お金持の裏側_shou1129-Fotolia

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世間でお金持ちといわれている人たち。そのすべての人が素晴らしい人格の持ち主で、きちんとした生活を送っているかというと、そうは限るまい。なかには、お金に物を言わせて贅沢三昧の毎日にふけったり、おもてづらだけ良く見せて家ではだらしない格好で過ごしたり、なんて人もいるはず。

ここではそんなお金持ちの意外な裏側を、デパートの元外商員に赤裸々に語っていただいた

外商員といえば、お得意様と呼ばれるお金持ちの家へ足を運び、商品を販売したり、注文を受けたりする存在。日々お金持ちと接しているだけに、彼らの意外な裏側を覗いた瞬間も数あるはずだ。登場するのは、元大手百貨店で10年近く外商員を務めていた稲葉さん(仮名)。早速、聞いてみよう。

外商員を呼ぶには年収いくら必要?

――まず、外商員を自宅に呼ぶには年収がいくら必要なのですか? この情報はあまりオープンにされていないような気がするのですが……。

「はい、理由は分かりませんが、はっきりと基準を謳っているデパートは、ほぼないと思います。無論、その条件はデパートによって異なりますし、都心と地方といった地域差もあるようです。

ちなみに今だから言えますが、私がかつて働いていたデパートでは年収1500万以上で、かつ持ち家の方。そしてそれだけでなく、年間200万円以上のご利用実績のある方でしたね。ただし、私が外商員として働いていたのは7年ほど前のことですから、それらの条件は今では変わっているかもしれません」

――なるほど。ただ高収入というだけでは難しいのですね。

「そうなんです。また既に外商を利用されているお客様が、他の方を紹介してくるケースもあります。もちろん、誰でもOKではなくある程度の年収は必要ですが」

――外商を利用するお金持ちは、どんな職業の方が多いのでしょうか?

「それはもうさまざまです。一流企業の重役をはじめ、企業経営者、お医者さん、議員さんなど、みなさん職業はバラバラでしたね。親子2代にわたって通わせていただいた、同族経営をされている企業の社長さんも何人かいました」

ワースト5:生意気な口をきく3代目の御曹司

――本題に入らせていただきます。稲葉さんはかつて、多くのお得意様の自宅を訪問されたことだと思います。そんな稲葉さんが驚いた、あるいはちょっと変わっているなと思ったお客様はいらっしゃいましたか?

「たくさんではないですが、いましたねぇ(笑)お金持ちだから変わっているのか、変わっているからお金持ちになったのかは分かりませんが、とくにワンマンタイプの社長さんには、その傾向がありました」

――では具体的にお聞かせください。

「同族経営をされている老舗企業の社長さんで、その方は2代目の方でした。初代社長であるお父様の代からお世話になっており、私にとっても上客の一人だったのですが、お子さまの教育がなってなかった

おそらく3代目を継ぐはずの息子さんで、当時10歳くらいだったでしょうか。生まれた時から豪邸に暮らし、なにひとつ不自由することなく育ってきたせいかとにかく生意気。私に対しても常に上から目線で、『今日はこれを買ってやるよ』とか、『次に来るときは、あれ持って来い』とかなどを、平気で言うんです」

―― 10歳といえば、もうそういうことの分別はついてもよさそうですよね?

「そうなんですよ。さすがにその子のお父さんとお母さんはたしなめたり、注意したりするのですが、お爺様、つまり初代社長は孫が可愛いんですかね。その光景を見てただニコニコしているだけ。

私も商売ですから、はいはいと聞いていましたが、正直ムカつくときもありました(笑)よく、3代目が会社を潰す、なんて耳にしますが、あのことかと当時は思いましたね」

――甘かやしの典型ですね。きちんと育ってくれると良いですが。では次のケースを教えてください。

ワースト4:訪問の度にセミナー勧誘

「内科のお医者さんで、個人病院を経営されていた方です。性格もすごく明るいご主人と、美人の奥さんのご夫婦だったのですが、じつはとある啓発セミナー系の団体に所属されていた一家でした。もちろん、こちらとしては商品を買ってもらえれさえすれば、なんの問題もありません。

最初のうちは毎月20万以上を使っていただいて、助かっていたのですが、あるときからそのセミナーへ勧誘してくるようになったんです。これを買うから参加してくれ、というふうに。

――稲葉さんは、そのときどう対応されたのですか?

そういうことはデリケートな問題だし、なんとか断ることができていたので、会社には黙っていましたが、あれには参りました。それからも勧誘をやんわりとかわし続けていたら、結局いつからか何も言ってこなくなり、事なきを得ましたが。

また、そのご夫婦は高級バッグや仕立てのスーツなどを頻繁に買っており、意外と俗っぽかったのも印象的でしたね」

――たしかに大事なお得意様とはいえ、その類の勧誘は困りますよね。次はどんな金持ちの方ですか?

