購入直前没_Photographee.eu-Fotolia

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こんにちは。銀座第一法律事務所、弁護士の鷲尾です。不動産の取引では、しばしば買付証明書や売渡承諾書といった書面が取り交わされます。このコラムでも、買付証明書について以前にもご相談がありました

その時のご相談は、買主が出した買付証明書を後から撤回できるかというものでしたが、今回のご相談はそれとは逆の案件です。

物件を買おうと買付証明書を入れましたが、売主が突然「気が変わって売りたくない」と言い出しました……。何か手立てはないのでしょうか?

不動産の契約成立には、確定的・最終的な合意が必要

契約は、申込の意思表示とこれに対する承諾の意思表示があれば成立します。必ずしも契約書のような書類を取り交わすことは求められていません。

たとえば、ケーキ屋さんに行った客が、「そのショートケーキ3個下さい」と求め(申込み)、これに対して店員さんが「はい。900円いただきます」と応じる(承諾)という口頭のやりとりでショートケーキ3個の売買契約が成立します。

こんなときにいちいち契約書を作らないといけないというのでは、煩わしくて仕方ありません。

しかし、不動産の取引では、契約が成立したというためにはこうした口約束だけでは足りないとされています。

それは、不動産は通常代金が高額となりますし、考慮すべき事情(グレードや建物の築年数、購入時期や支払方法など)も多いため、その取引は慎重・確実に行われなければならず、確定的・最終的な合意がされるまでは売買契約は成立しないと考えるべきだからです。