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高齢化社会、年金問題、医療費増加……。連日耳にするこれらの言葉から、老後の生活を支える退職金について気になる人も多いのではないだろうか。いったいどれくらいもらえるのか? 職業によって、どれくらいの違いがあるのか? そこで今回は、公務員、大企業、中小企業別に調査を行った。

公務員の場合

まずは国家公務員を見てみよう。国家公務員の退職金の平均は約2300万円。だが、最高額は8000万円以上とも言われている。

公務員の約8割を占める地方公務員の退職金の平均は、約2400万~2700万円。国家公務員の平均よりも高いことがわかった。一般行政職で見てみると、都道府県は約2400万円、政令指定都市は約2700万円、市区町村は約2500万円となっており、都道府県と政令指定都市では約300万円の差があるようだ。

公立教師の退職金は、平均2500万円前後。こちらも地域によってバラつきがあるが、首都圏より地方の方が高いようだ。都道府県別では、兵庫県がトップで約2700万円。最下位との差は約370万円と言われている。

また、警察官の退職金は平均2400万円。警察官も多くが地方公務員だが、階級が「警視」以上になると国家公務員扱いとなる。平均支給額のトップは岡山県で、約2700万円だった。

一言で公務員と言っても様々で退職金の支給額も異なるが、いずれも2300万円を超えており、就職先として人気が高いのも頷ける。だが公務員は約26万6000人しかおらず、これは日本の労働者人口のわずか6.7%である。


会社員(大企業)の場合

大企業の退職金の平均は、大学卒で約2400万円。公務員に匹敵する額だが、大企業の集合体である日本経団連の調査によると、過去25年で平均額は約300万円近く減っている。

また、労働者数1000人以上の大手企業123社の賃金から計算した産業別の退職金によると、海運・倉庫は約2400万円、パルプ・製紙は約2200万円、石油や鉱業は約2100万円、私鉄・バスや新聞・放送が約2000万円となっている。

つづいて建設は約1900万円、電力・造船は約1800万円、映画やその他の化学、綿紡は約1700万円、機械や電気機器は約1600万円、窯業は約1500万円、化繊は約1400万円、食品・たばこや総合化学、その他の産業は約1300万円、百貨店・スーパーや商事は約1200万円、製鉄・製鋼は約1100万円。

そして車輌・自動車は約850万円、製糸・衣料は約310万円と、トップの海運・倉庫と比べるとかなり大きな開きが出た。

労働者数1000人以上の大手とは言え、産業によって退職金にはかなり大きなバラつきがあるようだ(ただしこの大手123社の調査結果には、生命保険やガス、薬品、銀行は入っていない)。

会社員(中小企業)の場合

大企業常用従業者33.8%に対して、中小企業常用従業者は66.2%と言われている。その中小企業の退職金は平均1200万円と、大企業の約半分となっている。大企業と同じように、中小企業でも産業や企業規模によって退職金は大きな差が見られる。

東京都内中小企業の産業別の退職金によると、一番多いのは金融・保険で約2000万円

つづいて運輸・郵便で約1900万円、情報通信が約1600万円、建設は約1200万円、製造は約1100万円、卸売・小売は約1100万円、学術研究・専門技術サービスや生活関連サービス・娯楽は約1000万円、サービスは約800万円となっている。

最下位は医療・福祉の約700万円。高齢化社会が進行している今、ますます重要度を増す業種だが、待遇はまだまだ改善が必要な業種と言える。

そして、自営業やフリーランスを含む個人事業主は、退職金0円! そのため、毎月掛け金を払って積み立てる「小規模企業共済」などを利用し、自分で退職金を作るといった対策が必要となるだろう。

老後の生活はいくらかかる?

いろいろ見てきた退職金だが、最近では制度を導入していなかったり、廃止したりする企業が増加傾向にある。退職給付制度がある企業の割合は、平成5年をピークに低下しつづけており、厚生労働省の調査によると、退職給付金制度がある企業は75.5%。なんと、4社に1社は退職金制度がないのだ。

減少傾向にあるのは、退職金制度だけではない。大学卒の平均退職金は、2003年の約2600万円から13年の約2200万円へと、この10年間で実に400万円以上も減っている

今後も退職金制度を廃止する企業は増加し、もらえたとしても金額は確実に減っていくことが予想される。

そして、一般的に老後には、3000万円が必要とも、1億円が必要とも言われている。となると見てきたように、もらえたとしてもほとんどの職業の退職金では、老後には足りないのではないか。下がる年金、意外ともらえない退職金。となれば、今からしっかり、資産運用をしていくことが必要だと言える。