フロアタイル

こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。現在、自身の事務所を改装工事中なのですが、ちょうどフロアタイルを貼る機会がありましたので、職人さんにお願いして少人数の講習会を開きました。

わたしも参加しまして、意外に簡単に貼れることが分かりましたので紹介したいと思います。

今回の現場は古いRCマンションのフルリノベーション。天井を抜いて、床は土足も可能なものにしたいということで、古材のフローリング柄のフロアタイルを選びました。

ロイヤルウッド(180mm×1260mm)PWT-603(東リ)4400円/平米(税抜き)

フロアタイルは塩ビ素材で出来た床材で、耐久性、施工性に優れており、また価格がフローリングに比べて安いにもかかわらず、本物と見間違えるほどデザイン性も優れています。

木目調、フローリング柄、石目調などサンゲツ、東リなどの有名メーカーから、様々な種類の柄が販売されています。

飲食店や、ショールームなどでも良く使われていますが、最近は住宅でも、特にリフォームにおいては結構使われるようになりました。また性能やデザイン、価格だけでなく、メンテナンスにおいても優れています。

表面が特殊加工してあるので、表面が固くて傷がつきにくく、日頃のお手入れも簡単にすることができます。そして傷んだ部分のみ貼り直すことができるという利点もうれしいですね。

では、実際の工程順に写真とともにご説明いたします。

必要な道具・材料

○フロアタイル本体

作業のミスや汚れたときの取替え補修用に少し余裕をみて1割程度多めに取りましょう。後から補充すると、同時期に作られたものでない、いわゆるロット違いのため、色合いなどが微妙に違う場合があります。

○カッターナイフ

小さいタイプのカッターナイフは刃が折れやすいので大きめのタイプを使います。カッターの刃はキレ味が鈍ったらすぐに取り替えますので、替え刃も用意してください。

フロアタイルはカッターナイフで切っていきます。

○専用接着剤(糊)

専用の接着剤(糊)を用意してください。下地の状態によって様々な種類が販売されています。ホームセンター、通販などで購入できます。

今回はこちらを使いました。

ルビロン エコプラス/トーヨーポリマー株式会社 15kg 8424円(ネット通販)

○金属定規・メジャー

メジャーは部屋の大きさを測ったり、寸法を測ったりします。金属定規や差し金はフロアタイルをカットする場合にも使いますが無くても他のもので代用もできます。

○スクレイパー、やすり、ローラー他

スクレイパーは下地である古いクッション材を剥がしたり、綺麗に仕上げる作業に使用します。今回は既存のクッションフロアの上から貼りましたので、そのような下地の床が綺麗な場合は必要ありません。

抑えローラーはフロアタイルを圧着するのに使用します。貼り合わせ部分の凸凹が無くなり綺麗に仕上がりますので、是非使ってください。

押さえローラーで圧着!

やすりはカッターで切断後の断面の凸凹を無くすように使います。その際は少し斜めに削ることがポイントです。

やすりで削ります。

今回使用した道具たち(職人さん私物)


基準線を書く

今回の講習会では墨出し(建物の柱や床などに、仕上げ面の位置などに線を書くこと)をすでに済ませておりましたので、墨打ち機(墨出し器)・チョークライン(墨つぼ)が無い場合を考えて、たこ糸などを真っ直ぐに貼り基準線をとる方法をご説明します。

(1)部屋の縦横を計測し貼り始めの中心位置を割り出します。

入り口や目立ちやすい場所に小さなサイズのタイルを使用しないよう考えてバランスよく配分します。どうしても小さなタイルが入るときは部屋の隅の家具、置き物等の下など目立たない所で使用しましょう。

何度も言うように、壁を基準にして並べると失敗します。壁面というのはどんな新築でもゆがんでることが殆どですから、気を付けてください。

(2)中心点を割り振りしたら、基準になる線上を鉛筆などで基準線を引きます。

基準線で床を汚したくない場合、たこ糸などを真っ直ぐに貼り基準線を引きましょう。

(3)基準線の描き方は、部屋の中心部分ではなく、部屋を半分にするように、鉛筆でセンターに印をしていきます。部屋の一箇所だけでなく、2~3箇所のセンターを出して印を入れてください。

