軽量鉄骨だった_house0402-Fotolia

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5月になりました。この時期はスギ花粉もようやく納まり気候も良い季節になりました。私もここ最近はくしゃみと鼻水が終息してきました。現在のようなすごしやすい時期は短いので有意義に利用したいものです。私の場合、現在長期出張中のため土日休み返上で働いています。

こういった過酷な毎日を送っていますと早期リタイヤが頭をよぎります。不動産賃貸業に専念できる時期が来るものと夢見て、地道に物件を増やし、CFも増やしていきたいものです。

さて、今回は鉄骨造の物件についてのお話です。建築物には大きく分けて鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)、鉄筋コンクリート造(RC)、木造、鉄骨造と4種類の構造があることはご存知のことでしょう。今回はこの4種の中でも鉄骨造について紹介します。

重量鉄骨だと思っていたのに、実は軽量鉄骨だった!?

通常、物件売買時に物件資料を確認すると、物件構造の欄には「鉄筋コンクリート造」とか「木造」と表記されています。鉄骨造の場合、重量鉄骨造は「鉄骨造」、軽量鉄骨造は「軽量鉄骨造」と表記されます。

ところが稀に軽量鉄骨造でも「鉄骨造」と表記されている物もあります。実際に私の友人が購入した軽量鉄骨は「鉄骨造」としか表記されていませんでした。

ただ、私の方で「この物件はどう見ても軽量鉄骨だ」と思っていましたので、その友人もそのつもりで検討していました。このときその友人は仲介会社に問い合わせたのですが、その担当者は、「軽量鉄骨であっても鉄骨造には変わりないのだから何か問題があるのか?」的な回答をしたようです。

確かに言っていることは間違っておりません。しかし、軽量鉄骨造と重量鉄骨造では大きな違いがあります。

では、具体的にどのような違いがあるのか、理解しているようで案外理解していないことが多いのではないでしょうか。あなたは説明できますか?


軽量鉄骨と重量鉄骨の違い

一般的に鉄骨造といえば重量鉄骨を意味します。物件情報に「鉄骨造4階建て」と表記されていればそれは重量鉄骨造です。軽量鉄骨はあえて軽量鉄骨と表記するようにしているようです。

ただ、必ずしも軽量鉄骨を「軽量」と表記する決まりは無く、友人の例のように、軽量鉄骨造でも鉄骨造と表記していることもあります。

では、軽量鉄骨と重量鉄骨の違いですが、みなさんが思われているように鉄骨骨組が軽いか重いかの違いです。ただ鉄素材そのものの重量(比重:7.85)が違うわけではなく、材料である鉄材は同じものを使っています。要は単位あたりの重量が違うのです。

簡単に言ってしまえば、鉄骨の厚みが薄いか厚いかの違いです。当然鉄骨の厚みが薄ければ単位あたりの重量は軽くなり、反対に鉄骨の厚みが厚ければ単位あたりの重量は重くなります。

そしてその基準は軽量鉄骨と呼ばれる鉄骨の厚みは6mm未満となります。こういった軽量鉄骨を使用した建築物は軽量鉄骨造と言います。

ただ、一部の見解では鉄骨の厚み4mm以上の場合でも重量鉄骨と呼ぶ場合がありますが、一般的には肉厚6mm以上が重量鉄骨の定義のようです。

軽量鉄骨造と重量鉄骨造には建物そのものにも違いが出ます。賃貸物件に採用される軽量鉄骨は大手プレハブメーカー等が採用しています。そしてそれらの建築物は殆どが2階建てになります。稀に3階建て以上の軽量鉄骨物件も存在しますが、構造上あまりお奨めできる物件ではありません。

鉄骨そのものの厚みが薄いのですから高層階に適さないことは想像できるでしょう。コストも高くなるのでわざわざ軽量鉄骨を使う意味がありません。

重量鉄骨は大型の工場やビルなどに使用します。賃貸物件でもマンションのようなちょっと高級な物件では重量鉄骨が採用されます。重量鉄骨で作られた建築物は地震に強いといった特徴もあります。

軽量と重量では振動や音の特徴も大きく違います。軽量鉄骨であると外部からの音や隣または上階からの音が通りやすいです。これは軽量鉄骨造の賃貸物件だからと言うよりも、軽量鉄骨造の賃貸物件は廉価に造りがちであるためです。音の問題は防音材や遮音材にお金をかければある程度解消されます。

