夜逃げ_ra2studio-Fotolia

写真© ra2studio-Fotolia

大家をしていて遭遇するトラブルの一つが入居者の「夜逃げ」。数カ月分家賃を滞納され、携帯電話はつながらず、部屋に入ってみるともぬけのから……。やられたと思った時には時すでに遅し、なんてケースが後を絶たないようだ。

大家としては悔しい思いでいっぱいかもしれないが、出て行く側の彼らは、どんな事情があって夜逃げをするのだろうか、また夜逃げ後の生活はどのようなものなのか、その実態に迫ってみた。

夜逃げの原因は様々

現在の夜逃げには、以下のようなタイプがある。

・多額の借金を背負い、その取立てから逃げる
・家賃が払えなくなり、突発的に逃げる
・DVがひどく、夫などから逃げる
・ストーカーがひどく、知人宅などに逃げる

どれものっぴきならない状態ではあるが、DVやストーカー被害の場合は、方法としての夜逃げであるため、後々の説明や相談によって、家賃が未払いになることは少ないと考えられる。


借金で夜逃げするのはこんなケース

夜逃げの経緯は人それぞれだが、調べた限り数百万円〜数千万円の借金を背負って、取り立てが恐ろしくなり、逃げる人が多いようだ。また、そこまで多額の借金でなくても、夜逃げする人は存在する。

ひとつは5年以内に自己破産した経験をもち、少額のお金さえもキャッシングできない上、収入もなくて夜逃げするケース。もうひとつは自己破産するほどの借金があるわけでもないが、夜逃げ意外の選択肢が思いつかず、実行してしまうケースなどだ。

ちなみに自己破産した場合、滞納している家賃は賃借人の負債とみなされるため、支払が免除される(自己破産確定月以降は、支払義務が生じる)。つまり、夜逃げする人の多くは、何かしらの事情で自己破産できない(しない)か、この手段を思いつかなかった人ということになる。

ということは、もちろん夜逃げの後の生活は、かなり壮絶なものとなる。では、どんな困難が待ち受けているのか、以下にまとめてみた。

■借金取りに怯える、コソコソした生活

借金取りからの逃亡生活ともいえる夜逃げ。どこかに腰を据えて住むこともできないため、ネットカフェを転々としたり、お金がないときは野宿をしたりする人もいるらしい。金融業者が見張っているため友人や家族とは連絡がとれず、孤立無援の厳しい状態となってしまうことが多い。

■日雇いにパチンコ……見つからない定職

夜逃げ中は、定職をみつけるのが難しい。日雇い労働やパチンコ、風俗の勧誘など定期的な収入を望めない職にしかつけなくなる。

■時効を過ぎても借金が残る!?

法律では借金の時効は5年とされている。しかし、これはあくまでも業者が時効の中断・延長手段をとらない場合に限る。債権者が裁判所に請求の申し立てをし、それが取った場合は時効の中断や延長が認められることとなる。

■増え続ける利子

利子はもちろん夜逃げ中であっても増えつづけている。放っておくと、どんどん膨らみ、ついには借金額を超えてしまうことさえある。

■健康保険にも入れず、選挙にも行けない……

金融業者に見張られているため、夜逃げ中は住民票を移動することができない。なので、健康保険にも加盟できず、選挙にも参加はできない。クレジットカードなども作ることができなくなる。


普通の生活を取り戻せるのか?

借金が理由の夜逃げで、普通の生活を取り戻せたというケースは皆無に等しい。なぜなら夜逃げとは、一時的な責任逃れに等しいからだ。借金は消えるどころか更に増え、それを返すための仕事すら見つけるのが困難になってしまう。

事態はなにも進展せず、むしろ日を追う毎に厳しくなっていくといっても過言ではない。新しい生活を送りたいなら、「自己破産」や「債務整理」行うのが順当である。

夜逃げは、自分だけの問題にとどまらない。多くの関係者に迷惑をかける事となるのだ。その詳細は以下のとおり。

■保証人

現代では、お金を借りる際や部屋を借りる際などに保証人をつけるケースが主である。もし、債務者や入居者が夜逃げをしたらそのお金を払うことになるのは保証人だ。信頼を失うのはもちろん、額によっては他人の人生を壊してしまう可能性だってある。

■大家さん

夜逃げされ、大きな被害を受けるのは大家さんだって変わりない。法的には、もし部屋に荷物が残っていても自由に処分することはできないため、貸し倉庫などに預かってもらうこととなる。保証人がいない場合、そういった費用や部屋の修繕費はすべて大家持ちとなってしまうのだ。

■親類

自分の息子や娘が夜逃げしてしまった場合、親の心配は計り知れない。また、親類は保証人になっていることが多いので、借金取りが実家に来るなんてことさえある。

数年単位で逃げまわりははしたが、結局得るものはなにもないというのが、夜逃げの実態のようである。

それどころか、多くの人の人生を壊しかねない可能性だって秘めている。賃貸暮らしの場合、夜逃げに走らないためにも普段から無駄遣いはせず、きちんと貯金をしたいものだ。また、大家さんの立場からすると、リスクヘッジのために、しっかり保証人を付けてもらう必要がありそうだ