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みなさん、こんにちは! 不動産投資専門税理士の叶です。今回は、不動産投資家、大家さんのパートナーの1人となる、税理士の賢い選び方について解説します。
帳簿を複式簿記で付けずに、毎年33万円もの損失!
以前、他の税理士事務所から、うちの事務所に移って来られたお客さんで次のようなケースがありました。
そのお客さんは、お母さんと娘さん、個人2人で共有しているマンションがあり、部屋も10室以上ありました。事前相談で申告書や帳簿を見せてもらうと、青色申告はしているものの、簡易的な手書きの帳簿しか付けられておらず、青色申告特別控除は、それぞれ10万円だけ。
このコラムをお読みの方の中にはご存知の方も多いと思いますが、個人の不動産所得で5棟10室以上の物件を運営している場合、事業的規模とみなされて、複式簿記で帳簿を付ければ、青色申告特別控除は65万円まで取ることができます。
その差額65万円-10万円=55万円!
税理士にとって、複式簿記で帳簿を付けることは、簡単なことです。このお客さん、所得税率が30%でしたので、複式簿記で帳簿を付けるだけで、16万5000円節税することができます。
差額55万円×税率30%=165,000円
逆に言うと、お願いしていた税理士の怠慢のお蔭で、毎年16万5000円の損をしていたことになります。もし最高税率55%の人なら、30万2500円の節税額です。大きいですよね。
さらにさらに、この物件、お母さんと娘さんの2人で共有していたので、それぞれ青色申告特別控除が65万円取れるんです! 結局、毎年16万5000円の2人分、33万円ものお金を節税できず、損をしていることになっていました。
税理士も様々
先ほどの事例のように、税理士の処理で、節税額が大きく変わることは意外と多くあります。では、どのような税理士にお願いすれば、こちらの要望を聞いた上で、それに沿った処理をしてくれるのでしょうか?
まず、重要なのはコミュニケーション能力です。
実は日本に約7万5000人いる税理士の平均年齢は64.5歳! かなり高いですよね。僕は現在、40代前半なので、税理士業界では、まだまだひよっこのようなものです。
税理士の仕事は、比較的年齢が高くてもできる仕事なので、中には80代で現役の税理士もいます。年齢が高いということは、それだけ知識と経験があるということですが、逆を考えると、今の世の中についてきてないケースもあります。
特に最近は、帳簿や申告書をソフトで作成することがほとんどですが、中には先ほどの事例のように未だ手書きで作成している税理士もいます。ITツールを使いこなせないということは、メールやチャットが当たり前の世の中になっている今において、コミュニケーション能力が不足しているということにもなります。
そして、もちろん会話を通じたコミュニケーション能力も重要です。こちらの要望が伝わらなければ、いい仕事をしてもらえるはずがないですからね。
そして、次に重要なことは、その税理士の専門性です。僕はよく医者に例えるのですが、医者は○○科とその医者の専門性がすぐにわかります。だから、風邪をひけば内科に行きますし、ケガをすれば外科に行きます。
一方、税理士は相続専門や医業専門、またうちの事務所のような不動産投資専門という税理士事務所は時々見かけるものの、専門性を打ち出している税理士事務所は少ないのが実情です。だから、紹介で知り合った税理士や、事務所の近くの税理士にお願いすることが多くなります。
もちろん、それで問題なければいいのですが、色んな業種を扱っている税理士と、専門特化している税理士、どちらがその分野の知識、経験が豊富かと問われれば、専門特化している税理士に軍配が上がるのは当然の結果ですよね。
税理士の賢い選び方は?
では、どうしたら不動産投資家、大家さんが自分に合った税理士を見つけることができるのでしょう?
最近はインターネットが普及して、サイトを持っている税理士も多くなっていますので、まずは検索して探してみましょう。
そして、自分に合いそうな税理士事務所のサイトを見つけたら、そのサイトを一通り見て、事務所の概要や価格を確認してみましょう。次に、実際にその税理士事務所に相談の申し込みをしてみましょう。ほとんどの税理士事務所は、初回の相談は無料で受けてくれます。
実際に相談をするときは、あなたが勉強して覚えた専門用語で話してみましょう。「表面利回り」や「実質利回り」程度の言葉がわからないようであれば、あまり不動産賃貸業に詳しくない税理士だとすぐにわかります。
しっかりと専門用語でも会話ができ、コミュニケーション能力もありそうなら、後はあなたとの相性です。税理士は、通常一度契約すると、長年連れ添うことが多く、ある意味、結婚と似たところもありますので、やっぱり相性がよくなければ長続きはしません。
最初の事例で挙げたように、税理士選びで残るキャッシュフローが大きく変わってくることもありますので、しっかりとあなたに合った税理士と付き合えるように、慎重に選んでくださいね。
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