しかし問題は振動や振動が起こす音の問題です。軽量鉄骨造の建物ではちょっとした振動でも各戸へ伝わっていきます。例えば2階で歩く振動でも気になることがあり、子供などが走り回ると非常に気になる振動音となることもあります。

私の所有している軽量鉄骨物件では廊下を歩く音(振動)や、階段を昇る音(振動)も各戸で感じる程です。

では、なぜわざわざデメリットの多い軽量鉄骨で建築するのでしょうか? それはやはり建築コストが安いという点に尽きます。

鉄骨造の建物の場合、建築コストの大半は鉄骨材の金額です。その鉄骨材は厚みが薄ければ薄いほど安く済みます。大雑把に言ってしまえば鉄骨材は1kg○○円と言った費用計算をする程です。そのため、建築コストを抑えるためには材料費を安くするのが最良です。

もうひとつの長所としては建物重量が軽いということです。建物が軽いということは杭がいらなくなる場合があることです。

地盤によっては重量鉄骨造では杭が必要だが軽量鉄骨造であれば不要の場合があります。杭の必要な場合ではその費用だけでも数百万円~数千万かかることがありますので、慎重に検討しなければなりません。


軽量鉄骨造と重量鉄骨造で税制の差

不動産賃貸業を行う上では、税金の問題も考慮しなければなりません。この税金で大きく検討材料になる「減価償却費」というものがあります。ここで改めて減価償却については説明しませんが、減価償却年数によっては収益に大きく影響が出るのは周知の事実でしょう。

一般的に軽量鉄骨造の減価償却期間は19年です。重量鉄骨造であれば34年です。木造でも22年取れるのに対して軽量鉄骨造は意外に短く感じることでしょう。ただ、実際には鉄骨造の減価償却年数は3段階に分かれています。

・金属造(骨格材の肉厚が4mmを超えるもの) 34年
・金属造(骨格材の肉厚が3mmを超え4mm以下のもの) 27年
・金属造(骨格材の肉厚が3mm以下のもの) 19年

一般的にハウスメーカーや主だった軽量鉄骨の物件は、骨格材に肉厚2.3mmの鉄骨材を使用することが殆どです。中には一部3.2mmの鉄骨材を使う場合もありますが、その場合も大部分の骨格材に肉厚2.3mmを使用していると判断されるようです。

そのため、通常鉄骨造の減価償却年数は重量で34年、軽量で19年となるようです。

この減価償却の考え方は融資を引く場合にも大きく影響します。多くの銀行は、融資返済期間を減価償却年数の残り年数を基準に考えます。そのため、中古軽量鉄骨物件で30年返済の融資を引くことは稀であり、築20年未満の物件でも最長で、10年~15年なんてことが多いのではないでしょうか。

地方物件になると15年どころか融資不可なんてことも普通にあります。その点、重量鉄骨の場合、築20年近くても25年や30年返済の融資を引ける場合があります。減価償却34年-築20年=14年なのですが、なぜかそれ以上の年数になるようです。

軽量鉄骨と重量鉄骨の見分け方

このように、軽量鉄骨と重量鉄骨では大きな違いがあります。この違いは不動産賃貸業を行う上では大きな検討材料になるだけに、区分けはきちんと行うことは仲介会社の責務だと感じます。

では、冒頭に紹介した事例とは反対に、軽量鉄骨造であると表記されていて、実は重量鉄骨造であったなんてことはあるでしょうか? 全く無いなんてことはないと思いますが、まずあり得ません。軽量鉄骨は軽量鉄骨です、重量鉄骨は含みませんので。でももしそんな物件が軽量鉄骨価格で手に入れば儲けものですね。

最後に軽量鉄骨造物件と重量鉄骨造物件の簡易的な見分け方ですが、

(1)規格化されたハウスメーカーの2階建て物件は軽量の可能性大
(2)階段、廊下を歩いたときに若干の振動や揺れを感じる物件は軽量の可能性大
(3)3階建て以上の物件はほとんど重量鉄骨物件

以上を目安にしていただければ簡易判別が可能かと思います。

建物の構造は一見して判断できるものは少ないです。私自身は建築の専門家でありますが、簡単に判別できないこともあります。鉄筋コンクリート造と思っていたら鉄骨造であったとか、鉄骨造であると思っていたら木造であったなんてことは良くあります。

特に鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造では見ただけで判別は不可です。設計図書で確認するか、確実な資料で確認することが必須でしょう。くれぐれも想定より実際には劣る構造物件であったということが無いように、事前に確実な確認を心掛けるようにしたいものです。