあるが)。
しかし、個人に対して融資する一部の金融機関の評価特性上、その一部の金融機関から融資を受けると債務超過に陥りやすく、そこで買い進めていくことができなくなる、ということです。
一旦、債務超過状態になってしまうと、リカバリーが難しい状態になってしまうことも多々ありますので、融資が出ることと、買っていい物件とは明確に分ける必要があります。債務超過になる物件を連続購入してしまうと、最悪、破綻することも十分に考えられます。
ここは私が目標にしている「持続的に投資規模を拡大できる投資手法」なのかどうかに、甚大な影響を与えるところですので、しっかりと理解しておく必要があります。ここが理解できていないで投資をしてしまうと、その場限りの投資で終わってしまうということになります。
一部の仲介業者、一部の不動産投資コンサルタント(コンサルタントを名乗る名乗らないは別として)で、ここが理解できていない方が非常に多くいます。どんなに悪質な物件だったとしても、最終的には印鑑を捺したのは自分です。
彼らからすると、騙されたのも含めて買った人の自己責任で片付けられてしまいますので、十分に注意してください。
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