(4)そして印をした部分から壁にむけてフロアタイルを並べた場合に、壁際の部分に極端に小さいフロアタイルが並ばないように、印の位置を左右に調節します。どうしても小さいフロアタイルが出来てしまう場合は、家具などで隠れる部分や、なるべく目立たない場所に出来るようにしましょう。

床に接着剤を塗る

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作業風景

まずは貼る前の下地作業を念入りにしましょう。施工時のとても重要なポイントです。

古いフローリングやクッションフロアを剥がした場合は、糊やゴミが残っている場合が多いので、綺麗に取り除きます。

フロアタイルは、下地に凸凹があると、その部分が浮いてしまいますので、パテやサンドペーパーを使って平らに仕上げます。今回は既存クッションフロアの上からですので、綺麗に掃除のみです。

床の材質にあった専用の接着剤を塗ってください。作業面の効率を考え、全面には塗らずにどちらか片側のみ塗抹します。その際センターの線を消さないよう注意しましょう。付属品のへらなどを使い全体に均一に塗っていきます。塗り終わったら接着剤が乾くまでしばらく待ちます。

乾く少し前が、一番接着力が強くなるので、乾く前にフロアタイルを貼ってしまうと接触不良になることがあります。表面を手で触ってもベタベタしない程度まで乾かしてください。

糊を乾かす際に扇風機を使うと時間の短縮ができます。夏なら10分、冬は30分程度が目安です。ちなみに今回は下地のクッションフロアの材質上、乾燥時間は15~20分です。


フロアタイルを貼る

接着剤が乾いたら、フロアタイルを貼る作業です。基準線に合わせてまっすぐ隙間を空けないように並べていきます。

最初の出だしは正確に貼りましょう。最初の少しのズレが、部屋の端の方まで来ると大きくズレてしまいます。定規などを使って慎重に貼りながら、部屋の端まで貼り進め、ローラーを使って圧着しながら貼っていきます。

フロアタイルは柔らかい素材で出来ているので女性の方でも簡単にカットすることができます。

ちょっと難しいのは壁際部分のカットですね。壁までの残りの距離を定規で測る方法ではなく、今回はフロアタイルを定規にして長さを揃える方法を紹介します。

(1)カットするフロアタイルを、ひとつ手前のフロアタイルの上にピッタリと重ねます。この時に下のフロアタイルと上のフロアタイルが少しでもズレていると、後でカットしたフロアタイルを貼った時に、隙間が空いてしまったりするので、正確に重ねましょう。

(2)その上に、カットしていないフロアタイルを壁際にピッタリ寄せて置きます。

(3)線にそって定規などを使いカッターで切り目を入れます。

(4)切り目を入れたフロアタイルを手で折り曲げ、折曲がった部分にカッターを押し当てながらフロアタイルを切断します。(カットする前にフロアタイルをドライヤーで軽く温めてからカットすると、簡単に切ることが出来ます)

(5)これで壁までの距離と、カットしたフロアタイルの長さが同じになりますので、このフロアタイルを貼り込みます。

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貼り付け作業

壁際のカットをしてきっちり敷き込み、ローラーを上からかけることで完成度も高まります。そして残りの基準線より反対側も接着剤を塗って同様の工程でフロアを貼って完成です。巾木も貼り替えれば、カットした切口も隠れますので一層綺麗に仕上げることができます。

まとめ

価格はクッションフロアより1.5~2倍ほど高いですが、メンテナンスや耐久性を考えるとクッションフロアよりもランニングコストが安く済むフロアタイル。

それに何といってもデザイン性が豊富で、特に店舗用フロアタイルは耐久性はもちろんのこと、素材感がリアルなものが多く、高級感があります。

あまり原状回復にコストがかけられない部屋や、あまり凹凸のないワンルームなどの部屋で試してみてはいかがでしょうか。床ひとつ変えただけでもかなりのインパクトが期待できますよ。