ワースト3:高級時計をぞんざいに扱うご主人

「1代で財をなした50歳代後半の企業経営者のお宅です。年収が3000万以上ある方で、社長さんご自身は高級時計や高級スーツを好み、奥さんは海外の有名ブランドのバッグや日本限定アイテムなどが発売すると、すぐに飛びつくような方。さらにお二人とも飽きっぽい性格で、次から次へと新しい物を求められるんです。

それだけなら、私としてもお得意様のなかのお得意様で大変ありがたい存在。ですが、とくにご主人は飽きたものには頓着しない方で、リビングのそのへんにポンって何百万とする高級時計をむき出しのまま置きっぱなしにしているんですよ。しかも数本も」

――奥さんはいかがでしたか?

「さすがに奥さんのバッグなどは置いてありませんが、時計を片付けないところをみると、推して知るべしでしょう。肝が座っているというか、整理が苦手なのか。あれでは空き巣などに入られては、たまったもんではありません。

まあ私が心配することではないかもしれませんが。それほどぞんざいに時計を扱っているぐらいなら、私にどれか一本ください! とも思いましたよ。それは言い出せませんでしたけどね(笑)」

――お金持ちだからこそ、なせる荒業かもしれませんね。では次に参りましょう。

ワースト2:キッチンを覗くとゴミの山が

「ある一流企業の部長さん宅でした。その方が住んでいたのは都内の高級地に建つ一戸建てで、豪邸というほどのものではなかったのですが、一般庶民に買える代物ではありません。

年間の購入額も優に200万円は超えており、ああさすが一流企業の部長さんともなると、違うんだなといつも感じていました。奥さんもどこかのご令嬢だった方らしく、大変気品のある方で、私にも丁寧に接してくれていたのですが……」

――どんなことがあったのですか?

「ある日、いつものようにおじゃましたとき、トイレをお借りしたことがありました。そして用を済ませリビングへ戻る途中、キッチンの様子がたまたま目に入ってしまったんです。

すると、コンビニ弁当や牛丼のテイクアウトの容器、またカップラーメンのカップなどがゴミ箱から溢れ、まるで一人暮らしの学生の部屋かと思いました。質素な食事の内容にも驚きましたが、なによりあの奥さんからは想像できないような汚さに一番衝撃を受けましたね」

――人は見かけによらないということでしょうか。さて、いよいよワースト1を残すのみとなりました。果たしてどんな、お金持ちの意外な姿だったのでしょうか?

ワースト1:豪腕経営者の家庭における驚くべき姿

「今でも強烈な印象が残っている、ある強面で知られた企業経営者のケースです。経済誌などでもその成功譚が語られたこともある持ち主で、私も憧れていた経営者の方でした。現在もバリバリに活躍している方ですからはっきりとしたことは言えませんが、じつは見た目とは裏腹にかなりの恐妻家だったんです。

財布の紐は完全に奥さんが握っており、私への注文も大半が奥さんからのもの。何百万もするジュエリーで身を固めるような派手好きな方で、年間1000万円を超える買い物をすることもしばしばでした」

――ご主人からの発注は一切なかったのですか?

「ありましたけど、ご主人はスーツをはじめ、着るものは奥さんの言うがままで、あれが欲しい、これが欲しいなどと自らが言うことは、ほとんど皆無でした。たしかにご主人は仕事バカといったタイプで、ファッションや嗜好品にはそれほどの興味を示さない方でしたから、外商員なんて必要としなかったかもしれません。

それでも、借りてきた猫のように唯々諾々と奥さんの言うことに従っている姿は、豪腕でならしたあのカリスマ経営者とは思えませんでした」

――経済界で輝く人物のイメージとはかけ離れていたんですね。

「そうなんです。終始、奥さんの言うことに反論しませんでした。なにも言い返せない、意見を挟めないといった雰囲気で、ある意味異様な光景が常に繰り広げられていたんです。

少しくらい、ご主人の意見を聞いたっていいじゃないですか。内助の功という言葉があるように、これまで奥さんも必死にご主人をサポートしてきたのかもしれませんが、あれはなかなか痛々しいシーンでしたよ。まさかもまさか、あまりにも意外な姿にびっくりしたというか、ショックでしたね」

――あまり見たくないですね、そういう姿は。まあそれでも、そんな奥さんの存在が働く励みとなっているなら、仕方のないことかもしれません。

「そうであることを願うばかりです(笑)」

生々しい経験をした外商員も

――ここでお話ししていただいたようなご経験は、外商員のみなさんはお持ちなんでしょうか?

「う~ん、みんながみんな、そうではないと思います。でも、お客様となる方のお仕事や年収はほぼ把握しているわけですから、より密接なお付き合いをすればするほど、表からでは分かりづらい裏側みたいな局面にも、遭遇する可能性は高くなるかもしれません。

これは私の元同僚が経験したことなのですが、ある資産家のお宅へお伺いしたときに、奥さんに誘われたりなんてこともあったようです。もちろん断ったそうですが、似たような話は聞いたことが多少はあります。

愛人へのプレゼントを外商員に手配させたのが奥さんにバレて、償いではないですがその何倍もする宝石を買わされた社長さんとか。そういった生々しいことも多少はありますね」

もちろんすべてのお金持ちがそうではないだろうが、どこかバランスを欠いた家庭や夫婦も存在することは確かなようだ。みなさんも一度、我が身を振り返ってみてはいかがだろうか。