こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。前回のコラムに引き続き、ニューヨークのインテリアショップをレポートとともに、賃貸物件でも簡単に取り入れられるニューヨークスタイルのコーディネートを提案したいと思います。
Room & Board
マンハッタンで一番インテリアショップが多いソーホーのRoom & Boardというインテリアショップ。オリジナルラインとチャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソン等のミッドセンチュリーの家具を扱っています。
実用的でありながら機能美を備えた家具であり、ずっと使える長持ちするものを多く揃えているという印象のお店です。
こちらのショップのインテリアコーディネートの特徴はまさにニューヨークスタイルであり、モノトーンを中心にシックにまとめています。目新しいという感じはありませんが、色や質感の組み合わせなどは失敗しないコーディネートの参考になります。
これらのコーディネートを参考に、部屋の仕様を決めてみましょう。
まずは壁紙です。
他メーカーでも類似柄はたくさんでておりますが、これらの柄は居室に限らず、水まわりなどにも使いやすい柄です。無地カラーのクロスとの組み合わせはもちろん、木目柄と組み合わせたりと、合わせるものによってインテリアイメージも変化をつけやすい柄です。
こちらのベッドルールはグレーのグラデーションでまとめられています。
また、先日コーディネートしたワンルームマンションのモデルルームをご紹介します。ニューヨークに行く前でしたので、この写真を参考にしたわけではありませんが、淡いグレー色とシャビーな古木柄のクロスとの組み合わせと、ベッドリネン類もすべてグレーでまとめてみました。最近人気の「塩系インテリア」です。
「塩系インテリア」とは、「男前インテリア」と呼ばれる最近人気のスタイルをベースにした、塩のようにサッパリと、色味をあまり使わずスッキリまとめたスタイルを指します。なので素材感が重要になります。
住宅ならば本物を使うところを、賃貸物件ではフェイク的なものでカバーし、気軽に取り入れると良いでしょう。
このように小物や装飾品を使うのも有効です。アイアン類や古木調フレームでヴィンテージ感やシャビー感を演出します。
このような裸電球で好きな位置に設置ができる照明器具を取り付けました。電球を変えればモダンにもレトロな雰囲気にも演出できます。うれしい低価格で、何物件かに採用しています。
照明器具のイメージはこちらのハンバーガーショップFive Napkin Burger(630 9th Avenue, New York, NY)のインテリア。床は今更ながらの白黒の市松柄ですが、あえて新鮮に見えるのは不思議です。
水まわりなどの小さなスペースでは市松柄の小さいクッションフロアを、ダイニングなど広いスペースには300角のフロアタイルが良いでしょう。
A&G MERCH
次にブルックリンの動物などのセレクト雑貨、アーティスティックな照明、家具を取り扱うお店のインテリアから。心地いいカラーやファブリック、フェルト、木などの素材を使った雑貨で、優しく、癒しを感じるものが多く揃っています。
また牛や鹿などの動物のオブジェで思わず笑ってしまうようなユーモアな雑貨も多く、それらをディスプレイすることでカッコよく、かつオシャレなインテリアになっています。
こちらのお店のインテリアの特徴は、ヴィンテージ感と素材を活かした組み合わせに、ポップな色やフォルムで印象的なアクセントをつけています。
こちらのショールームの雰囲気を作る壁紙を国産クロス(サンゲツ)で選んでみました。
これらの壁紙を今までのアクセントクロスではなく、壁の凹凸や見切り材を使って貼り分けたりして、1面だけのアクセントクロスにもう飽きたという方は是非遊んでみてください。
ただし色が氾濫しないように、カラフルな木目には、モノトーンのイラスト柄、また、柄物が続く場合は間に無地ものを入れて引き締めるというように、メリハリをつけて全体のバランスをまとめてください。
まとめ
最後にご紹介した柄物のミックススタイルは賃貸では難しい部分も多いと思います。どうしても好き嫌いの出るテイストで、入居者を選別してしまい募集の間口は狭くなってくると思われます。ただずっと空室が続き、決め手のない物件には試してみる価値がありますし、物件のブランディングにつながります。
わたしが担当した地方の物件では、出足は遅いものの、今では「あの〇〇〇の物件ですね」というように、地元の不動産屋にもよく知られるようになりました。
冒険かもしれませんが、人と同じで個性を出すことで成功することもある、という提案の一つです。そんな冒険が出来ないという方は、塩系インテリアのように流行を取り入れつつ、主張しすぎないスタイルを取り入れると良いでしょう。
アクセントクロス使いも浸透し、もう少しだけ主張しブランディングすることも時には必要です。一般的な原状回復に、少しだけこだわってみることで、新しい層のニーズが増えるのではないでしょうか。
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