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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。第10回目の相談者は、広島県にお住いの田中太郎さんです。
田中さんはまだ20代前半という若さでありながら、大きな目標を抱かれています。その目標を達成するためには、年間キャッシュフロー(以下、CF)が8000万円必要ということで、これから不動産投資を通じて実現されたいという希望をお持ちです。
名前 |
田中太郎さん(仮名) |
年齢 |
24歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
公務員 |
居住地 |
広島県 |
年収 |
350万円 |
自己資金 |
200万円 |
Q1.低年収の自分が融資を引けるのか心配
年収が安く担保も所有していないのですが、融資をしていただけるでしょうか。ちなみに、これまでに金融機関へ打診したことがありません。自己資金の他に生命保険に入っていることや、妻の貯蓄100万円、両親の資産として実家(一軒家)があることを「資産」として見せようと考えています。
A1.自己資金を増やしてからスタートしても遅くはない
ご質問ありがとうございます。年収が安く担保が無くても、融資は物件次第で受けられます。とはいえ最初から優良な物件で、条件の良い融資を受けるのは難しいでしょう。また、金融機関から融資を受けるにしても、頭金や諸費用は必要です。
田中さんが不動産投資に使える自己資金は200万円だそうですが、もう少しがんばって資金を増やしてからスタートされても遅くはないと思います。
現状で「一棟アパートを利回り重視して購入する」という投資手法を検討されていますが、中古の戸建てや区分マンションを数百万円で買っていき、それらの売却益で自己資金を厚くしていくのがよいかと思います。
まずは現金でスタートさせることになりますが、無理をせずにやれる範囲の中でトライされてみてはいかがでしょうか。
具体的には築古のボロ物件に手間をかけて、利回りの高い物件として再生してから売っていきます。決してラクして儲かるという性質の投資方法ではありませんが、コツコツと貯めるよりも効率良くキャッシュがつくれます。
田中さんは不動産投資に使える時間が、1週間で24時間ほどとお聞きしていますが、その限られた時間をネット検索だけに使うのではなく、ご自分の足で物件の下見をしたり、不動産業者を回ったりといった活用をしてみてください。
また金融機関は、公務員を「安定した属性」として高く評価します。融資を使う場合は、公務員の属性を最大限に評価してくれる信金・地銀がおすすめです。また、金融機関への見せ金として、ご両親の資産は利用させてもらえばよいでしょう。
年収からいうと、奥様が専業主婦ということで、自己資金も貯まりにくいのではないでしょうか。可能であれば、奥様にも働きに出かけてもらった方が投資には有利に働きます。
そうやって手元の現金を増やしていけば、物件次第で融資も可能です。段階を踏んで、金融機関が「この物件なら融資をしましょう!」という物件を探してみてください。
Q2. 初心者の自分が狙うべき物件とは?
私の属性で初心者として狙う物件は、どのようなものでしょうか。現状、8戸ほどの築古木造アパート1棟で2000万円以下の物件、30年フルローンで金利が2%以下の融資が組めないかと思っています。
A2.木造築古物件では、長期ローンはつかない
今、お考えになっている条件では、金額は問題ありませんが長期ローンは難しいと想像します。というのも、基本的に築古物件を「30年フルローン」という期間と条件で融資付する金融機関はありません。
木造の耐用年数は法律で22年と定められており、各金融機関によって変わる部分もありますが、木造の融資はそれ以下の年数であることが多いでしょう。こればかりは属性が良くても難しいです。
ただし、新築の木造アパートのみ、30年フルローンが可能です。そのため、30年フルローンを目指すのであれば、新築物件を探した方が現実的です。
そもそも30年フルローンにこだわる必要がないとも思います。その理由は、田中さんが目指されている年間手残り8000万円を実現するには、複数の銀行から融資を受ける必要があるからです。その点を考えると、木造アパートへの長期ローンは、他の物件の融資で足を引っ張ってしまう可能性もあります。
Q3.目標額を達成するための長期的な戦略をアドバイスいただきたい
規模を拡大していく中で、目的(年間CF8000万円)を達成するためには、どのような戦略をとっていけばよいのか、1年5年10年のスパンで教えていただきたいです。
私は海外でボランティア活動がしたく、その組織の基盤づくりに必要な資金が約4億円です。その資金源として年間8000万円のCFを目指しています。
A3.金融機関の信用を得ながらステップアップしていく
目標を「10年後にCF8000万円!」と決めたら、手間と労力をかけて、リスクをとって現金をつくり、規模拡大をする方法をとります。もちろん、景気動向にも左右されますし、決して簡単な道ではありません。
年間CF8000万円を達成するための戦略ですが、まずは、物件を買わなければ、具体的な目標も立てにくいのが正直なところです。
今の状況は、物件価格が値上がりしています。この1年くらいは先述した通り、あまり景気に左右されにくいような小さな物件を購入していかれた方がいいと思います。また小さな物件ほど手離れ(売却)もスムーズです。
これを2~3年やり続けていると、地銀・信金・信組から評価され、融資もつくようになるはずです。
そして、物件再生の投資手法を、戸建てから1棟物件へステップアップしていくことを目指しましょう。そして、5年目の段階で、自己資金を1億円ちょっとまでは、伸ばしたいところです。物件規模にもよりますが、目安は5年で6~8棟です。
物件によって、数年で売却して利益を出していくような物件と、中長期で持ち続ける物件にわけていきます。短期間で回転させる方が資金は貯まりやすいため、数年の保有で転売する物件が、多い方が望ましいでしょう。基本は融資がつく物件です。
こうして、5年で1億円をつくった後に、本格的に買い進めていきます。ここで、よく考えていただきたいのは、「年間CF8000万円が何年間必要なのか」というところです。
例えば、目標貯金額が4億円であれば、年間CF8000万円を5年程度続ければ、達成できます。つまり、「4億円を貯めたい!」ということであれば、うまくやれないこともありません。
ただし、このまま年間CF8000万円をずっとキープすることを目標とされるのであれば、長期的な融資を受けて、物件を長期保有する必要があります。これを20年スパンといった、ゆっくりめに考えるのであれば、とる方法も変わってきます。
5年目までは同じですが、規模拡大については、リスクを抑えるために、築浅の中心部の築浅RC、有利な融資が受けられる物件を購入していきます。
中心部というのは東京や大阪といった大都市だけを指しているわけではなく、需要が見込まれる、県庁所在地や政令指定都市など、ある程度の規模の都市の好立地を指しています。
海外ボランティアの実現を将来の夢とする、とても志の高い田中さんですが、このまま公務員のお仕事をされながら、不動産投資を進めていくのは、とても大変なことです。「本業と大家業は両立できない!」とは言い切れないけれど、決して簡単ではないことを認識しましょう。
また、将来の夢である海外ボランティアのための資金すべてを不動産投資のインカムで用立てるのではなくて、クラウドファンディング(ある「志」を持った人や団体に対する資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する手法)や、行政からの補助金なども検討されてみてはいかがでしょうか。
不動産投資以外でも資金調達の目途が立てば、目標金額がより現実的なところで設定できます。そうなれば、夢を実現する可能性も高くなることでしょう。先はまだまだ長いですが、目標に向かってがんばってください!
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